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起業のススメ 社会人起業VS学生起業

農業に未来を託す11歳離れた“同士” 株式会社セプトアグリ代表 谷本征樹氏と大社一樹氏

「高収益農業の向上」を会社のミッションに掲げるのは、露地水耕栽培法を開発したセプトアグリ。谷本征樹と大社一樹、11歳年の離れた起業家2人が代表取締役を務める。年齢も経歴も性格も全く異なる2人だが、「これからは農業がビジネスとして重要になる」という思いで一致し、大きな夢に向かって突き進む。

水耕栽培は土耕栽培と比べて省スペースでの生産や多毛作が可能で、安定的な生産が可能だ。光や温度などを制御した完全室内型の植物工場の水耕栽培は害虫や病原菌が入らないため、農薬も必要ない。だが、現状では初期投資に加えて電気代や液肥のランニングコストが高く、採算が取れていないケースが多いと言われる。

左:谷本氏、右:大社氏

同社では種から苗までを室内で水耕栽培した後、同社開発の専用水耕栽培設備を使って屋外で育成できるようにした。苗から収穫までを太陽光と地下水や雨水で育成し、ランニングコストを削減した。設備は1反あたり500万円程度、同社で育成した苗は1株16円程度での販売を予定している。谷本は「今までの植物工場はコストをかけて、確実に安全なものを作る技術。わが社では安く作ることを追求した」。リーフレタスの場合、1反(約990平方メートル)の土地で1年間に5期作を行い、計10万株の生産が可能という。農家が1キロ600円で販売した場合、売上は600万円となる。

21世紀の地球を考える

谷本は25歳の時、「21世紀は環境関係のビジネスがいいだろう」と、神戸大学理学部地球科学科へ入学。年齢を重ねていることもあり、入学時から起業を考えていた。大学で学ぶ内に「環境が変わる時は植物が先に変わる。植物を扱えば、環境に携る仕事ができる」と感じた。植物の技術を習得するため、2010年4月に東京大学大学院農学生命科学研究科の修士課程に進学し、遺伝子組み換え作物について研究した。

遺伝子組み換え植物は外に花粉が飛ばないように、室内で実験や研究する必要がある。ここで、人工光栽培と水耕栽培の技術を身につけた。土耕栽培のように土を休ませる必要がなく多作が可能な点や苗を作るところまでなら採算が取れることを学んだ。卒業後、あるビジネスコンテストで出会ったベンチャー企業の社長から、植物工場のシステムを販売する会社の立ち上げ話があり、取締役として勤務した。が、「植物工場の9割以上は赤字。ユーザーが苦しむものを売ることはできない」として辞職。1人で農業コンサルを立ち上げ、東大大学院の博士課程に進んだ。

遊ぶ資金がほしいから…

一方、大社は慶応義塾大学在学中に、慶應義塾ニューヨーク学院(高等部)の入学を目指す専門学習塾を立ち上げる。同学院は慶応大学にエスカレーター式に進学できる米国にある高校で、大社の出身高校でもある。起業の理由は、「大学に入ってから遊ぼうと思った。その資金を考えると、アルバイトでは全く足りない」からだった。が、「実際に学習塾をやってみると、遊ぶ時間はなくなってしまった」。入試科目の1つの英語小論文を中学生に指導した。生徒は年間十数人で、合格率は97%。「このままでは合格しないと思った子にきつく叱ると、生徒の親に夜11時半くらいに呼び出されて1時間以上怒られた」ことも。保護者対応には苦労したが、しっかりと理由を説明し納得してもらえた。

そして、大学3年の時、同級生から「面白い人がいる」と紹介されて出会ったのが、谷本だ。同級生は、谷本が当時勤務していたベンチャー企業にインターンシップに行っていたのだ。谷本は、年齢が11歳離れている大社に対して「学習塾での親御さんの対応や、言葉遣い、礼儀がしっかりできていた。経営者としての経験は僕より上。営業もでき、技術の相談も一緒にできる。強力な同志だと思った」との印象をもった。大社も「これからは農業にチャンスがくる」と思っており、2人は意気投合した。翌年、谷本が博士課程1年生、大社が大学4年生の夏に、大社の親戚から1000万円を借りて共同創業した。

自然と格闘

しかし、農業生産は思う通りにはいかなかった。高価なビニールハウスが不要の露地生産が前提のため、自然との闘いになった。水耕栽培のレーンに雑草が生えないように、土に何日もかけてシートを張ると、大風でシートが全部はがされた。改めてシートを張り直し、出荷直前まで野菜を育てると、今度は風で吹き飛んでいた。レーンは野菜が風で飛ばされないように形状を変更した。ハクビシンなど動物に作物を荒らされることもあった。

「天候の違いで育つ時と育たない時がある。自然には苦労する。本来であればシステムはもっと早く完成していた」と谷本と大社はそろって話す。また、種から苗までの育成時に効率的に栄養を与えられるようにし、露地での栽培できるようにした。これらの改善を進める中、次第に開発資金が不足。銀行やベンチャーキャピタルに相談した。だが、色よい返事は得られなかった。「会社の時価総額は2、3億円」と前に評価したベンチャーキャピタルも出資してくれなかった。このため、大社の親戚から再び1300万円を借りた。谷本は「キャッシュがなくなると、焦って落ち込んでくる」一方、大社は「僕らのやっていることは間違ってはいない。焦っても仕方がない。いつか成功すると思っている」と対照的だ。

開発にめどをつけ、今春から千葉市内に約2000坪の土地を新規に借り、既存の土地と合わせて約1万平方メートルの農地で生産を開始する。生産品目はリーフレタスを中心に松菜、ほうれん草、小ねぎなどだ。自社生産にこだわるのは、「使う人の気持ちが分からなくなってしまう。結果、自分で使えないような水耕栽培システムを販売してはならない」からだ。2人で実際に農作業をしながら、開発を続け、3年以内に一般向けに設備と苗の販売を目指している。

(敬称略)

谷本征樹氏 大社一樹氏

谷本:起業したいといって、なかなか踏み切らない人がいる。そういう人は起業しない方がいい。本当に起業する人は、周りが止めても起業する。また、ユーグレナの出雲充社長の受け売りだが、「1人で起業するな。仲間と一緒にやった方がいい」という言葉は身に沁みます。今回の事業も自分が動けない時は、一方が動いてくれる。前の個人事業も2人でやっていたら、もっと違った結果があったと思う。
大社:人からの信頼とお金とやる気が大事。そういうのを大切にしていたら、助けてくれる人がいる。しっかりした人間関係を築くことが大事だ。

企業プロフィール

社 名 株式会社セプトアグリ
法人番号 8040001086886
代 表 谷本征樹 大社一樹
事業内容 露地水耕栽培システムの開発、販売
所在地 横浜市鶴見区元宮1-12-42
設立年月 2014年7月

掲載日:2016年3月25日

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