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小売業
テーラー(注文洋服店)
テーラーとは、顧客の注文に応じて服を仕立て、販売する事業者である。仕立てる服の多くは紳士用のスーツやジャケット、コートなどであるが、女性ものの注文に応じているところも多い。仕立ての方法には、生地やデザインを一から作り上げるオーダーメイドのほか、ある程度のパターンから選ぶイージーオーダー、パターンメイドなどがある。また、製法としては、手縫い職人がほとんどの工程を手で縫製するハンドメイド、機械を使いベルトコンベア式の製造ラインで製造する機械縫製などがあり、製法の違いが価格の違いに直結している。

テーラーの商店数は近年減少してきており、当時の通商産業省の統計によると、1994年には1万店を割り込み、1997年には7,747店となった。(1997年以降、同調査は行なわれていない。)多くのテーラーが開業した1965年前後においてはビジネススーツのほとんどが注文服だったが、現在では、既製服が市場のほとんどを占有している。こうした市場の変化や、経営者(手縫い職人)が高齢化し廃業が相次いでいることが、注文服店の減少の背景にある。

ビジネススーツ全体の動向を見てみると、クールビズや景気低迷などの影響でビジネススタイルのカジュアル化や低価格化が進んだことにより、ビジネススーツ全体の需要は長期的に縮小傾向にある。総務省統計局「家計調査」によると、家計1世帯あたりの「背広服」への年間支出金額は、総世帯平均で2000年に8千円台だったのが、2012年には3千円台にまで落ち込んでいる(図1)。また、年収別に見ると、「背広服」への年間支出金額は、年収722万円以上の世帯で突出して高くなっている(図2)

資料:総務省統計局「家計調査2005年、2012年」を元に作成
※ 金額は、単身世帯や購入しない世帯も含んだ全世帯の平均


資料:総務省統計局「家計調査2012年」を元に作成
※ 金額は、単身世帯や購入しない世帯も含んだ全世帯の平均

「背広服」への家計の年間支出金額が落ち込んでいるとはいえ、オーダーメイドのニーズが消滅したわけではない。最近は5万円前後の廉価なイージーオーダーのスーツも出てきており、サイズや生地をオーダーする敷居が下がっている。既製服とは異なる着心地を体験した人が、次のステップでオーダーメイドに近いスーツを試してみる、というケースも多く見られる。
とくに実業家など、高所得者の中には、単なるブランド品には飽き足らず、「自分だけのための1着」に価値を見いだす人も少なからず存在しており、彼らはスーツへの出費を惜しまない。数は少なくとも良質の顧客をいかに探し出すか、そして、そういった顧客を満足させ続けられるか、が、重要なポイントだと言える。価格も品質も既製服とは大きく異なる注文服には、紳士服全体の市場動向とは別の需要があると捉えてもよいだろう。

目次

1.起業にあたって必要な手続き

 開業にあたって必要な資格などはなく、原則的に参入は自由である。一般の開業手続きとして、個人であれば税務署への開業手続き等が必要となる。法人であれば必要に応じて、健康保険・厚生年金関連は社会保険事務所、雇用保険関連は公共職業安定所、労災保険関連は労働基準監督署、税金に関するものは所轄税務署や税務事務所にて手続きを行なう。

2.起業にあたっての留意点・準備

・店舗コンセプトと経営形態
 経営形態としては店舗を構えて営業しているパターンのほか、工場(作業所)しか持たず採寸・納品などは出張で行なっている事業者も珍しくない。量販する商品ではないため、インターネットにて宣伝・商品サービスの説明ができれば、維持コストがかかる店舗を保有する必要性はそれほど高くないだろう。

 材料となる生地については、ほとんどの場合、卸売業者から仕入れて在庫として保有しているが、店舗を持たず自宅を拠点に出張にてサービスを行なっている場合は、生地の仕入れを他の業者に委託しているケースもある。生地を買い取る場合は、いかに希少価値のある、品質の良い生地を仕入れて顧客にプレゼンするかがポイントとなる。ブランドにこだわらず自ら選んだ生地やスタイルを提案できることが、自社の独自性を打ち出す差別化ににつながる。

 オーダースーツの平均的な価格としては、ハンドメイド・生地代込みで17~20万円ほどが相場であるが、生地の価格は一着数万円~200万円と大きな幅がある。また、仕立て代は、フルハンドメイドの場合、1着10万円前後が相場だが、パターンメイドで機械縫いの場合、国内製で5万円、海外だと2万円以下で仕立てることもできる。

 そのため、多くの注文洋服店が、ハンドメイドによる仕立てと、パターンメイドあるいはイージーオーダーなどの廉価な仕立てを平行して提供し、顧客の予算に合わせられるようにしている。

・品揃え
 スーツやコートだけでは1顧客あたりの注文数は限られてしまう。スーツと合わせて使用するシャツ、靴、鞄などもオーダーメイドで受注できるなど、商品ラインナップを広げる必要がある。ある若手経営者は、自らイタリアなどで生地を仕入れて販売しているが、その際に現地ブランドで国内未販売の小物などを仕入れ、顧客にトータルコーディネートを提供している。注文服は長年、職人技による品質の高さがウリとなってきたが、服の仕立ての良さだけでなく、おしゃれ感やセンスの良さも含め、目利き力、提案力が成功の鍵を握っている。

・広告宣伝
 インターネットと口コミが効果的な宣伝ツールとなりえる。ある老舗テーラーでは数年前にホームページを開設したが、ネット経由では、生地を何らかの方法で手に入れた人が手縫い職人を探して問い合わせてくることが多いという。街中に開業しているテーラーが少なくなったことや店舗があったとしても一見客には入りにくいことが、インターネット経由の問い合わせの増加の要因と考えられる。

 ホームページを開設する際は、自社の営業コンセプトや価格を明記するのはもちろんのこと、仕立て工程や仕立て例などもわかりやすく提示すると良い。また、ホームページ上で寸法やデザインなどを記入し、イージーオーダーを受けるフォームやシステムを導入しているところもある。しかしながら、一対一のコミュニケーションが重要となる注文服の場合、コストをかけて複雑なシステムを導入するよりは、ホームページは入り口と位置づけて開設する方が賢明だろう。

3. 必要資金例

 以下は、アパート1室を事務所兼店舗(打ち合わせ・仮縫い所)とし、縫製は外注することとしてテーラーを開業する場合の資金例です。

4.ビジネスプラン策定例

1)売上計画例

2)損益計算のシミュレーション

※従業員はアルバイト1人を仮定

※初期投資一括計上分は、開業費の金額

※減価償却費は、設備工事費・什器備品費等の額を5年で償却したもの

※必要資金、売上計画、シミュレーションの数値は状況によって異なります。また、売上や利益を保証するものでないことをあらかじめご了承ください。

(本シリーズのレポートは、作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものですので、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

最終内容確認2013年9月

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