女性起業家応援ページ

一億総活躍社会が叫ばれ、女性の活躍が期待される昨今。自分の特技を活かした起業や、社会的ニーズや課題を解決するために、起業をする女性も増えています。本ページでは、起業のきっかけや困難への対処法、今後のプランについて先輩企業家に話を聞くとともに、女性による企業支援事例などをご紹介します。

経産省の女性起業家支援コンテストで最優秀賞
札幌市男女共同参画センターの「強み」とは

女性起業家支援と地方創生は同時に語られることが多い。都市部のように様々な働き口があるわけではない中、女性が愛着を持つ地元に住み続けるためには、自ら仕事を「作り出す」必要がある。全国に先駆けて女性起業家支援に取り組んできた札幌市男女共同参画センターの担当者・菅原亜都子さんと、札幌で女性起業塾を運営してきた行政書士の伊藤順子さんにお話を伺った。女性支援のプロが多様な職種、機関を巻き込み、北海道全域で女性起業家支援に取り組む。

札幌市男女共同参画センター・菅原亜都子さん

札幌市男女共同参画センター・菅原亜都子さん
URL:http://www.danjyo.sl-plaza.jp/jigyo03/

株式会社ワタラクシア代表取締役・伊藤順子さん(行政書士)

株式会社ワタラクシア代表取締役・伊藤順子さん(行政書士)
URL:https://nadeshikoschool.com/watarakushia

目次

取組みの内容

―― 経済産業省の女性起業家支援コンテストで、菅原さんの所属する公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会が総合部門で、伊藤さんは個人部門でそれぞれ表彰されました。

菅原 嬉しかったです。(公財)さっぽろ青少年女性活動協会は、札幌市から男女共同参画センターの運営を受託しています。7年前から札幌市を中心に北海道内で女性の起業支援を手掛けてきました。

一般的に言って、女性起業家は身近なお手本が少ないため、コミュニティを作ることも重視してきました。

伊藤 私は行政書士として、起業志望の女性を支援したいと思い「なでしこスクール」という起業塾を主宰しています。当初から、札幌市男女共同参画センター内のコワーキングスペースを活用させていただいており、札幌市男女共同参画センターなどの支援機関と一緒に女性起業家の支援を進めてきました。

支援機関が互いに連携

今回、経産省からは「連携性」を評価していただきました。私たちは意識して連携している、というより、自然に一緒にやってきたという感じです。

―― 「連携」することで、起業志望の女性たちにどんな支援ができますか。

菅原 伊藤さんの「なでしこスクール」で起業について学んだ女性が、札幌市男女共同参画センター内にある「リラコワ」というコワーキングスペースを利用して、実際に起業準備を進めていくことができます。

また、平成28年度からスタートした「ほくじょき.net」という北海道の女性起業家支援のネットワークにつながることで、道内どこに住んでいても困った時に相談できる体制を目指しています。「ほくじょき.net」には、金融機関や中小企業支援機関、信用保証協会、中小機構北海道本部を始めとして、コワーキングスペースや在札幌米総領事館そして、道内各地の女性起業家コミュニティ、女性起業家支援に関わる33の機関が入っています。

支援者同士の「連携」には、なかなか難しい面もありますが、年2回、会議を開き、グループワークを必ず取り入れて、構成機関同士の価値観を分かり合えるようにしています。様々な組織に所属する人たち同士、個人として関心を持つように促し、支援チームとして女性起業支援の連携を進めています。

伊藤 結果的に大きな「連携」になりました。もともとは、私たちが「どうしたら、地元の女性の起業したい気持ちを支援できるか」考えて、それぞれが出来ることをやってきました。

起業塾に来る人は「自分はこれをしたい」という意思を持っているため、今なでしこスクールに来る人のうち半分くらいは、起業しています。率としてはけっこう高いと思っています。

事業の特徴や起業の経緯

―― 女性起業家の事業に特徴はありますか。

伊藤 女性がお客さんで、開業資金をあまり多く必要としないサービス業が多いと思います。

最近増えているのは、会社員から起業したいという方です。30~40代で会社勤務中、ある程度仕事ができるようになってくると「このまま同じことをしていていいのかな?」と考えるようになる方が多いようです。子育て中の女性に限らず、独身で独り暮らしの方もいます。

