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小売業
ペットショップ

目次

トレンド

1. 市場規模は回復の兆し

1999年と2005年に、動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)の改正により、飼い主責任の徹底や虐待や遺棄に関わる罰則強化がなされた。そのようなこともあり、一時期、ペット関連市場がマイナスに転じたが、2014年以降、ペット市場の規模は回復の兆しを見せている。
もともと人口減少が続く中、ペット飼育頭数は頭打ちの傾向があるが、近年は「癒し」を求める高齢者や単身者にもペットを飼う人が増え、さらにペットを家族同様に考えるコンパニオン・アニマル化が進んでいるため、高価格帯の商品やサービスなどが普及し、ペットあたりの支出が増えている。このような事情がペット市場規模回復の背景にあると考えられる。

2. ペット関連商品の多様化、高品質化

ペットを室内で飼う人や、家族同様に扱う人の増加により、ペット関連商品は多様化している。高級食材を使ったペットフード、スイーツ、室内飼育用のハウスやベッド、消臭・除菌・防虫剤、シャンプー、衣類・アクセサリーなど、さまざまな商品が開発されている。さらに、共働き世帯でもペットを飼うケースが増えていることから、Webカメラや電動式給水器などの商品も登場している。

また、ペット関連サービスについても、美容、シッターだけでなく、ペット飼育可マンション、ペット同伴可能なホテルやカフェ、レストラン、ペット保険、老犬ホーム、ペット葬祭・霊園など多様化している。飼い主およびペットの好みに応じて、さまざまな商品やサービスを選ぶことができる。

ペットショップの特徴

ペットショップが扱う対象は多く、犬、猫、鑑賞魚、小鳥、昆虫、その他小動物(爬虫類、両生類など)の生体、そして、各種生体用のフード、関連商品を販売している。また、犬・猫専門店や観賞魚(熱帯魚)専門店、爬虫類専門店など、専門店化が進んでいる。店舗によっては、トリミングなどの周辺サービスを行っているところもある。

生体の仕入れルートに関しては、犬・猫の場合は、自ら繁殖させる自家繁殖のほか、ブリーダー(繁殖業者・個人の繁殖家)、競り市場(ペットオークション)、専門卸売業者、輸入業者などからの仕入れになる。また、鳥類や魚類などの場合は、輸入商社、国内の生産・繁殖業者、専門卸売業者などからの仕入れとなる。

生体は店頭販売が主流であるが、一部ではネット販売もされている。ペット関連商品についてはペットショップだけではなく、大型量販店・ホームセンターなども力を入れており、競争が激しくなっている。

なお、2018年夏にイギリスでは、生後6カ月以下の子犬・子猫の販売を禁止する政府方針が発表された。日本ですぐに同様の動きになるわけではないが、海外も含め最新のペットビジネスの情報を収集しておくことが必要である。

ペットショップ業態 開業タイプ

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)独立店型

独自で店舗を構えて開業するタイプである。総務省統計局「経済センサス」(2018年12月時点最新)によると、2016年のペット・ペット用品小売業の1事業所あたり売場面積は82.9㎡となっている。狭すぎる店舗は動物にストレスを与えるため、この程度の広さの店舗物件は用意したい。ある程度の広さの物件を必要とするため、独立店型のペットショップの中には郊外で開業しているものもある。

(2)テナント型

ショッピングモールのような大型商業施設に、テナント出店するタイプである。商業施設のもつ集客力の恩恵を受けることができるが、悪臭や鳴き声などに対する他店からの苦情を避けるため、店舗に消臭・防音の対策を施す必要がある。

(3)ネットショップ型

実店舗がネットショップを運営するケースと、ネットショップ専業のケースがある。ネットショップ専業の場合は、実店舗を構える初期投資が要らないところがメリットとなる。ただし、一定量の在庫を保管する場所の確保は必要である。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

独立店型の開業に向けてのステップは、主として以下の7段階に分かれる。

(2)必要な手続き

ペットショップを開業するためには、事業所ごとに開業地域を所管する保健所への登録が必要となる。また、動物取扱業者として、事業所ごとに「動物取扱主任者」を置かなくてはならない。

都道府県レベルでも独自の条例による登録制度が設けられている場合があるため、事前に確認しておく必要がある。希少動物や危険動物に関しては、ワシントン条約にも十分注意する必要がある。

また、動物用の医薬品を取り扱う場合は、薬事法に基づく「動物用医薬品特例販売業」の許可が必要となる。

品揃えの工夫

ペットにも流行があるため、常に人気の品種を把握するようにしておく必要がある。ペットの仕入れに際しては、適切な飼育環境で繁殖をさせているブリーダーから仕入れるべきである。近年、悪質なブリーダーの存在がニュースになることがあり、消費者の目が厳しくなっている。ペットの飼育状況についてはペットショップにもチェックする責任がある、という認識が一般的になりつつある。よって、生体を仕入れるときには、どのような環境で飼育されているかをショップ側もしっかりと確認する必要がある。

ペット用品に関しては、次々と新商品が開発され販売されている。このため、新商品や売れ筋商品のチェックもしておくことが必要である。

さらに、ペットの周辺サービスを充実させれば、継続的な売上に繋がる。生体の販売やペット用品販売だけでなく、周辺サービスの取り組みも検討したい。

必要なスキル

オーナーやスタッフは、動物の生態や飼育方法、健康状態に関する知識や見識が必要となる。ペット販売では生体の病気にも注意を払わなければならない。仕入れた生体の健康状態を的確につかむためには、生体の飼育環境を常に把握しておくことが重要である。信頼できる獣医との関係構築も必要である。

開業に際しては、オーナー自らほかのペットショップでスタッフとして働き、ペットの飼育に精通したのち独立することも検討したい。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

独立店型25坪の店舗での開業を例にあげる。

【参考】:25坪の店舗で、犬・猫のペット販売のほか、ペット用品販売を行う場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)ペットショップ(独立店型)

※平日のいずれか1日を休業日に設定

■損益イメージ(参考例)ペットショップ(独立店型)

人件費:従業員2名を想定

※個人事業主を想定していますので、営業利益には個人事業主の所得が含まれます。

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2019年2月

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