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頑張れシニアベンチャー
仏壇の総合メンテナンス業で子どもの頃からの夢を実現

35年勤めた会社を58歳で退職した後、仏壇の解体・洗浄・磨き・掃除・修理・彩色すべてを手掛ける総合メンテナンス業で起業。古くなった仏壇をまるで新品のように甦らせる技術で、リサイクル・リユース時代のニーズを捉える。

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株式会社浄美堂
代表取締役 恵良健一(えら・けんいち)

大学卒業後、大手電機メーカーのビルメンテナンス会社に就職。エレベーターの据付、調整、修理などの技術・技能およびその管理技術を身に付けた後、2006年、58歳で退職し、仏壇の総合メンテナンスを手掛ける「浄美堂」を設立。

目次

仏壇のクリーニング・メンテナンスのニーズに着目

──58歳の時、起業されたということですが、それまでの経緯を教えてください。
私は大学卒業後、昭和46年に大手電機メーカーのビルメンテナンス会社に就職し、エレベーターの修理・改修、管理の仕事に35年携わってきました。早期退職制度が導入された50歳の頃から第二の人生のことを考え始め、58歳の時に退職して、それまで心の中でやりたいと思っていたことを実際に実現してみようと決意しました。
──仏壇の総合メンテナンス業という事業の発想はどこから?
 実はもともと私の実家は、福岡県の飯塚市で仏壇店を営んでいました。中学生の頃から工場で職人さんの仕事を手伝ったり、配達に行ったりしていたのですが、クリクリ坊主頭の私が行くと、「一休さんみたい」とどこに行っても大変喜ばれ、将来もこの仕事をしたいと思っていたんです。
 ところが昭和40年代、安い中国産の仏壇が輸入されるようになって価格面での競争が激しくなり、「将来、食っていけなくなる。普通の会社員になれ」と親に言われ、家業を継ぐのをあきらめて就職しました。事実、私が就職して4、5年経った頃、実家は廃業しました。
──仏壇店ではなく、仏壇のメンテナンス業にされた理由は?
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仏壇店となると、仕入れのリスクが大きくなります。しかも、私は子どもの頃から、仏壇・仏具が洗浄するだけで新品のようにきれいになるのを見て、子ども心に、「塗り替えたり買い替えたりしなくてもいいのに、もったいないなあ」と思っていたのです。
 買い替える余裕はなくても、古く傷んだ仏壇をきれいにしたいと思っている人は多いはずだと考え、エコやリサイクルが注目される時代のニーズにも合致するのでは、とクリーニングとメンテナンスを手掛ける事業を選択しました。実際、お客さまの費用は、新品を買う場合のおよそ3分の1くらいで済みます。
──技術職として、エレベーター管理の仕事と何か共通点はありますか?
 電気関係だけは仏壇・仏具にはありませんが、それ以外は、使う工具や技術も応用できますし、何よりも、「迅速・正確・親切・丁寧」を行動指針とすべき点はまったく同じです。それを現在の浄美堂の事業理念のひとつにもしています。

高度な専門技術で古くなった仏壇を新品のように復元

──クリーニングだけでなく、修理・修復まで行なうのですね?
 仏壇は年数が経つと、ホコリや汚れがたまり、線香の煤や空気中の油の付着によって艶がなくなるだけでなく、金箔が剥がれたり、木が反り返ってしまったり、傷や障子のやぶれなどもあるものです。単に薬剤で洗浄するだけでなく、新品のように美しく復元するには、細かい部品の修理が必要になってきます。
──実際の工程は?
 金仏壇、唐木仏壇など、仏壇にも種類があり、それぞれにあった洗浄、リペア法があります。まずそういった素材や構造、部品など全体を点検し、すべてを解体するところから作業が始まります。そして、部品、部材ごとに洗浄、磨きを行ない、金箔の剥がれなどは箔押しで修理し、漆の塗り替えもしますし、他にも壊れたりやぶれたりしているものはすべて修繕・修復します。
──時間も手間も大変かかる作業ですね。
部品は200-300個にもなりますし、解体して、ひとつひとつ洗浄、修理するにはやはりそれなりの時間がかかります。最後に全体を再び組み立てて完成ですが、納品まで1カ月ほど時間をいただいています。工場にお預かりして施工する場合と、ご自宅に訪問して施工させていただく場合があります。お預かりするのは、ご自宅の新築や引っ越しの場合などが多いですね。
──大変専門的な技術が必要だと思いますが、どのように身に付けられたのですか?
仏壇についての基本的な技術は子どもの頃から実家の仕事を手伝いながら身に付けていました。ただ、解体して、元通りに復元する作業の方法や、素材、部品別の最適な洗浄法などについては、起業してから自分なりに考え、試行錯誤しながら見つけていきました。毎日が研究の日々でしたね。

仏壇のノウハウを生かし、新しいジャンルの開拓を目指す

──スタッフは?
基本的に解体から組み立てまで、箔押しや漆塗りなども含めてすべての工程を私一人で行なうことができますが、外部に2名の応援職人がいて、忙しい時は連携して作業します。また、幸いなことに、娘が会社勤めを辞めて近隣の仏具店で2年ほど修行し、金箔貼りの技術を身に付けてくれました。大変助かっています。
──仕事で一番やりがいを感じるのはどんな時ですか?
何と言っても、仏壇を納品した時のお客さまの喜ぶ顔と「ありがとう」の言葉ですね。「うちの仏壇ってこんなにきれいだったの。おじいちゃんが帰ってきたみたい」と涙を流されたり、本当に心から感謝してくださっているのがわかります。この喜びはちょっと他の仕事では味わえないんじゃないかと思うほどです。
──もっとも苦労されたことは?
この仕事は、知ってさえいただければニーズは確実にあるのですが、なかなか大々的にPRするという訳にもいきませんし、そこが一番苦労しました。仏壇のメンテナンスなど一生に一度のことですから、お客さまとは常に一期一会ですし。ただ、うちが起業して以後、同様のサービスを始めるところも出てきて、徐々に知られるようにはなってきました。おかげさまで、お客さまから次の方をご紹介いただいたり、クチコミやお寺さんの紹介などで順調にご予約をいただいています。
──今後の課題は?
お仏壇のクリーニングをさせていただいたお客さまから、古くなった御殿飾り雛もきれいにならないかとご相談を受け、仏壇のノウハウを生かして洗浄・復元させていただきました。今後は仏壇以外でも、お客さまの大切にされているさまざまな品のクリーニングや修理に幅を広げていければと思っています。本当に必要とされているところに、自分たちの技術やサービスを届けたい、というのが願いです。
──起業する方へのアドバイスをお願いします。
どんなに素晴らしい商品や技術、サービスやアイデアがあっても、それを望んでいる人にたどり着かなければ商売は成り立ちません。起業する時にはPRの方法や販路、営業の面まできちんと考え、そして自分の提供する商品やサービスに自信があったら、息切れしないように頑張ることが大切だと思います。

株式会社浄美堂のホームページ


掲載日:2014年3月31日

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