業種別開業ガイド

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飲食業
居酒屋

目次

トレンド

(1)2017年の市場規模は1992年のピーク時の約7割

一般社団法人日本フードサービス協会資料によると、居酒屋の市場規模は、1992年に1兆4,629億円だったのをピークに縮小傾向が続いている。2017年の市場規模は1兆94億円であり、ピーク時の69%の水準となっている。

そのような居酒屋業態の中で伸びているのが、焼き鳥や串カツなど、特定のメニューにこだわりをもち、他店との差別化を図った「専門店」業態である。

(2)男性の居酒屋離れ

従来、居酒屋は男性客の利用金額が圧倒的に多かったが、2002年から2017年にかけて、どの年齢層においても3割以上、消費額が減少している。この背景としては、長期化した不況の影響でサラリーマン層の可処分所得が減り、交際費が減ったことや、自宅で安く飲む人たちが増えたことなどが考えられる。

(3)チェーン店は、過当競争の状態に

居酒屋のチェーン数と店舗数は2002年から2017年にかけて、50チェーン・1,000店舗ほど増加しているものの、売上規模は500億円程度縮小している。男性客の減少や価格競争で低価格化が進んだことなどが背景にあると考えられる。人手不足で人件費も上がっており、居酒屋の収益性は、かなり厳しいものになっていると推察される。

居酒屋の特徴

飲食の場としての地場やフランチャイズの居酒屋は古くからあったが、1980年代に多くのフランチャイズチェーンが店舗展開を進めたことで全国的に店舗数が増え、また、バブル期とも重なり居酒屋ブームが到来した。

メニューは、酒類のほか、焼き物、揚げ物、煮物、鍋物から生鮮魚介類まで幅広い。価格帯は比較的低廉である。大人数でも入店しやすいことから、学生やサラリーマンなどの支持を受け、宴会需要なども取り込んできた。また、居心地の良さを重視した個室タイプの居酒屋も登場し、カップルや女性客の需要を取り込むことにも成功している。

居酒屋業態 開業タイプ

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)駅前・オフィス街・繁華街型(従来型)

学生やサラリーマン・OLが集まる好立地で開業するタイプである。メニューは、焼き物、煮物、揚げ物など、あらゆる層の来店客に合わせられるよう幅広い品ぞろえになっている。また、好立地ゆえ、昼は定食などを提供する食堂として、そして、夕方以降には居酒屋として、二毛作型の営業をすることも可能である。

(2)専門料理店型

最近、人気が出てきているタイプとしてあげられるのが、専門料理店型の居酒屋である。焼き鳥、唐揚げ、手羽先料理、串カツなどにおいて、他店にない独自のメニューを開発し、自店の強みとして打ち出している。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の8段階に分かれる。

(2)必要な手続き

居酒屋の開業に際して必要な主な許可や届出は、以下の通りである。

メニューづくり

従来型は、好立地ゆえに、参入してくる飲食店も多い。学生やサラリーマン・OLを相手に、昼食メニューも提供するのであれば、近隣すべての飲食店、そしてコンビニエンスストアやスーパーまでが、競合となり得る。好立地という地の利を活かしながら、店舗の雰囲気、メニュー、価格などにおける優位性や個性を打ち出し、他店との差別化を図る必要がある。

従来型、専門料理店型のいずれにも言えることであるが、季節限定メニューの開発、忘年会・新年会はもちろん、卒業・入学・入社祝いの時期に合わせた宴会プランも忘れずに導入することが重要である。

男性客の減少ゆえ相対的に女性客の割合が増えているため、これまでなかった女性を意識した食事メニューの開発も必要であろう。

必要なスキル

居酒屋メニューは多岐にわたるため、さまざまな料理に対応できる調理師の確保が必要となる。「専門料理店型の居酒屋」を目指す場合は、高度な技術をもち、かつメニュー開発力のある調理師の確保が必要である。また脱サラしてスタートする場合は、オーナー自らが調理をすることが多いため、魅力的でおいしいメニューを作れることが求められる。

集客については、ホームページからの予約や飲食店比較サイトへの登録・クーポンの発行を日常的に行うことが必要であり、そのためPCやWebに関する最低限のスキルも身に付けておきたい。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

一般に、30坪前後の店舗面積をもつ店が多い。また、従来は、男性が利用客の中心であったため、内外装にはさほど気を配らなくてもよかったが、相対的な女性客の増加に伴い、店内はもちろん、トイレなどの清潔さや居心地の良さを追求した店舗づくりが求められており、内外装にもコストをかける店舗が増えてきている。

【参考】
繁華街:店舗面積約30坪、席数50席の居酒屋(駅前・繁華街立地)を開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画
店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)居酒屋(駅前・繁華街立地)

※平日に1日休業日を設定。

■損益イメージ(参考例)居酒屋(駅前・繁華街立地)

人件費:従業員3名とアルバイト2名を想定

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2018年11月

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