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頑張れシニアベンチャー
カンボジアでバイオ燃料の原料を大規模栽培

化石燃料の代替燃料として注目が集まるバイオ燃料。その原料のひとつ、キャッサバの栽培に第二の人生を賭けるのが、バイオ・アグリの梶浦唯乗氏だ。"一生一兵卒"をモットーに、「やりがいのある目的を持ってチャレンジし続けることが大切」という梶浦氏に、ビジネスの概要と起業の経緯を伺った。

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バイオ・アグリ株式会社
代表取締役社長 梶浦唯乗(かじうら・ただのり)

1949年生まれ。静岡県出身。東京農業大学卒業後、サラリーマンを経て、30歳でギャラリー東京を設立した後、35歳でアールビバンを設立。1996年、店頭市場(現ジャスダック)に株式公開。2003年、アールビバンの専務を退任し、2007年にバイオ・アグリを設立、社長に就任する。

目次

2年単位で栽培。1本から40キログラムを超える収穫も

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──御社の事業内容を教えてください。
カンボジアで、バイオエタノールの原料となるキャッサバというイモの大規模栽培をしています。キャッサバは、日本ではタピオカとして知られていますが、東南アジアでは、食品だけでなく、家畜の飼料やアルコールの原料、工業用接着剤、バイオプラスティックの原料としても利用されています。また最近は、とうもろこし、さとうきびに続くバイオエタノールの原料としても注目を集めています。
──事業の状況はいかがですか。
昨年までの約3年間は、試験栽培をしていましたが、今年から本格的に大規模栽培を始めました。現地の農民から借りた230ヘクタールに加え、投資企業から500ヘクタールを受託し、合計730ヘクタールで栽培を行っています。最初の収穫は2014年12月の予定です。
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──バイオ燃料の普及には、化石燃料に対する価格競争力をつけることが欠かせません。原料として価格競争力を高めるための工夫を何かされていますか。
現地の農民は、毎年収入が欲しいので、1年単位で収穫しますが、我々は、2年単位で栽培しています。1本の木から採れるイモの量は、1年ものだと3、4キログラムですが、2年ものだと、20-30キログラム、大きなものだと40キログラムを超えるということが試験栽培で判明したからです。
 大規模栽培になると、試験栽培より収穫量は減りますが、それでも10キログラムにはなると見ているので、1年物の2倍以上にはなり、生産効率は高まります。しかも、キャッサバは、苗を植えてから3カ月目くらいまでの世話に手がかかるのですが、2年単位での栽培だと、世話も2年に1回でよくなるため、労働効率も高まります。
 さらに、キャッサバは大きくなるほど、でんぷん質が多くなるため、質の面でも2年サイクルの栽培は優れていると言えます。また、収穫もトラクターの後ろにアタッチメントを付けて掘り起こすので、手間がかかりません。さらに、茎の部分は次のイモの苗木として使え、さらに、余った分は砕いて畑の肥料にすることができるため、ムダもありません。
──販路はどうされているのですか。
中国に原料を販売する会社が100%引き取ってくれています。中国は、公害問題が深刻なことから、バイオエタノールの普及を進めていますが、その結果、食料用のトウモロコシの価格が高騰したため、トウモロコシに替わる原料として、キャッサバの需要が高まっているのです。

アート販売会社の経営から農業へ

──バイオ・アグリを立ち上げられる前は、アート関連の事業をしておられたと伺っています。なぜ、畑違いのビジネスを立ち上げられたのでしょうか。
欧米の版画を販売する会社を仲間とともに立ち上げ、株式の公開まで果たしました。原画中心だった時代に、原画より手頃な版画を扱い、しかもローンを組めるようにしたことで、若い世代にも優れたアート作品を買えるようにしたことは、社会的にも意義のあることだと思っていました。ただ、私は東京農業大学の出身ということもあり、いつかは農業に携わりたいという思いも持っていました。
 そんなとき、京都議定書が締結され、環境意識が高まり、バイオ燃料が注目され始めたこともあり、「バイオ燃料の原料の栽培なら、やりたい農業もでき、社会にも貢献できる」と思い、起業を決意したのです。
──栽培地としてカンボジアを選んだのはなぜですか。
知人が東南アジアをくまなく調べた結果、カンボジアが最適だと判断したからです。政府も前向きで外資が確保しやすい農業用地があり、政治も安定しており、国民性もいい。こうしたことから、その知人を社長にし、現地法人を立ち上げたのです。
──資金調達はどのようにされたのですか。
縁故から約3億円を集めて資金にしました。ただ、大規模栽培にあたっては、新たに資金が必要となったため、事業参加者を募って資金を集めています。これまでに、1つの法人と20人の個人が参加しています。

一生一兵卒としてチャレンジを続けたい

──これまでに大変だったことは、ありましたか。
起業当初は、ジャトロファというイチジクに似た実を栽培する予定でした。しかし、ジャトロファは、木の実なので手で収穫しなければならないうえ、草取りなども必要になるために、人件費がかかり、価格競争力がないということがわかり、キャッサバに切り替えることにしました。ジャトロファの栽培にかなりの投資をしていたので、その決断には覚悟がいりましたね。
 それから、天候の影響を受ける点も悩みですね。とくに今年は雨が多く、水が貯まった場所のイモは壊死してしまいます。あらかじめ1割程度は想定しているのですが、雨が多いとその割合も増えるので、安心はしていられません。
──設立した会社の株式公開まで果たされ、悠々自適な老後も選択できたわけですが、なぜ、あえて起業という道を選ばれたのでしょう?
私は、野球の野村克也監督の"一生一兵卒"という言葉が好きで、いくつになってもやりがいのある目的を持ってチャレンジしていることが大切だと思っています。自分がやりたかった農業もでき、地球温暖化防止にも貢献できることは、魅力的だと思ったからです。
──今後の事業展望を教えてください。
現在、当社は、カンボジア政府に農地として開発可能な政府の土地2000ヘクタールを申請しています。これは75年にわたる長期賃借契約なので、認可が下りれば安心して大規模栽培が継続できます。また、今は収穫したキャッサバは、すべてカンボジアの企業に販売していますが、将来は日本企業に販売できるようにしたいと考えています。出光興産が4年後に現地にバイオエタノールの工場と農場を作る計画を発表しているので、ぜひ、その栽培を受託できるようにしたいですね。
 また、バイオ燃料の新たな原料として注目されているスイートソルガム(コーリャン)の栽培も計画しています。キャッサバの収穫期は乾季ですが、ソルガムの収穫期は、雨季なので、これらを組み合わせて栽培すれば、1年中原料が供給できます。そのために、ソルガムの試験栽培を来年から始める予定です。

バイオ・アグリ株式会社のホームページ


掲載日:2014年1月 9日

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