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フリーライター

目次

トレンド

1. Webの普及で参入の間口が広がったライター業界

かつて、文筆を生業とする人たちの活躍の場は、新聞、雑誌、書籍、テレビといったマスコミ媒体が主なものだった。しかし、近年では、出版物・印刷物の取扱高は年々減っている反面、Web関連のマーケットが伸びている。その結果、Webライターと呼ばれるネット媒体向けのライティングの需要が高まっている。

媒体種別 出版物市場規模の推移

2. 人材の多様化、副業での取り組み

従来は、紙媒体などで記者として働いていた人が独立してフリーライターになるというケースが多かった。しかし、現在はネットの普及やオウンドメディアが増え、求められる記事のジャンルの幅が広がってきたため、様々な職業や趣味、個人的な体験を活かした記事を書くライターも増えてきた。ネットのコラム等で掲載される内容は、商品のレビュー記事など、一般的に多くの人が読みやすいものが好まれるため、文章も書きやすく、副業として始める人も多い。

フリーライターの特徴

フリーライターとは、文章を書くことで収入を得る人、と定義できる。特に、Webサイトにおける記事作成業務が伸びている。それを後押ししているのは、前述の通りクラウドソーシングサービス、マッチングサイトである。ただし、このサービスは競争原理が働くので、発注単価は安くなる。またWeb用の短い記事作成の発注が多い。文字数が少なければ、それだけ発注価格も安くなる。このように、多くの人にライターの門戸は開かれたが、同時に競争も激しくなっている。

近年増えているのが、メールマガジンのトピック記事や商品のレビュー記事などを書くWebライター業務である。ライターは、マッチングサイト等で募集されることが多く、料金は1文字1円前後からのものが多い。

会議やインタビューの音声を文字に起こす業務も需要が高い。依頼は、Webライター同様、マッチングサイト等で募集されることが多く、料金は10分500円前後からのものが多い。

紙媒体の数が減ってきているとはいえ、ビジネス雑誌や業界紙、専門雑誌からのライター需要も依然として存在している。内容は、特集記事や連載コラムの執筆であり、執筆者は専門家などに限られることが多い。編集部が直接、執筆者を選定し、編集部の意向に沿った内容で記事を作成するのが一般的である。料金は難易度にもよるが、1本1万円前後からのものが多いようである。

フリーライター業態 開業タイプ

文章を書くことがライターの仕事ではあるが、さまざまな分野がある。

(1)与えられたテーマで執筆するタイプ

雑誌のコラムやWebサイトのコンテンツ記事を書くなどの仕事である。テーマこそ決められているものの、自らの裁量で自由に文章を書くことができる。そのため、数多くの記事作成をこなせばスキルアップにもつながる。

(2)文字起こし及び文章校正をするタイプ

例えば、インタビュー取材など音声収録されたものを文字起こしし、文章にして校正をしていく仕事である。クライアントの信用を得ることができれば、安定した仕事の確保につながる。

(3)自ら調査・取材までを行い、記事を作成するタイプ

たとえば、雑誌、業界誌・専門誌のマスコミ記事の作成や取材記事の作成を行う。クライアントからの依頼内容にもよるが、マーケット調査や取材をもとに記事を書くことが求められる。文章力だけでなく、業界知識、対人コミュニケーション能力、分析力、取材対象を速やかにセッティングできる人脈なども必要である。
ただし、接点のないクライアントからいきなり取材記事作成の依頼が来ることは少ない。実績を積んでステップアップしたところで初めて受託できる業務と考えた方がいいだろう。

開業ステップと手続き

(1)開業ステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の5段階に分かれる。

(2)必要な手続き

フリーライター開業に際しては、とくに規制される法規はない。

受注・サービスの工夫

開業当初は、以下のような施策で営業開拓を行う。

  • 「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングサイト、マッチングサイトに登録し、仕事を探す。
  • 過去に仕事で付き合いのあった先や知り合いなどにフリーライターとして独立したことを宣言し、仕事を請け負うことを伝える。
  • ブログやFacebookなどのSNSに自らの活動内容を投稿し、自身の得意分野や文章力のアピールを行う。
  • 自ら取材した記事をWebサイトや出版社の編集部に送り、売り込みを図る。

以上のような活動を継続することで、クライアントとの縁を得て、仕事の依頼を受けることができるようになる。その後、顧客に評価される記事を作成し続けることができれば、安定した収入を得ることもできるようになるだろう。

また、自身が執筆できる領域の拡大も目指していきたい。例えば、得意分野を持ち、あるいは増やしていき、一般的なコラムだけでなく、業界紙や専門誌へも原稿を投稿できるようにし、自ら識者へのインタビュー記事も執筆できるようになっていければなお良い。

必要なスキル

(1)文章力

参入の間口が広がったとはいえ、正しい日本語を使うスキル、文章力を備えていることは必須である。論理的な文章、読みやすい文章を書く技術も求められる。

(2)取材力

開業タイプ(3)の場合は、取材力も必要になる。取材力には、取材先をスピーディに見つけられる人脈や行動力、取材対象者から情報を引き出すコミュニケーション力も含まれる。

(3)知識・見識

当初は、意識してさまざまな仕事を受託し、スキルアップを図りたい。多くの記事を書くことで知識・見識が広がり、文章力も向上し、記事作成スピードも上がる。やがては単価の高い仕事を請け負うこともできるようになってくる。また、さまざまな仕事を受託できれば、それを自らの実績としてPRすることができる。

より確実な開業を目指すのであれば、ライターとして独立する前に、Webサイトや出版社の編集部で働くことも検討したい。日常業務として取り組みながら、その業界の知識を蓄積し、業界内で人脈を拡げたうえで独立するやり方である。

また、自身の得意分野を持ち、スペシャリストとしての実績をライター事業に活かすという道もある。たとえば、IT・マネー・健康分野などの記事は、プログラミングや金融、栄養学・医学などの知識が無ければ正確な記事は書けない。専門的な知識・見識を持っていることもライターにとっては大きな強みだといえる。

(4)管理能力

クライアントからの発注には必ず納期がある。いくら良い文章を書けても、納期が守れないようでは信頼を得ることは難しい。納期厳守で仕事に取り組めるよう、スケジューリング能力や調整力など、業務を遂行していくうえでの管理能力が必要である。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

個人が自宅にてフリーライターとして独立する際は、自身のパソコン、仕事用のメールアドレス、スマートフォンがあれば開業は可能であり、特に開業資金は必要としない。

(2)損益モデル

■売上計画

フリーライターの収入は年収100万円未満から数千万円まで大きな幅がある。以下は、ビジネス雑誌に掲載する記事原稿を作成する(取材含む)タイプの例である。

(参考例)フリーライター

■損益イメージ(参考例)フリーライター

人件費:従業員1名を想定

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2019年2月