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サービス業
カメラマン

目次

トレンド

本レポートでは、スチル撮影(静止画撮影)のカメラマンについて記載することとする。

1. インターネットの普及により、誰もが独立開業可能な時代に

従来、カメラマンとして独立するには、出版社や新聞社、制作会社、結婚式場、スタジオなどの従業員として所属し、カメラマンとしての経験を積むか、あるいはプロカメラマンのアシスタントとして経験を積むことが一般的だった。そして独立後は、それまでの人脈によって仕事を紹介してもらいながら事業を営んでいた。

しかし最近では、クラウドソーシングサービスやマッチングサイトの出現により、経験が浅くても、あるいは人脈による顧客紹介がなくても、仕事を請け負える環境が整いつつある。そのため、副業でカメラマンとして活動をはじめ、経験と顧客を増やし、独立開業する道も開かれている。

2. 画像処理技術の向上

デジタルカメラとパソコンの普及により、画質と画像処理技術が向上し、誰でも高画質な撮影が可能になった。結果、カメラマンには、綺麗な写真を撮ること以外のプラスアルファの強みが求められる時代になったと言える。例えば、デコレーション等による画像修正技術(被写体の人を若々しく見せる、健康的に見せる、格好良く見せるなど)や、おしゃれ・服装のセンスに対する提案力など、撮影や現像に係る能力を広く身に付けることも必要だといえる。

3. 女性カメラマンの増加

カメラマンになる門戸が広がったことを背景に、女性カメラマンも増えてきている。国勢調査によると、カメラマン総数(映像撮影者を含む)は1995年以降、65,000人前後で推移しているが、女性カメラマンの数は一貫して増加している。カメラマンに占める女性の割合は1995年時点で15%程度だったが、2015年には30%程度までに達している。

カメラマンの特徴

カメラマンの仕事は、法人・個人のイベントや行事での撮影、あるいは雑誌やWebサイトなどに掲載する素材の撮影などである。
依頼として多いのは、結婚式、お宮参り、七五三などにおける家族撮影、イベントやパーティーなど企業の記念行事での撮影、雑誌でのインタビュー場面の撮影などである。

依頼料金の相場は、1時間あたり8千円から4万円程度であり、交通費は遠隔地の場合、依頼者側が負担するケースが多い。

営業活動としては、これまでの繋がりを通じた紹介による依頼案件の発掘のほか、クラウドソーシングやマッチングサイトの利用が考えられる。また最近では、自らが撮影した画像を登録し、「1枚○円」でダウンロード販売できるサービスもある。

カメラマン業態 開業タイプ

カメラマンとしての開業を目指す際、いくつかのタイプに分類できる。

(1)企業に属したカメラマンからの独立

出版社や新聞社、制作会社、スタジオなどの社員としてカメラマン業務に携わり、十分な経験と実績、スキルを身に付けたうえで独立をするパターンである。

(2)プロカメラマンのアシスタントからの独立

プロのカメラマンのアシスタントとして経験を積み、プロから技術を学んだうえで独立をするパターンである。

(3)副業から本業に

クラウドソーシングやマッチングサイト、画像販売サイトを活用し、副業として仕事を受託しながら、経験と顧客層を広げて独立するパターンである。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の5段階に分かれる。

(2)必要な手続き

カメラマンを開業するにあたっての手続きは特にない。

サービスメニューづくり

カメラマンの仕事は、顧客の要望に応えながらオーダーメイドで作っていくものであるため、定まったサービスメニューは特にない。

顧客が仕事を依頼するカメラマンを探すときには、そのカメラマンの過去の実績や、作品や写真を見て判断することになる。そのため、過去の取引実績や、作品をホームページに公開したり、ブログやインスタグラムなど画像を掲載できるSNSで発信したり、常に作品を持ち歩くなどして、自ら情報発信を積極的に行っていくことが必要である。

また、カメラマンに依頼する費用の低価格化が進んでいることから、収入を高めていくためには、専門分野を作ることも欠かせない。
自身が得意な分野(人物、ペット、スポーツ、風景など)を持つとよいだろう。得意分野にシーンを掛け合わせて専門分野を絞り、需要を喚起しているカメラマンも多い。例えば、人物の表情撮影を得意とする場合、「赤ちゃんの表情」「家族の集合写真」「ウエディングでの記念フォト」「インタビュー対象者の表情」などを得意分野・専門分野としてアピールしている。

また、スピーディな対応や、依頼された撮影条件をすぐにセッティングできるなど、撮影の周辺業務についての強みも発揮できるようにしたい。

必要なスキル

撮影スキルを習得する場としては、専門学校や最近では専門の講座・教室なども多く開講されている。雑誌やネット、動画などで独学で学ぶことも可能であるが、基本的なことは学校や講座などで体系的に学んでおいた方がよい。

コストはかかるが、最新型のプロ向け機材を使う方が良い写真を撮れる可能性が高い。クライアントからの信頼感にも繋がる。コストの兼ね合いを考えながら投資をする必要があるだろう。また、パソコンを使った画像処理技術も向上している。よって、写真撮影技術だけではなく、画像編集技術の習得も必須であると言える。

全国のフォトコンテストに応募し多くの入賞を勝ち取ることでも、自身の写真技術やセンスに対する信頼感を高めることができる。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

最低限必要になるものは、デジタル一眼レフカメラ・各種レンズ・三脚・ストロボなどである。また、画像データを加工するためのパソコン・専用ソフトも必要になる。最近ではレンタル可能な機材もあるので、初期費用を抑えたい場合には検討したい。

【参考】:個人でカメラマンを開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

自身の技能や活動範囲の特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。以下は、時間単価1万円のカメラマンが1日2時間程度の拘束時間の仕事を引き受ける場合の例である。

(参考例)カメラマン(個人)

※休日は不定期に取ることとする

■損益イメージ(参考例)カメラマン(個人)

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2019年1月

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