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小売業
中古パソコンショップ

目次

トレンド

1. 直近の市場規模は縮小傾向

総務省「平成29年度版情報通信白書」によると、2016年の世帯におけるパソコンの普及率を見ると若干であるが減少傾向にある。2010年に統計を取り始めたスマートフォンの爆発的な普及が減少の要因となっているものと考えられる。

一般社団法人情報機器リユース・リサイクル協会が平成29年11月に発表した内容によると、平成28年度リユースパソコンの販売台数は220万台となり、平成27年度と比べると約50万台少ない結果となっている。また、新製品パソコン出荷台数においては、1,011万台となり、前年と比べると約20万台増だが出荷台数のピークだった平成25年の1,651万台比べると38.7%減と大きく減らしている。

スマートフォンの普及がパソコン販売市場全体を押し下げる中、中古パソコンショップは中古パソコンの販売だけではなく、他商品の販売や特定のターゲットに合わせての専門店化など消費者ニーズを捉える必要がある。

2. 取扱い商品の拡大とターゲットの特化

現在では、3万円もあれば最低限の機能を備えたパソコンを新品で購入できる。そのような背景から、中古パソコンは割安感だけでは勝負しにくくなっている。

逆にスマートフォンはiPhoneが人気であり、価格も高い。そこでこれまでのパソコンに加えて、スマートフォンやタブレットなどの情報通信機器を扱うショップが主流になっている。それ以外の取扱い商品としてキャラクターフィギュアなども取り扱う店舗が増えており、男性客を中心に人気を博している。

一方で、そのような製品を取り扱わず、ターゲットを絞って中古パソコン販売に特化するショップもある。Apple製のパソコンのみを取り扱う店舗がその一例と言えよう。

中古パソコンショップの特徴

中古パソコンショップは、一般に、パソコンやそれに付随する商品を買い取り、修理やクリーニングを行って再度販売するショップである。買取りにおいては、個人ユーザーやリース会社などの法人から直接買取りを行うケースと買取り専門業者から商品を仕入れるケースの2つがある。

販売においては、実店舗、インターネットを通じて販売する方法、そしてその両方を行う3つのパターンに分類できる。

中古パソコンショップ 開業タイプ

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)実店舗

実際に販売店舗を構えて、商品の買取りや販売を行い、事業運営を行う店舗である。最大のメリットは、来店客が商品の状態を確認できることにある。パソコンは精密機械のため、電源を入れての動作確認や状態の確認を行わなければならない。実店舗で状態を納得して購入すれば満足度が高くなる。口コミやリピーター作りなどにつながる。

デメリットは、実店舗のため、開業時の初期投資や、その後の家賃負担や人件費などの固定費が大きくなることである。

(2)オンラインショップ

実店舗をもたずにインターネットを通じて商品の仕入れと販売を行う方法を指す。実店舗はもたず、倉庫や事務所を借りて事業を行う。メリットは、インターネットを通じて全国に展開できるため、多くの利用者に対し販売・買取りを行える。デメリットは、買取り、販売ともに実際に商品の状態を確認できないため、商品到着後のクレームや運送トラブルなどが発生する可能性がある。また、実店舗がないことから、利用者が不安を感じることもあるだろう。

(3)実店舗・オンラインショップ両方

実店舗、オンラインショップの両方で事業運営を行う形態である。メリットは、幅広い顧客層をターゲットとすることで売上を大きく伸ばす余地があるという点である。実店舗は購入意欲の高い利用者、店舗近郊の利用者を集客、オンラインショップは実店舗に来られないような遠方の利用者や多忙な利用者にアクセスすることが可能となる。

また、デメリットは、実店舗をもつ以上、初期投資と固定費の負担が高く、オンラインショップの双方となると運営負担が重くなるという点である。よって、オンラインショップ開業からスタートし、軌道に乗ってきてから実店舗を開業するのか、その優先順位を決める必要がある。また、展開のスピードやタイミングはどうあるべきか、なども見極める必要がある。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の7段階に分かれる。

(2)必要な手続き

中古パソコン店を営業する場合は、古物営業法に基づく許可が必要となる。申請先は、出店地域の警察署の生活安全課防犯係であり、申請に際しては次の書類が必要となる。

  • 住民票
  • 市区町村長発行の身分証明書
  • 登記事項証明書
  • 人的欠格事由に該当しない旨の誓約書(警察署に用紙が用意されている)
  • 過去5年間の略歴書(同)
  • 店舗賃貸契約書の写し
  • 申請手数料

申請から許可が下りるまでの期間は通常1カ月から1カ月半程度である。

品揃え・サービスの工夫

  • 実店舗、オンラインショップともに多種多様な商品を用意する必要がある。パソコンは安価な製品から高価な製品まで多様であり、性能もさまざまである。パソコン普及率が既に高い現状においては、人気が高い商品を仕入れる必要がある。
  • 新性能やバージョンアップなど新製品が常に出続けるため、既存商品の値段の見直しや販売年数が浅い商品の仕入れルートの確保などを常に行いたい。そうすることで、リピーターの獲得などにつながる。
  • スマートフォンやタブレットの品揃えも充実させたい。中古パソコンショップの中には、スマートフォンの取扱いに力を入れ、中古スマートフォンショップとして独立させるショップも出てきている。
  • 消耗品(USBメモリ、SDカード、ブルーレイディスク、キャリングケース、清掃用品など)などの周辺商品も多く集める必要がある。その際には中古品ではなく、新品を仕入れる必要がある。
  • 実店舗では店頭買取りも行いたい。買取りスペースの確保や専任スタッフの配置などはコストアップにつながるが、中古パソコンショップにとっては、重要な仕入れチャンネルの一つとなる。
  • パソコン修理サービスの導入も検討したい。修理作業は自社内でせずに専門業者に外注すれば、コストを抑えサービスを提供できる。

必要なスキル

  • 商品を買い取り、再販売を行うためには、それぞれの適正価格を判断できる必要があり、それに伴った知識と経験が必須となる。新品販売と比較すると、中古パソコンを買う層は、パソコンに詳しいことが多い。よって質問などにも的確に回答できることが求められる。
  • ただし、買取り価格の決定はスタッフ個人の力量に頼らずにできるような形を作りあげたい。具体的には、買取り時に必要なチェック項目を予め設定し、それをすべてチェックすれば自動的に買取り価格が決定されるなどのシステムである。
  • 新製品発売のタイミングや、それに合わせた市場価格の変動にも配慮し、既存商品の値下げ、ときには値上げを行うことが必要である。それを小まめにやることで、売上・利益の確保に努めたい。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

売れ筋の新古商品など、良質な中古パソコンをいかに安く仕入れられるかがポイントとなる。また、実店舗の場合、立地に関しては、認知されやすい駅前の好立地を選ぶことが重要である。

【参考】:駅前好立地で店舗面積約20坪の中古パソコンショップを開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜、祝日で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)中古パソコンショップ(駅前立地20坪)

※平日のいずれか1日を休業日に設定

■損益イメージ(参考例)中古パソコンショップ(駅前立地20坪)

人件費:従業員3名を想定

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2019年1月

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