業種別開業ガイド

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小売業
ギフトショップ

目次

トレンド

(1)従来型のフォーマルなギフトニーズは縮小

ギフトショップは、内祝い、中元歳暮、記念品、そして仏事法要などにおける贈答品や返礼品を販売する店舗である。内祝いの内訳としては、結婚、出産、新築、開業などにおけるお祝いをあげることができる。しかし、ギフトショップの中核的な商品である中元歳暮のやり取りは、若い世代を中心に廃れつつある。法人間のギフトのやり取りにおいても虚礼廃止や経費削減のため、取り止めるところも多い。このような動きに合わせて、市場規模は縮小しているものと考えられる。

(2)多くの業種からの参入

ギフトショップで扱う商材は、従来、内祝いや中元歳暮、そして仏事法要におけるものが中心であったが、近年は、それ以外にも、父の日、母の日、敬老の日などにおける家族向けプレゼントも盛んに行われるようになってきている。
このため、ギフトを取り扱う店舗は、百貨店やギフト専門店だけでなく、ネット通販専門サイト、量販店、コンビニエンスストア、郵便局、冠婚葬祭業者、ベビー用品販売、リース会社、事務オフィス用品会社に至るまで、裾野が広がっている。

以上のように、ギフトショップは従来型のフォーマルなギフトニーズの縮小に加え、他業種からの相次ぐ参入という状況に直面している。

ギフトショップの特徴

・ギフトショップの販売形態は、実店舗のほか、ネット通販サイトを併設しているところが多い。しかし、地方などには、やはり、贈る現物を自分で確かめたいというニーズが強く残っており、実店舗を中心に営業しているところも多い。また、優良な得意先に対しては、外商も行われている。

・他の店では扱っていない商品、センスの良い商品を取り扱うことで差別化を図るギフトショップが多くなっている。近年は、中元歳暮や法人ギフトなどのように大人数の人に一斉に贈るギフトだけでなく、家族や友人知人や恋人など、特別な人に贈るギフトが人気であることが、その背景と考えられる。

・ギフトショップの中には、プリペイド型のギフトカードを発行しているところも増えている。これは、ギフトカードをプレゼントとして人に贈り、受け取った人は、そのカードを使って、ギフトカタログの中から好きな商品を購入するというものである。

・以前は、カタログは紙媒体が主流だったが、紙媒体はコストや申込み時の手間が多くかかるため、近年ではネット販売にも力が入れられている。

・商品の仕入ルートは、メーカーから直接商品を仕入れるケースと専門問屋から仕入れるケースがある。また、流通に関しては、仕入れ先からユーザーに直送してもらうケースと、自社が間に入って商品を顧客に届けるケースなど、さまざまである。

ギフトショップ業態 開業タイプ

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)取扱い品目特化型店

高級食品や仏事法要や内祝いなど、取り扱う商品や用途を特化するタイプである。たとえば、高級食品に絞った場合は、産地を厳選した高級果物や魚介類、素材にこだわった調味料や健康食品を中心に取り扱う。
ほかにも、ブライダルギフトのみに特化したタイプ、冠婚葬祭全体に特化したタイプ、日常の記念日などにおけるカジュアルなプレゼントに特化したタイプなどもある。

(2)多ニーズ対応型店

中元歳暮から、各種記念日やイベント時のプレゼントまで幅広く対応したタイプである。プレゼントの機会は、中元歳暮、誕生日、父の日、母の日、敬老の日、クリスマス、バレンタインデー、ホワイトデー、カップルの周年記念、結婚記念日、法要など、さまざまである。ターゲットが広がるため、商品の種類も豊富に準備する必要がある。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の8段階に分かれる。
以下は、実店舗での販売をメインに行う場合の例である。

(2)必要な手続き

ギフトショップ開業については規制される法規は特にない。しかし、取り扱う商品によっては、法律によって取扱いが規制されている場合があるので注意が必要である。

・素材に珊瑚や象牙などを使用している商品を販売する場合
・・・「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」

・素材に珊瑚や象牙などを使用している商品を輸出入する場合
・・・「外国為替及び外国貿易法」(外為法)

・自社で商品を製作し販売する場合
・・・「製造物責任(PL)法」

・食肉、乳製品、水産食品などを輸入する場合
・・・「食品衛生法」など

メニューづくり・サービスの工夫

・ギフトショップで取り扱われる商品は、地域の特産品、高級食品・食材、飲料、陶磁器、漆器、ガラス製品、キッチン用品、家電、タオル、生活雑貨、石けん・入浴剤などさまざまである。また、企業が販促グッズとして贈る場合は、ボールペンや卓上カレンダーなど文具類が多い。商品単価は、数百円~1万円程度のものが主流である。

・前述の通り、ギフトを取り扱う店舗は異業種からの参入も多く、取扱商品も多岐にわたっている。このため、ギフトショップとしての特徴を打ち出し、他店との差別化を図るには、他店にはない商品を取り扱うことが重要だと考えられる。産地や素材にこだわった「取扱い品目特化型店」は、その良い事例だと言える。
一方、「多ニーズ対応型店」も、他店に負けない豊富な品揃えを実現できれば差別化要因となり得る。

・近年増えているのは、上述のようなモノを贈ることではなく、コト(体験)を届けるギフトである。旅行や観劇、食事券など、相手の趣味嗜好に合わせたチケットを届けるものであり、ショップ側としても、在庫や発送のコストを抑えることできる。今後の伸びが期待されている分野である。

必要なスキル

・特化型店、多ニーズ対応型店のいずれにも言えることだが、地元の冠婚葬祭関連の需要を取り込むため、結婚式場や葬儀社とのパイプをもっていると有利である。結婚式場や葬儀社からの紹介で、自社サービスを利用してもらうことができる。ただし、冠婚葬祭式場は、すでにどこかのギフトショップと提携していることが多いため、後発組として取引をしてもらうには、取引条件をライバルより優遇することや、サービス面を強化するなどの対策が必要になる。

・贈答に関するしきたりやマナーは、地域によって異なる。そのため、スタッフは地域の特性やしきたりも熟知していなければならない。また、贈答に関することだけでなく、冠婚葬祭全般に関する作法やマナーについても心得ておくと、より良いアドバイスを顧客に対して行うことができる。

・ギフトショップでは顧客の個人情報を取り扱う。そのため、一般社団法人全日本ギフト用品協会では、経済産業省の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業を対象とするガイドライン」に準拠した「ギフト・プライバシーマーク」制度を創設し運用を行っている。個人情報保護活動においては、同協会の認定を受けることをお勧めする。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

開業タイプにもよるが、多ニーズ対応型の実店舗をメインに営業する場合、売場面積は広めであり、200坪程度の売り場面積をもつ店舗も珍しくない。以下は、20坪の実店舗(多ニーズ対応型)での販売をメインに行う場合の例である。

【参考】:店舗面積約20坪のギフトショップ(多ニーズ対応型)を開業する場合の必要資金例


(2)損益モデル

■売上計画
店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)ギフトショップ(多ニーズ対応型)


※平日のいずれか1日を休業日に設定


■損益イメージ(参考例)ギフトショップ(多ニーズ対応型)


※人件費:従業員2名、アルバイト1名を想定

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)