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料理教室

目次

トレンド

1. 料理教室は男女問わず人気の高い習い事

35才から49才の男女を対象とした調査「学び事・習い事ベスト20」によると、男女ともに料理関連のランクインが多い。特に近年の傾向として、男性の料理関連の習い事のランクインの多さが目立っている。この背景には、夫も料理をする夫婦共働き世帯が増えていることや、男性単身者の中でも、食費を節約するために料理を始める人が増えていることなどがあると考えられる。

また、高齢化社会を迎え、健康に対する意識の高まりから料理を見直す人が多く、定年後に趣味として料理を始めるシニア男性も多い。
また、最近の小中学校では、食育を推進しているところが多く、そのため、料理に興味をもつ若者も増えており、料理教室の人気は今後も続くものと考えられる。

2. ターゲットを絞り込んで独自色を打ち出した教室が人気

一般的な家庭料理を学べる料理教室が多い中、ターゲットを絞り込んで独自色を打ち出した料理教室も増えている。たとえば、健康で体に良いことを実践したい、食の大切さを知りたいなど、美や健康を意識する人をターゲットにしたオーガニックライフスタイルを教える料理教室が女性を中心に人気を博している。このほか、糖質制限したい人向けの料理、筋肉を付けたい人向けの料理、妊婦さんに食べてもらいたい料理などを教える教室(コース)も人気がある。

また、最近人気が高まっているのは訪日外国人をターゲットにした料理教室である。半日から1日程度の時間で日本の家庭料理を作り、参加者で一緒に食べるというカリキュラムが多い。観光客の「ショッピングだけではなく、日本でしか味わえない体験をしたい」というニーズを取り込んでおり、観光客からの人気が高い。

料理教室の特徴

料理教室は、開講場所によって、自宅型、レンタルスペース型、(商業施設の)テナント型に分類できる。講座の内容は主に、料理初心者に基本を教えるコースと、専門の知識や技術を教えるコースの2つのパターンに分類できる。

開講(生徒の受け入れ)時期は4月と10月が最も多く、授業時間は週1回2時間で半年または1年間通うコースが多い。また、1日程度で完結する短時間のコースや教室(たとえば、初心者に道具の使い方から簡単な調理方法までを教えるコース、そば打ち体験コース、訪日観光客向け料理教室など)もある。

料理教室で教える料理の種類は、日本料理、中華料理、イタリア料理など地域に特化したものや、ハラルフード、洋菓子・和菓子など各種メニューに特化したものなど多様である。このほか、健康・美容志向者向けのコース、「筋肉を付けたい」「短時間で調理したい」など各種要望に応じたコースを設けて差別化を図っている教室もある。

料理教室業態 開業タイプ

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)自宅型

自宅を教室とするタイプである。テナント代が不要で、自宅を使用しているため、基本的に受講者は少人数となり細やかなサービスを提供しやすい。受講者の満足度が高まることで、口コミやリピート受講なども期待できる。デメリットは、部屋の規模などから生徒数に限りが出てしまう点と、立地によっては利便性に問題が出てくる点である。また、受講生のマナーが元で近隣トラブルが発生しないとも限らないので、その点も注意を要する。

(2)レンタルスペース型

自宅が狭い、場所が悪いなどの事情がある場合は、レンタルスペースや調理実習室を借りて開業することもできる。料理教室での利用を想定したレンタルスペースでは、調理器具はもちろんのこと、食器や椅子テーブルも備え付けられており、食材だけ持参すれば教えることができる。

(3)テナント型

商業施設などのテナントとして開講するタイプであり、大人数を一度に集めて教えることができる。また、業務用燻製機や発酵機などを設置すれば、ベーコン作りや食パン作りなど、日数のかかる特殊な工程を伴うメニューであっても、大人数分同時に行うことが可能である。

生徒は主婦やOLなどが中心であるため、通勤の乗換え地点など、交通に便利な所や女性の集まるショッピングセンターなどが好立地だと言える。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の7段階に分かれる。