会社員の働き方見直しの機運があるためか、パラレルキャリアを目指す方も増えているように思います。

支援する側は

菅原 女性起業家支援を始めた頃と比べると、支援者の仲間が増えた感じがします。政府の女性活躍政策の影響で、起業分野の中でジェンダー主流化がなされてきたためだと思います。男女共同参画センターだけでなく、ほかの支援機関、金融機関においても女性起業支援に力を入れる時代になりました。

起業志望の女性は様々なアイデアや、新しい情報、テクノロジーを活用しています。一方で、彼女達を支援する側は、その変化についていけているかな、と感じることもあります。起業支援と言えば、事業計画の作り方を教えて、融資の仲介をして…という従来の形を想定してしまう人もいまだに少なくありません。

ひとくちに起業といっても形態はさまざまで、NPOを作り受益者からはお金をもらわず、広告や寄付で収入を得ようと考える人もいます。ビジネスモデルが多様化していることを、支援機関も勉強しなければならないと感じています。

伊藤 私自身は、起業塾を開いていますが、皆さんが無理に起業しなくてもいいと思っているんです。自分が満足できる生き方・働き方をするお手伝いができたらいいな、と。

起業塾の受講生の中に、元ソフトテニスの選手がいました。この方は、子どもに教えることが好きだったので、テニスを子どもに教える事業で起業を検討していらっしゃいました。結果的には、関連の協会に「就職」をしたのですが、起業塾に来ることで自分がやりたいことを見つけられたことが良かったのではないか、と考えています。

―― 開業率を上げることが目的ではなく、幸せに生きるために起業という選択肢があることを知らせる、という感じでしょうか。

伊藤 そういう感じです。とても面白かったのは、なでしこスクールを見学して下さった50代の男性経営者が「うちの社員も起業スクールに通わせたい」とおっしゃったこと。会社員を続けるとしても、起業マインドを持つことで発想が豊かになり、自分で積極的に新しい道を切り開いていくようになります。

菅原 私たちは男女共同参画施設として、性別にとらわれず誰もが能力と個性を発揮できる社会をつくることがミッションです。女性が能力と個性を発揮できるのであれば、起業でもいいし、就業でもいいし、別の方法でもいいのです。そういう意味で、創業支援機関とはミッションが異なります。

しかし、女性たちが起業を成功させることは、男女共同参画社会実現のためのたくさんある目標の一つですし、創業支援機関の目標にもなり得るのです。そういった意味で、ミッションは違うけれど、共通する目標を有する機関、団体同士の連携は意味が大きいと思っています。

支援の広域性

―― 経産省の女性起業家支援コンテストでは「広域性」も評価の対象となりました。

伊藤 なでしこスクールは札幌市内にとどまらず、北見市(札幌から特急で4時間半)や旭川市(同1時間半)からも参加者が集まります。情報が少ない地域に住む女性たちは、札幌で勉強したいという意欲も高いのです。

菅原 北海道は広いので、札幌を拠点にする私たちだけで道内全域をカバーするのは不可能です。どこに住んでいても安心して支援を受けられることを目標としていますので、地元で人脈構築することが大事だと思い、地元女性の起業家ネットワーク「じもじょき.net」を作りました。ここには、女性起業家コミュニティを中心に、行政や、金融機関などが集まっています。

支援のために必要なもの

―― 女性起業家の支援で、もっと必要と思われるものがあれば教えて下さい。

伊藤 子育て中の女性にとっては、やはり保育園不足の問題が大きいです。私も子どもが0歳の時は保育園を使うことができず、待機していました。認可外保育園の一時利用とベビーシッターを使いつつ、何とか仕事を続けていた感じです。

起業を目指す、自営業、個人事業主、フリーランス女性も保育園を使えるようになったらいいなと思います。

菅原 女性起業の課題は多様ですので、より多様な支援者の方に女性起業家支援ネットワークに参加してほしいです。例えば「じもじょき釧路」ではキャリアカウンセリングを重視しているのが特徴です。支援ネットワークにキャリアカウンセラーが加わったら、生き方や仕事の方向性で悩む女性のカウンセリングをしながら、選択肢のひとつに起業があることを伝えることができます。

ゼロをイチにするための支援を、これからも続けていきたいです。