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起業のススメ 社会人起業VS学生起業

中小と大手をつなぐモノづくりの架け橋 リンカーズ株式会社代表 前田佳宏氏

「産業のプラット・フォームを作りたい」との思いで起業したのはリンカーズの前田佳宏社長だ。同社はモノづくり系を中心とした大手企業と中小企業を結びつけるマッチングサービスを提供している。2013年10月の開始以来、トヨタ自動車や富士フイルム、オリンパス、参天製薬、コクヨなど148社がバイヤーとして参加。バイヤーのニーズに対して、全国のコーディネーターが中小企業の埋もれた技術情報を発掘し、サプライヤー候補を提案するのが特徴だ。コーディネーターは全国の商工会議所や自治体など350機関に所属する1700人からなり、「全国10万社のモノづくり企業の情報が集まるネットワークを作った」。

製造業のためのマッチングサービス

バイヤーはサプライヤー候補企業に対して、段階ごとにニーズの公開内容を設定でき、各段階でニーズに合致しているかを評価して絞り込める。詳しいニーズ内容は数社に伝えることもできる。サービス開始から2年間でマッチングの成約数は97件。バイヤーの依頼はここ数カ月20~30件ペースで増えており、進行中を含めた総案件数は約240件。バイヤーのリピート率は6割だ。

マッチングの手数料はバイヤーから徴収するのもポイント。バイヤーのニーズは研究・開発部門からが中心で、「本当に解決したい案件しか来ない」という。

京セラ、野村総研を経て起業

前田は大阪大学工学部卒業後、京セラに入社した。創業者で現・名誉顧問の稲盛和夫への憧れからだった。海外営業として6年間、国内工場と韓国メーカーの連絡窓口を担当した。さまざまな経験を積む中で「国内工場の現場が韓国メーカーと直接やり取りすればいいのでは?」と、業務の非効率性が見えてきた。同時に「日本の産業界全般にインパクトを与えたい」との思いから、野村総合研究所への転職を決意する。

野村総研のコンサルタントとして大手企業に事業戦略からM&A(企業の合併と買収)を提案していけば、広く産業界に良い「インパクトを与えられる」と考えた。6年間の勤務で「自分で企画から、営業、事業戦略、買収までの提案をしてきた」。だが、担当した会社に影響を与えられても、産業全体への効果は薄い。「産業のプラット・フォーム作り」が必要と考え、起業を決意する。2012年4月、自らの貯蓄や日本政策投資銀行の創業支援資金などから、Distty(ディスティ)を1人で設立した。35歳の時だ。

ウェブマッチングを東経連と共同運営

最初に立ち上げた事業は、各産業で働く人を対象にしたSNSサイトの運営だ。約300業界のバリュー・チェーンを分析し、各業界の開発者や営業員などが自由にテーマを設定し、話し合える場を提供した。だが、登録者は「20~30人くらい。誰も議論しなかった」。サイトは3カ月で閉鎖した。

次に企画したのが、中小企業の技術情報をウェブに登録して、大手企業などとビジネス・マッチングを図るサイトだ。前年に起きた「東日本大震災の復興支援に役立てたい」との思いから、東北地方の中小企業の情報に絞ったサイトにすることにした。

そこで、中小企業を紹介してくれそうな、30以上の団体に電話。だが、多くの団体は担当者に取り次いでさえもらえなかった。唯一、話を聞いてくれたのが、東北経済連合会が主体で設立した民間事業支援組織の東経連ビジネスセンター(仙台市青葉区)だった。同センターは前田の考えに賛同。東北の企業をサプライヤーとして登録し、ウェブ上でビジネス・マッチングができる「eEXPO」の共同運営を始めた。

マネタイズの壁

前田は「eEXPO」のサプライヤー登録を増やすため、1年かけて約400社の中小企業を訪問し、各社の企業情報を自身で入力、ウェブに掲載した。39度Cの熱が出てもレンタカーで東北の企業をまわった。

ある社長から「こんなの作らなくていい」、「必要ない。お金にならない」と断られることもあった。前職のコネを使うなど「近道をすれば早いが、ノウハウがないといずれは苦労する。ゼロベースであえて苦労しながら、やりたい」と思った。

だが、苦労して企業情報をウェブに掲載しても、企業間のマッチングは進まなかった。バイヤーのアクセスが少なかったためだ。ビジネスモデルは、広告とキーワード検索などのアクセス解析データの販売を考えていたが、アクセス数の伸び悩みにより、収益化のメドが立たなかった。補助金頼りの事業だった。「簡単に上手くいくと思っていたが、売上が入ってこなかった。先が見えないのが苦しかった」と当時を振り返る。

転機となったのは、同センター所属のコーディネーターの一言だ。登録画面を見ながら「情報が載っていない」と言われた。自社の技術情報を外部に出したがらない中小企業が多く、ニーズに応えられるかわかりにくかった。

それならと、同センター所属の200人のコーディネーターに仲介を依頼し、マッチングが図れるのではないかと考えた。ちょうど、野村総研時代に繋がりのあった、あるコンサル会社から「サプライヤーを探している企業がある」と相談を受けた。コーディネーターに候補企業を探してもらったところ、立て続けに3件のマッチングが成約。このうちの1件は、自宅でカラオケや録音スペースに使える、ダンボール製の防音室「だんぼっち」の案件だ。バンダイナムコグループのVIBE(東京都中央区)が企画したニーズと、段ボール製造業技術を持つ神田産業(福島県須賀川市)を結びつけることで商品化された。

出資受け、人員拡張・システム導入

この成功により、2013年10月からコーディネーター仲介型のマッチングサービス「リンカーズ」を本格的に始めた。「eEXPO」との業務重複は「連携できる点」をアピールし、同センターを説得。現在も「eEXPO」の共同運営を続けており、「実際に連携させている」。

その後、ジャフコとDBJキャピタルの出資を受け、バイヤーのニーズを集める営業人員も拡充。マッチングの面談管理も「最初はエクセルに1件ずつ自分で手入力」から、システム化した。2015年4月には社名をリンカーズに変更した。

「ニーズが特殊すぎてマッチングが難しいこともある」ため、現在も地方自治体や中部経済連合会、地方銀行、大学などと連携し、コーディネーターできる人材を増やしている。今後、「米国の研究・開発予算は日本の3倍ある」と海外企業のニーズ発掘にも力を入れる。さらに、マッチングサービスにとどまらず、人材紹介や事業承継、M&Aなどに対応した包括的な「エコシステム(協業の枠組み)」の実現に向けた取り組みを進めている。

(敬称略)

前田佳宏氏

夢は頭の片隅に置いて、現実的に慎重に考えた方がよい。大手企業出身の起業家は勘違いして、過信する人も多い。会社の看板があって、ただ仕事していただけという人も少なくない。夢物語でずっと進んでしまうと結局、失敗してしまう。

1つの事業だけを綿密に考えて目標設定をしても、まずうまくいかないと思った方がよい。AがダメならB、BがダメならCと、異なるビジネスモデルを5つくらい考える。加えて、A、B、Cを成功させるための手段を10個、20個考えて、全部試すくらいが必要だ。

企業プロフィール

社 名 リンカーズ株式会社
法人番号
代 表 前田佳宏
事業内容 専門家提案型のビジネスマッチングサービス、ウェブ展示会の運営
所在地 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング5階(本店登記は宮城県仙台市)
設立年月 2012年4月

掲載日:2016年3月17日

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