(2)必要な手続き

現在、料理教室を開く場合、特別な届出や許認可は必要ない。しかし、2018年の食品衛生法改正を受け、今後、食品関連事業者の営業許可業種の対象が広がり、保健所への届出が必要になってくる可能性がある。

カリキュラムづくり

  • 開業する料理教室の生徒(ターゲット)を想定しながら、カリキュラムづくりを行う。例えば、親子連れの多い商業施設内の教室においては、「子どもと一緒に料理を作る」コース、スポーツジムやフィットネスクラブなどと提携した「脂肪を落とすための料理」や「筋肉を付けるための料理」などのコースなどを企画するとよいだろう。
  • 初心者を対象とした場合は、道具の使い方から、焼く、煮る、炒める、蒸すとった技術の指導まで、まずは、調理の基本を網羅的に教えるカリキュラムが必要である。ここから、派生的に個人の志向に合わせたコースに入っていけるような流れを作る。
  • コースにおいては、いずれも初級、中級、上級などに分け、講師の話や授業スピードが全ての受講者にとって適切なものになるよう工夫する。とはいえ、うまくできない生徒が出てくることも当然予想されるので、特に大人数に教える際は、マン・ツー・マンで助言・補助をしてくれる助手の存在が必要である。
  • 教えるメニューには四季折々の旬の食材を使用する心遣いも忘れずに行いたい。また、お正月、バレンタイン、節句やクリスマスなど年中行事や季節のイベントなども意識したレシピをコースに盛り込むセンスも必要である。
  • 話題作りも大切である。たとえば、評判の良いレストランから一流シェフを呼ぶイベントを行っているところもある。この場合、受講料は1回1万円を超えるなど高額になるが、好評を博している。また、料理番組やバラエティー番組などで取り上げられた料理が、視聴者の頭の中に残っていて話題になることもある。そのような料理はチェックしておいて自教室のコースに加えると、自分でも作ってみたいと思う人たちの参加を促すことができる。
  • 生徒が継続して通いたくなるよう、先々までのカリキュラムを提示する。「○○を習得する12カ月コース」といった打ち出し方は、 よく見られる手法である。同時に、新規の生徒募集のために、「お試しコース」のような1回完結型のカリキュラムの設定も考えたい。そこに参加した生徒を継続受講に誘導できれば、着実な生徒増を実現することができる。

必要なスキル

  • 食材知識や調理技術を持っていることはもちろん、それを受講者に分かりやすく伝えるスキルも必要である。教える際は、レシピ通りに解説を進めていくだけでなく、食材の特性を踏まえた各工程の意義など、料理の専門家としての見識も同時に教えることが重要である。また、料理の話題だけではなく、豊富な話題で生徒を惹きつけるようなコミュニケーションスキルも必要である。また、講師としての信頼を得るために、食育インストラクターや栄養士、ソムリエ、フードコーディネータなど、食に関する資格の取得も検討した方がよい。
  • 生徒獲得のための主たる手法として、メディアは最大限に活用したい。ホームページの開設、料理教室を検索できる比較サイトへの登録はもちろん、facebookやインスタグラムなどのSNSからも積極的に情報発信をしてファンを増やしていきたい。地域のコミュニティ誌への広告掲載、Web広告、チラシ配布なども検討してよいだろう。
  • 料理教室は、友達を誘って習いに来る人も多い。友達紹介者・被紹介者への受講料割引キャンペーンなども積極的に行いたい。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

特殊な厨房機器を必要としない限り、開業資金は比較的低く抑えることができる。自宅を使う場合やレンタルスペースを活用する場合は、下記金額より安い形での開業が可能である。

【参考】:店舗面積約10坪の料理教室(テナント型)を開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

店舗の立地や業態、規模等の特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜、祝日で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)料理教室(テナント型)

※平日のいずれか1日を休業日に設定

■損益イメージ(参考例)料理教室(テナント型)

人件費:従業員1名を想定

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2019年3月

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