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サービス業
観光農園・貸し農園
観光農園とは、観光客等の第三者を対象に、自ら生産した果物、芋、野菜などの農産物を圃場において、収穫等、一部の農作業を体験させまたは観賞させて、対価を得る農園のことをいう。
 一方、貸し農園は、圃場を区分けして貸し与え、農機具などを提供し農作物を作る楽しみを提供する農園のことをいう。
このほか、牧場や植物園などを開放し同時にレクリエーション施設などを設けて休養の場を提供する観光牧場、観光植物園や、農業事業者が観光客を宿泊させ自ら生産した農産物や地域の食材を利用した料理を提供する農家民宿などもあり、農業関連事業者の生産事業以外への取り組みは多岐にわたっている。

農林水産省「2010年世界農林業センサス結果の概要(確定値)」によると、農業事業者による「農産物の加工」や「レジャー型事業への取り組み」といった6次産業化が進んでいると言える。
 同調査資料によると、2010年において「農産物の加工」や「レジャー型事業への取り組み」を行っている農業経営体のおよその数は、農産物の加工:3万4,000、観光農園:9,000、貸農園・体験農園等:6,000、農家民宿:2,000、農家レストラン:1,000であり、5年前の調査時と比べると、農産物の加工:42.9%増、観光農園:15.7%増、貸農園・体験農園等:45.2%増、農家民宿:34.5%増、農家レストラン:51.1%増と、いずれも大きく伸びている。

目次

1.起業にあたって必要な手続き

 観光農園、貸し農園を新規で開設する形態としては、「就農するパターン」と「農家が新規事業として取り組むパターン」に大きく分けられる。

 観光農園に関しては、既存の農家が新規事業として取り組むケースが多いが、新たに就農して取り組むケースも一部に見られる。就農する場合は、まず農園となる農地を確保する必要があるが、農地委員会の許可があれば、取得可能。地域や条件にもよるが農地の年間貸借料は数万円程度からあり、購入するより借りる方が初期投資を抑えられるメリットがあると考えられる。

 農業生産法人設立や農地の確保においては、地域の農業委員会への申請が必要であり、手続きに半年ほどかかる場合もあるので注意が必要である。このように農地の取得ひとつをとっても通常の起業とは異なる事情が多いため、就農にあたっては、地域の農業指導普及センターや自治体の相談窓口などを活用するとよい。

 観光農園の開設方法としては、自らの農園を一般の人に開放する「単独開設」と、集客力を高めるため駐車場設備を確保し複数の農家と共同して開設する「共同開設」がある。共同開設の場合は、休憩場などのサービス施設を充実できるという利点もある。

 貸し農園に関しては、自らの農地を整備して一般の人に貸し出すケースがほとんどである。開設形態には、(1)農園を利用して農作業を行う「農園利用方式」によるもの、(2)「特定農地貸付方式」によるものがあるが、農地所有者以外の者が開設する場合は(2)に限られる。農家が(1)の「農園利用方式」で開設する場合は、行政長の許可申請や届出などの手続きは必要ないが、休憩所などを整備する場合は転用許可などが必要になる。そのため、農地転用の許可が不要となる特別措置を設けた「市民農園整備促進法」の適用を受けられるかどうかを検討するとよい。

 「市民農園整備促進法」は、都道府県や市町村が市民農園の整備を円滑に促進するために制定された法律で、さまざまな補助事業や融資制度により開設にかかる負担を軽減できる。なお、「市民農園整備促進法」による開設の場合、場所は「市街化区域内」あるいは「市民農園区域内」に限られる。

2.起業にあたっての留意点・準備

 ・ビジネスモデル・収益性
 観光農園の場合、果実、芋、植物、牧場など農作物によってビジネスモデルは大きく異なる。多くを占める果実もぎ取り園の場合、数種類の果樹を計画的に取り入れ、開園期間を長くする工夫がされている。

 また、入園料で収益をまかなうモデルのほか、入園料は安く抑え園内での販売に力を入れるモデルも考えられる。果実だけでなく果実を使ったジャムやジュース、チップス、菓子などの加工品を積極的に開発し独自色を出せれば、より高い付加価値を付与できる。

 貸し農園の場合、収入の基本となる利用料は、農園の種類や規模、また地域によって大きく異なる。農林水産省関東農政局「関東食料・農業・農村情勢報告」によれば、年間利用料は、関東農政局管内で、1区画当たり2,000円以上6,000円未満が54%を占めている。

 また、区画面積別に見ると、10㎡未満では6,000円以上1万円未満が79%を占めているが、区画面積が広くなるに従って利用料が割安になる傾向がある。料金には幅があり、料金設定が収益に大きな影響を与えるため、周囲の相場や環境、施設の状況などを見極めて適切な価格を設定することが重要である。

・立地
 果実・野菜の場合、良質な農作物を栽培するために有利な立地条件であることが必須である。また、観光農園に関しては、交通の便が良いことや地域の主要な観光スポットからアクセスが良いことなども考慮する必要があるが、不便な立地であっても、販売促進やサービスによって多くの固定客を獲得している農園も数多く見られる。

・販売促進
 観光農園の場合、地域の組合などに加盟して共同で販促を行う方法も考えられる。また、DMやメールなどで顧客とコミュニケーションを継続的にとり、リピーターを確保することも重要である。良質の農作物を提供し、味のファンになってもらえれば、来園できなくても農作物の通販が見込まれ、新たな収入源につながる。

・サービス
 とくに農家が新規参入する場合、サービス業としての精神を持ってレジャーとしての楽しみを提供できるかが大きな鍵となる。農園を「農」のテーマパークと位置づけ、飲食施設や直売所を充実させる動きも多く見られる。たとえば、観光農園では、農作物を収穫するだけでなく、収穫された食材を使い料理教室を開催したり、貸し農園では、栽培についての指導を積極的に行い、利用者の栽培能力を高めることによって満足度を上げるケースも増えている。

・必要資金
 観光農園、貸し農園いずれも、新規参入する場合は土地を購入あるいは賃借する資金が必要となる。(土地の価格は地域や条件によって大きく異なる。)全国農業会議所の新規就農相談センターの調べによると、新規就農するにあたって用意した自己資金の平均額は528万円で、就農した1年目に実際に必要となった資金は平均で774万円となっている。とくに初年度は売上が立ちにくいため、初期費用はしっかり用意する必要がある。

 ただし、新規就農の場合、低利、長期返済等、比較的有利な条件で貸付を行う制度がある。これらの制度を利用するためには、就農計画を策定し、市町村や都道府県長から認定を受ける必要があるが、初期に入念な計画を立て最大限活用したい。

 観光農園の場合、農業者が新たに取り組む際には、休憩所や飲食施設、トイレや駐車場の整備が必要である。貸し農園の場合は、給水施設、栽培施設や農機具収納施設、資材保管施設、駐車施設、トイレなどの施設が新たに必要になってくる。

 いずれにしても、農業の新規事業参入あるいは新規就農に関しては、様々な支援制度があるため、情報収集を積極的に行い綿密な計画を立てた上で支援制度を有効活用することが重要と言える。

※本レポートの内容は一般論であるため、あくまでも参考に留め、個別の開業検討に際しては、専門家に相談されることをお勧めします。

最終内容確認2014年3月

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