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起業のススメ 社会人起業VS学生起業

三度の飯より好きな家電 こだわりを貫くために自分でやる ビーサイズ株式会社代表 八木啓太氏

「ワクワクするもの、世の中にないものを作りたい」と、1人で家電ベンチャー企業を立ち上げたのはビーサイズの八木啓太社長だ。最初に発売した電気スタンド「LED デスクライト STROKE2」は筐体に1本の金属パイプを曲げ加工で製造し、滑らかな曲線形状を実現したのが特徴だ。溶接による継ぎ目やネジを一切使わず、曲線部にシワもない、こだわりの家電だ。

価格は3万8000円(税別)と高めだが、「最高の光、最小の構造」をコンセプトに開発した。医療向けの高品質LEDを使用し、照らした時に赤や青の色を自然光に近い色で再現できる。

当初、正確な色の確認を求めるデザイナーや写真家、出版社など向けを想定していたが、子供の学習用スタンドなど一般にも利用され、初代の「STROKE」と合わせて累計4000台弱を販売した。ある高齢者からは「手芸の際、細かい色の違いがわかる」と好評だ。八木は「訴求した層に加えて、あらゆる人たちが支持してくれたのはうれしかった」と話す。

自分の生活で使えるものが作りたい

八木は大阪大学の工学部を卒業後、大学院修士課程に進み電子工学を学んだ。仕事は機械設計を希望し、富士フイルムに入社する。希望通り設計の部署に配属され、医療用のレントゲンや超音波診断装置の筐体設計を主に担当した。若くして筐体設計のリーダーを務めるなど社内での活躍を期待されていたが、3年9カ月で退社した。

「医療機器は毎日使うものではない。自分が生活の中で使えるものを作りたい」との思いが募っていったのだ。 家電メーカーへの転職も考えたが、最初から自由に開発することが難しいのはわかっていた。最も近道は、自分で会社を起こすことだ。

「実際に世の中に製品を出してみないと、売れるかどうかわからない。採算は取れるのか?」と、不安はいっぱいだった。月曜から金曜まで医療機器の筐体を設計し、週末には1人で卓上ライトの試作品を作る日々が続いた。大きな不安の半面「欲しい人は必ずいるはず」と自信を持つように努めた。そんな時、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズの言葉に勇気づけられた。「もし今日が人生最後の日だったら、今日やる予定のことをしたいだろうか?」という言葉だ。「最後の日なら、会社には行かず自分でデスクライトを作る」それが偽らざる気持ちだった。

富士フイルムに勤務している時、担当の外注の加工会社だけで40~50社と取引きしていた。「独立したら、この部品はあの会社に頼めそうだ」と頭に浮かび、折に触れ「もし私が独立したら、仕事を頼めますか?」と聞いてみた。どこも快諾してくれた。2011年2月、貯蓄と退職金を合わせた1000万円をもとに会社を設立した。27歳の時だった。

だが、東日本大震災の影響で、あてにしていた取引先の工場が一時的に操業をストップした。関西など他地域の工場に依頼するも、「10社頼んでも9社に断られた」。製品のデザイン性と品質を追求したため、加工が難しかったからだ。また、起業前には協力を快諾してくれていたのに、いざ独立すると「個人の仕事は受けられない」と断られることもあった。量産数が未定で、大手企業のように関連した仕事が一度に増える可能性が低いからだ。

特に難しかったのが、パイプの曲げ加工だ。15社ほど当たったが、図面を見ただけで「無理。できない」と言われたり、コスト面で折り合わなかったりと会社探しに苦労した。

使う人が、明かりを気にせず手元の作業に集中できるようなデザインにしていた。「ここだけは妥協したくなかった。パイプのシワや継ぎ目、連結部のネジは目障りになってしまう。意識のノイズになるものは全て排除する」と徹底したためだ。

最後にたどり着いたのが、自動車向けのパイプ曲げ加工を得意とする武州工業(東京都青梅市)。インターネットで探した。同社の協力を得たが、1本パイプを曲げるのも容易ではないため、量産化にはパイプ曲げ用の金型の修正や潤滑オイルの調整など改善を重ねてもらった。「上手く曲げられたと思っても、パイプが楕円形だった」こともあった。曲げの量産は半年を要した。「ここまで苦戦するとは思っていなかった」と当時を振り返る。

デザインのこだわりを貫く

一方、設計は品質を犠牲にせず、量産用金型や部品点数を極力、少なくなるようにした。資金的に大型の初期投資ができないためだ。ここでは「富士フイルムの経験が活きた。医療用機器は1000台売れれば十分な製品もあり、小ロットでも低コストで作って、利益が出る設計を要求された。今回は金属加工、押し出し加工、板金加工など各社が出す要求を、製造方法まで理解した上で、設計に落とし込んでいった」。「メイド・イン・ジャパンの製品が減るなか、我々も応援しないといけない」と、部品供給を積極的に協力する商社もあり、10カ月で量産化に成功し、製品を発売した。

販売は自社ホームページの直販から始めた。発売直後は知人や友人の購入だったが、国際的なデザイン賞の1つ、ドイツの「レッド・ドット賞」を受賞したことで、注目を集める。ウェブメディアや地元新聞社に取り上げられ、フェイスブックで情報が拡散され、売れ始めた。直販に加えて、「実物を触って、見られる機会を増やしたい」と、インテリアショップやホテルなどの販売店を増やしている。今秋にはアメリカと欧州からも購入できるように物流と決済体制を整え、海外販売を開始する。

社名の由来は、人間の理想的価値である「真善美(しんぜんび)」を文字ったもの。「技術的に優れ、社会をより善くし、美しい存在であること」との思いが込められている。

電気スタンドの次に開発したのはスマートフォンやタブレットなどのワイヤレス充電器「REST」。「充電という行為を意識しなくてもいいように、生活空間に溶け込むようなデザイン」設計の製品だ。国産の杉間伐材を使い、環境に配慮した。

現在、第三の展開として、IoT関連のサービスを開発中。「『デザインとテクノロジーで社会貢献する』が会社のポリシー。美しいデザインと技術力で、世の中の問題を解決していく」と力を込める。

(敬称略)

八木啓太氏

起業すると、上手くいかないことも、辛いこともある。好きなことでないと、続けられない。儲かりそう、流行りそうというだけで始めると、辛い時に続けられないと思う。三度の飯より好きくらいで良い。起業して行き詰った時は、先輩起業家などいろいろな人に話を聞いてみること。保守的な人の意見も、リスキーな人の意見も聞く。どちらかを採用する必要はない。みんな、ああ言っているけど、自分はこうだなというのがわかる。自分はどう考えているか、より明確になることが大事だ。

企業プロフィール

社 名 ビーサイズ株式会社
法人番号 4021001046274
代 表 八木啓太
事業内容 家電製品の企画・製造・販売
所在地 神奈川県小田原市城内2-16
設立年月 2011年9月

掲載日:2016年3月17日

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