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パソコン教室

目次

トレンド

1. パソコン教室業態は成熟産業

総務省「平成29年度版情報通信白書」によると、2016年の世帯におけるパソコンの普及率は、若干であるが低下傾向にある。
一方で、スマートフォンやタブレット端末の普及率は上昇しており、パソコン教室はパソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット端末も含めた情報端末全般の使い方を教える教室に変化を遂げている。

2. ターゲットは高齢者や子ども

1998年頃から2002年頃までのITバブル期においては、パソコン教室はビジネスパーソンの受講者を中心に盛況であった。個別に法人契約を行い、社員向け専門の教室を開催していた業者も多数存在した。現在においても、パソコンの基本操作を教えるカリキュラムはあるが、対象は高齢者となっている。また、子どもを対象に、体験型でパソコン操作を教えたり、プログラミングを教えたりする教室も出てきている。2020年度から小学校でプログラミング教育が実施されるようになったことを受け、プログラミング教室は子どもの習い事の一つとして注目されており、今後も増加が予想される。

パソコン教室の特徴

パソコン教室は、一般にパソコンの使用方法や知識を受講者に教えるサービス業である。パソコンの知識や技術を受講者に教え、実生活やビジネスに役立ててもらうことを目的とする。単なる操作方法の伝授だけではなく、パソコンを使って「何ができるのか」という利用方法を考え、特定のアプリケーションの利用方法も含めて教えるのが一般的である。

パソコン教室業態 開業タイプ

パソコン教室の開業タイプは以下の通りである。

(1)テナント型

商店街のテナントや複合施設、大型家電量販店などの一部分を賃貸借して教室運営を行うケースである。集客力のある施設であれば、それをプラスにして生徒を集めることができる。複数台のパソコンを設置し講師が教える。高齢者の利用が増えていることなどから、理解度や進捗度に応じマン・ツー・マンで教えるところが多い。

(2)通信教育型

実店舗をもたずにインターネットやDVD販売を通じて教育を行うケースである。店舗スペースを準備する必要はなく、自宅などでも事業を行うことができる。固定費がかからない分、実店舗のスクールと比較すると、料金設定が安いところが多い。

実店舗の教室では、生徒がわからないことがあればその場で講師に聞き、疑問点を解決することができる。しかし、通信教育の場合はそれが難しい。臨機応変な対応ができない分、生徒がスムースに学べるよう、カリキュラムがしっかりと作り込まれている必要がある。

(3)カルチャースクールの一講座としての出店

多くの講座を提供しているカルチャースクールの一講座として運営する形態である。ただし、すでにカルチャースクールの一講座としてパソコン講座を置いているところは多く、後発で参入するのは容易ではないだろう。

いずれの開業タイプにおいても、どういった客層をターゲットにするのかを考える必要がある。例えば、地域密着型で地元の高齢者をターゲットにするのか、それとも子ども向けのプログラミング教室にするのか。または、仕事で活かせるほど高度で専門的なパソコンスキルを教える教室にするのか。また複数のターゲットを狙いつつ、どのようなバランスで運営するのか、といった視点である。

開業ステップと手続き

(1)開業ステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の7段階に分かれる。

(2)必要な手続き

パソコン教室を開業するために必要な資格はない。

カリキュラムづくり

  • パソコン教室を開業するためには、ターゲットに合わせたカリキュラムを用意する必要がある。パソコンの使用方法などの基礎コースをはじめ、専門ソフトの使用方法(illustratorやPhotoshopなど)、Webデザイン、さらには、プログラミングやアプリ開発を目的としたエンジニア養成カリキュラムなどの構築も検討できる。ただし、開業段階で多くのカリキュラムを自前で準備するには限界がある。それをカバーするため、パソコン教室で使えるカリキュラムや教材を販売している業者がある。外部の教材を用いてカリキュラムの充実を図ることも検討したい。
  • スマートフォンやタブレットの基本操作、アプリケーションソフトの種類やダウンロードの仕方、個人情報の守り方、スマートフォンの活用方法など、パソコン以外の情報端末の利用方法を教えるカリキュラムも準備すべきだろう。
  • パソコン教室のカリキュラム作りにおいて重要なのは、生徒が長期間にわたって通い続けてくれるための視点である。単なる操作方法を教えるだけでは短期間の受講で終わってしまう。そこで、パソコンやスマートフォンを使うと日常生活が楽しくなるという視点、また高度な技術を習得し仕事に活かせるカリキュラムなど、さまざまなものを用意したい。
  • たとえば高齢者向けであれば、「孫の写真を受け取る方法」「写真をキレイに編集して印刷する方法」「家族とLINEを使ってメッセージをやりとりする方法」「趣味仲間とのSNSの利用方法」など、さまざまなカリキュラムを作り1年間で学べるようにする。これらのカリキュラムの充実で、利用者が1年、2年と通い続けてくれる方法を考えたい。

必要なスキル

  • 各教育コースの基礎知識はもちろんであるが、質疑応答に備え、さまざまな周辺知識を蓄えておく必要がある。また、情報処理系統の資格は多くあるので、受講者の信頼を得るため、MOS(Microsoft Office Specialist)や基本情報技術者などの資格を取得しておくことが望ましい。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

教室のスペースについては、狭くても、予約制にして生徒を入れ替えることで、対応は可能である。

【参考】:教室面積約10坪のパソコン教室(テナント型)を開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、休日で生徒予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)パソコン教室(テナント型)

※平日のいずれか1日を休業日に設定

■損益イメージ(参考例)パソコン教室(テナント型)

人件費:従業員1名を想定

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2019年2月

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