業種別開業ガイド

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サービス業
インターネットカフェ

目次

トレンド

(1)スマホ等の普及による環境の変化

インターネットカフェは、手軽にインターネットを使える場所として2000年代初めに出店ブームを迎えた。富士経済の「外食産業マーケティング便覧」によると、2000年代後半には市場規模1,000億円を超えたようであるが、2014年時点の市場規模は901億円まで縮小している。この要因としては、競争激化に加え、スマホ等の普及によりネット利用環境が広く整い、インターネットカフェを利用する機会が少なくなったことがある。

(2)複合化の進展

ネットにつながるパソコンと簡単な飲み物を用意すれば開業できるという業種ではなくなっており、様々なサービスとの複合化が進み初期投資が嵩む業種となっている。

(3)女性が安心して利用できる店づくり

以前は男性中心だった顧客層を拡大するために、女性でも安心して利用できるような店舗づくりも求められており、様々なセキュリティ対策、デザイン性の高い清潔な店舗の維持管理などにも対応が必要になってきている。

ビジネスの特徴

ネット環境と飲み物を提供するほか、漫画やゲーム、DVD鑑賞などができる施設を整えている店舗が多い。長時間利用できる店舗づくりとして、高級シートやシャワー施設などを備え複合カフェとして営業するのが、現在のインターネットカフェの特徴である。
そのほか、ビリヤードなどのアミューズメント施設を併設する店舗や、最近ではバーチャルリアリティ(VR)などを提供している店舗もある。
このように複合化が進んでいることから初期投資負担が大きいが、少ない人員でも長時間営業できるため、運営が軌道に乗れば賃料や初期投資は回収しやすい。人手不足の問題にも自動入退場システムの導入で対応する例もある。

開業タイプ

開業タイプとしては、フランチャイズチェーン加盟と独自ブランドに分かれる。独自ブランドの場合は、相当の事業構想が必要となり、物件も相応の優良物件であることが望ましい。
ここではフランチャイズチェーン加盟を前提とし、投資単価を抑えた大規模物件タイプと投資をしつつ回転率を高める中規模物件タイプに区分する。

(1)投資単価を抑えた大規模物件タイプ

床面積当たりの投資と家賃単価を抑えつつ、広い店舗面積を活かしてアミューズメント設備も充実させて集客を図るタイプである。
このタイプは都心部での実現は難しく郊外型店舗となる。ただ、郊外型店舗の場合は周辺の大規模商業施設の影響を受けやすく競合が激しい点に注意が必要となる。

(2)投資をしつつ回転率を高める中規模物件タイプ

床面積当たりの投資と家賃単価は一定以上かかるが、立地条件を活かして高い回転率によって投資効率を高め、投資回収を図るタイプである。
このタイプは都心部や中心市街地の店舗となる。一般的に物件取得費が高価となりやすい。そのため、居抜き物件を利用するなど物件取得費を抑えることが重要となる。

開業ステップ

(1)開業のステップ

開業ステップのフロー図

(2)必要な手続き

①保健所への手続き(保健所)
②食品衛生責任者の設置(保健所)
③消防署への手続き(所轄の消防署)
④条例上の手続き:自治体によってはインターネットカフェ営業に必要な手続きを条例で定めている場合がある。
 代表例は東京都条例で、インターネットカフェは東京都公安委員会への営業届出が必要である。
 また利用者の本人確認義務、本人確認記録の作成義務などもある。(各自治体)
⑤著作権の手続き:ゲームなどの著作物を営業利用する場合には著作権利用許諾の手続きが必要となる。(各著作権者・団体等)
⑥日本複合カフェ協会への加盟手続き:これは必須の手続きという訳ではないが、
 上記④の許諾手続きなどにも会員特典があるため検討に値する。

メニュー、商品の品揃えなど

まずは設備構成として何を備えた店舗として複合化するかが大切なポイントとなる。店舗面積を含めた立地条件を考慮し、最適構成になるよう店舗設計を行う。
その中で、パソコンの機種やソフトのほか、飲み物やフードメニューの品揃えなどを決める。その他、複合施設とする場合、漫画やDVDの品揃え、個室ブースなどの構成、アミューズメント機器などの細部の構成も決める必要がある。
また、「パック料金」の設定なども重要である。性別、曜日・時間帯、利用範囲などにより料金プランを設定する。この設定が店舗の料金に対する評価を左右する。

必要なスキル

現在のインターネットカフェは複合化が進んでおり、全ての業務知識をマスターすることは簡単ではない。ただし、チェーン加盟した場合にはフランチャイズ本部の支援も受けられる。

開業資金と損益モデル

チェーン加盟の場合の損益モデルについては、各フランチャイズ本部から説明会などで説明されるため、ここでは独自ブランドでの新規開業をモデルとして取り上げる。

(1)開業資金

【店舗面積25坪(35席)のインターネットカフェを出店する際の必要資金例】

店舗面積25坪(35席)のインターネットカフェを出店する際の必要な資金例の表

(2)損益モデル

①売上計画
年間営業日数、1日平均来客数、平均客単価を以下の通りとして、売上高を算出した。

売上計画の表

②損益イメージ
上記①売上計画に記載の売上高に対する売上総利益および営業利益の割合(標準財務比率(※))を元に、損益のイメージ例を示す。

損益のイメージ例の表

※標準財務比率は喫茶店に分類される企業の財務データの平均値を掲載。
出典は、東京商工リサーチ「TSR中小企業経営指標」。

(3)収益化の視点

一般の喫茶店に比べると原価率は高くはないものの、地代家賃と減価償却費の比率が高いため、収益化の視点はやや狭まっている。地代家賃を低く抑えられる好条件の物件取得と魅力を維持できる限りでの投資抑制が重要な視点となる。
また、このような収益構造のため、売上の低迷は経営不振に直結する。この面でも集客が可能な好条件の物件取得が重要になる。
その他実際の運営面では、人材採用費が度々発生することがないようにすることがポイントとなる。人手不足の中、人材が定着するような運営管理を行うことや、このモデルのような独自店舗の場合には、従業員が働きたくなるような環境を整えることが重要になる。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況等により異なります。
(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討すう際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)