業種別開業ガイド

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飲食業
カフェ

目次

トレンド

(1)サードウェーブ(第三の波)の到来

コーヒー豆の品種や産地にこだわる「サードウエーブ(第3の波)」と呼ばれる新しいトレンドが生まれている。外食各社の参入が相次ぎ、月定額の会員制のコーヒー店などの新たな販売手法によるサービスも増加している。

(2)市場のすそ野の広がり

カフェ市場の規模は、ここ数年1兆1,175億円*前後で推移しているが、外資系を含めたセルフ式コーヒーチェーンの進化や、コンビニのカフェ展開など、コーヒー市場のすそ野が大きく広がっている。
*出典:(公財)食の安全・安心財団

(3)家カフェの浸透

家庭やオフィスでも「おいしいコーヒー」を飲みたい、という需要の高まりを受け、家庭用や業務用のコーヒーの総消費量が伸びている。大手コーヒーチェーンも家庭用コーヒーの流通チャネルに参入しており、コーヒーの人気を背景にさまざまな動きが活発化している。

カフェビジネスの特徴

カフェ利用者は、店内でコーヒーを楽しむだけではなく、休憩、会話、読書、仕事、学習などさまざまなことをして過ごし、目的により店舗の使い分けをしている。そのため、カフェは利用者のニーズやライフスタイルに合わせて、メニューやサービス方法、提供空間を変えることでさまざまな差別化が可能である。また、コーヒーの味、飲食、滞在時間など、何を重視するにしても美味しさの追求は不可欠であり、「こだわり」や「オリジナル性」が求められる。

カフェ業態 開業タイプ

業態の多様化が進んでいるため、あらかじめコンセプトを定め、それに沿って店舗タイプを選定することが重要となる。

(1)自家焙煎系

自家焙煎系はその名の通り新鮮な生豆を店舗で焙煎し、コーヒーのおいしさを売りにしている。また、顧客の好みに焙煎加減を調整するなどで満足度を高めている。単価設定は高めながら熱心なリピーター獲得を狙える店舗タイプである。

(2)カフェ飯・スイーツ系

特徴あるフードやスイーツメニューを充実させることで、「ドリンク+食事」で高い客単価を確保できる。特に女性客の取り込みを狙える店舗タイプである。民家を再利用して、自宅にいるような落ち着いた空間を売りにする店舗や、健康志向のメニューや和のメニューを提供する店舗もある。

(3)複合系(ブック・スポーツ・ペット)

サービス提供時間に対する課金制をとる店舗が多い。通常、滞在時間の長い客は店舗の回転率を下げる要因になるが、滞在時間の長さで課金ができるので、客単価の向上に繋がる。また、時間課金ではないが、ペットブームを背景にドッグカフェなど特徴ある店舗も伸びている。

(4)移動販売系

固定の店舗を持たず、人の集まる場所に移動して効率的な売上げを狙う。初期投資や地代家賃などの運営コストを抑えられるメリットがある。ワゴン車やトレーラーを改造して移動販売車にするが、移動販売であっても営業許可は必要である。人の集まる場所での営業が可能になれば、低コストで効率よく稼ぐことが可能になる店舗タイプである。

開業ステップ

(1)開業のステップ

開業に向けてのステップは、主として以下の8段階に分かれる。

(2)必要な手続き

カフェの業態や取扱商品によって、許可や届出が必要になる。主なものは以下の通りである。

メニューづくり

  • コーヒー豆の選定、抽出方法などのこだわりを反映させる。このこだわりを評価して、リピーターとなる場合が多い。
  • 食事メニューをつくる場合は、材料へのこだわりや提供方法の工夫を盛り込む。例えば、単なる「ハンバーグランチ」ではなく、「有機野菜と手作りハンバーグのワンプレート」といった形にまとめる。
  • 提供するコーヒーの種類の多さを売りにする場合は、「本日のコーヒー」などのメニューを設定し、さまざまな種類のコーヒーを気軽に試せるようにする。

必要なスキル

カフェの形態によっても異なるが、コーヒーの淹れ方やメニューづくり、珈琲豆の知識など、学んでおくべき知識やスキルが必要になる。実践で覚えることの方が多いが、カフェ経営の体系的な知識を学びたければカフェ専門のスクールやセミナーなどに通って学ぶ方法がある。

カフェでの勤務経験がない場合は、実際にアルバイトで働き、経験を積むことも一つの方法である。また、実務経験が少なく心配ならば、カフェで働いたことがあるベテランスタッフを雇うことも考えられるだろう。

開業資金と損益モデル

(1)開業資金

カフェの開業に必要な資金は、店舗の立地や規模によって大きく異なる。一般的にドリンク中心の小規模なカフェであれば、500万円~1,000万円程度と言われている。

開業資金のうち、店舗物件取得費や内装工事費が大きな割合を占める。そのため、居抜き物件(飲食店が撤退する時に、厨房施設や内装をそのままの状態にして退去した物件を言う。これを賃借することで、次に賃借した者は内装工事のコスト等を下げることができる)を活用することで、初期投資額を抑えることが可能である。

また、フランチャイズチェーンに加盟するという方法もある。その場合、店舗は本部が準備をしてくれて、初期投資は月々の売上から返済していくという「分割払い」のような制度を持っているところもある。その場合は、開業資金は相当低く抑えることが可能になる。

【参考】駅に近い住宅地
店舗面積約15坪、席数30席の喫茶店を開業する場合の必要資金例

(2)損益モデル

■売上計画

店舗の立地や業態、規模などの特性を踏まえて、売上の見通しを立てる。平日、土曜、日曜で来客予想数を変えるなど、細かく作りこむことが重要である。

(参考例)

※平日に1日休業日を設定。

■損益イメージ(参考例)

※開業資金、売上計画、損益イメージの数値は、出店状況等により異なります。

(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を元に作成した一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)

掲載日:2018年8月

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