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飲食業
ラーメン店

目次

トレンド

1. ラーメン店ブームの到来

2000年代になって、全国各地で「ご当地ラーメン」が注目されるようになり、ラーメンブームとも言える動きが起きた。また、有名ラーメン店やご当地ラーメン店の屋号が付けられたカップ麺が開発され、コンビニなどで販売されるようになった。

ラーメン店ブームは、後述の市場規模の推移からも、未だ健在だと考えられる。ラーメンブームを下支えしているのは、若い男性層であり、客単価の低さや、「ガッツリ系」メニューの豊富さが、特に34歳以下の若い男性の支持を得るようになったと考えられる。

しかし、同じ男性でも35歳以上では、健康志向の高まりの反動などにより、ラーメン店の利用は控えられるようになってきている。

2. 市場は安定的に推移

ラーメン店に関する市場データとしては、2012年から4年ごとに統計が取られている「経済センサス活動調査(総務省統計局)」があげられる。同資料によれば、ラーメン店の市場規模は、2012年で5,129億円であったのが、2016年には6,019億円にまで拡大している。

また、品目分類は若干広くなるが「家計調査」を使った推計によっても、ラーメン店などへの家計の支出金額規模は3,000~3,500億円程度で安定的に推移している。 (家計の支出金額規模と上述の市場規模の乖離は、訪日外国人観光客などの消費によるものだと考えられる。)

市場規模の安定的な推移の背景には、ラーメンが広く日本人に好まれているメニューだという点がある。また、比較的小資本で開業できるという点から新規参入者が多い点もあげられる。

ラーメン店の特徴

ラーメンは、全国各地のご当地ラーメンだけでも100種類程度あると言われ、地域色やバラエティに富んだ料理である。単品料理とはいえ、麺、スープ、トッピング、それぞれの素材や調理法にさまざまな工夫が可能であることから、オリジナルに創作した料理を提供することもできる。

人気メニューであるため、新規開業する人の多い業態だと言えるが、中華料理店などを含め競合も多い。カップ麺やインスタントラーメンの商品開発も進んでいる。そのため、消費者の支持を得ることができなければ、売上が低迷するリスクが大きい。顧客を飽きさせない工夫や満足度を意識した店舗運営が強く求められる業態だと言える。

あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

ラーメン店業態 開業タイプ

(1)ご当地ラーメン専門店

全国各地のご当地ラーメン専門店である。地元に店舗を構えるのが基本とされるが、産地の食材を新鮮な状態で取り寄せることが可能なら、東京など都市部に店を出すことも可能である。 ホタテやカニ、イノシシの肉など希少食材をふんだんに使い、価格も1,500円以上と高めに設定している店もある。

(2)オリジナル型ラーメン店

麺、スープ、具材、盛り付けなどで個性を出した店舗である。専門店で修業をした人が独立開業するケースも多く、暖簾分けで独立する形態や、新たなブランド(屋号)で出店し成功する人もいる。また、国内だけでなく、海外に進出しているケースもある。特に東南アジアでは経済発展に伴い市場が拡大しており、日本食ブームもあって日本からの出店が進んでいる。

(3)低価格店

一杯ワンコインで食べられる低価格メニューを提供する。フランチャイズチェーンが食材の一括仕入れなどを行い全国展開しているケースが多い。オペレーションは簡素化され、アルバイトのマニュアルも完備され、低コスト・高効率な運営がなされている。

開業ステップと手続き

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の8段階に分かれる。以下は、オリジナル型ラーメン店開業の際のステップである。

(2)必要な手続き

ラーメン店の開業に際して必要な主な許可や届出は、以下のとおりである。

メニューづくり

  • 麺、スープ、具材において、地域性の打ち出しや、オリジナルな工夫を行うことが必要である。個人店の場合は特に他店との差別化が重要であり、例えば、手打ち麺にする、スープに他店にない隠し味を加える、地元または産地直送の限定された具材を添える、などの工夫が最低限求められる。
  • 一般的に、若い男性客が好むような肉類やボリューム、高カロリーなメニューが人気を得ているが、健康志向に配慮したメニューで、他の顧客層を取り込んでいくことも必要である。

必要なスキル

ご当地ラーメンやオリジナル型ラーメン店の場合は、食材は独自のルートからの調達で、調理方法も手の込んだものが多い。この場合、専門店で働きながら、調理技術を習得して独立することも検討したい。

チェーン店の場合は、麺やスープ、具材などは本部から日々提供され、調理法は本部の指導に従う。

個人店の場合は、メニュー開発だけでなく、いかに自店をPRするかという営業スキルも求められる。新メニューを開発した際には、プレスリリースの発行、出版社やテレビ局、WEB媒体などへの露出も積極的に行いたい。特に地域の情報誌(タウン誌)や旅行雑誌への広告などは効果が期待できる。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

ラーメン専門店の場合、店舗面積は10~20坪、席数は15~30席程度の店が多い。一般的に店舗規模が小さくそれほど内外装にこだわる余地は少ないために初期費用は低く抑えられる。ただ、厨房が独立していない店舗レイアウトが多いため、店内が汚れやすい。清潔さを保つ定期的なメンテナンスが必要である。

【参考】:店舗面積約15坪、席数20席のオリジナル型ラーメン店(駅前・繁華街立地)を開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜、祝日で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)ラーメン店(駅前・繁華街立地)

※土曜・日曜のいずれか1日休業日を設定。

■損益イメージ

(参考例)ラーメン店(駅前・繁華街立地)

人件費:従業員1名とアルバイト2名を想定

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況などにより異なります。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2018年11月

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