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頑張れシニアベンチャー
新薬開発の臨床試験事業で起業【クリオサイエンス】

再編が進む製薬業界。「度重なる合併に振り回されずに自分のやりたい仕事をしよう」そう考えた代田博文氏は、サラリーマン人生に終止符を打ち、仲間とともに新薬開発の臨床試験に特化した「クリオサイエンス」を立ち上げた。

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クリオサイエンス株式会社
代表取締役社長 代田博文(しろた・ひろふみ)

長野県出身。大学卒業後、外資系の製薬会社に就職。医薬品の研究開発から製品のマーケティングまで幅広く手掛ける。2007年、58歳で「クリオサイエンス」を設立、社長に就任する。

目次

度重なる合併に嫌気し、独立を決意

――御社の事業は新薬開発受託とのことですが、具体的な内容を教えてください。
当社は、新薬を開発する際の臨床試験の部分を製薬会社から受託し、全国各地の病院と協力しながら行っています。かつて、製薬会社は新薬開発の基礎研究から臨床試験までを独自で行っていましたが、最近は、臨床試験の部分をアウトソーシングするケースが増えてきています。そうした需要に応えるのが当社の仕事です。
――社長ご自身も起業される前は製薬会社に永年勤務されていたそうですね。
大学を卒業して以来、外資系の製薬会社で医薬品の開発に携わっていました。また、開発した新薬のマーケティングも担当しました。一般的には、開発部門の人間はマーケティングまで担当することはないのですが、その薬が大きなシェアをとれるとの予測から、開発者として薬を熟知している私に白羽の矢が立ったのです。当初は畑違いの仕事に乗り気ではありませんでしたが、その経験が今、大きく役立っていますね。
――充実した日々を送っておられていたようですが、なぜ独立を選ばれたのですか?
度重なる合併に嫌気がさしたからです。勤めていた会社は、まず日本企業と合併し、その後さらに外資系とも合併しました。合併するたびに賃金の削減や部署の異動などがあり不満に思っていたので、上司が社長として移っていった企業に転職をしたのです。しかし、結局その会社も合併することになり、そうした状況に辟易したため、自分で会社を作ろうと考えたのです。

仲間と共同出資で会社を設立

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――会社設立を決められてからどんな準備をされたのですか?
臨床の受託をやりたいと考えたので、まずその業務を学ぼうと、受託事業者に1年間、勉強を兼ねて勤務しました。その後、当社の前身となる会社を作りました。大阪と東京に事務所を設け、大阪事務所の責任者が社長となり、私が東京の責任者となったのですが、大阪の業績が伸びなかったことから会社を畳み、新たにクリオサイエンスとして会社を立ち上げたのです。
――起業の資金はどのように調達されたのですか?
前の会社のメンバーと私が共同出資したほか、会社を経営していた友人にも資本参加を仰ぎました。彼は「会社を始めることがあればいつでも協力するよ」と言ってくれていたので出資をお願いしたわけです。
――人材の採用はどうされたのですか。
前の会社のメンバーがクリオサイエンスに移ったので、最初から二十数名の社員がいました。皆、知識も経験もある人たちだったので、比較的順調にスタートすることができました。また、知人の紹介で採用したほか、人材紹介会社や採用の代行会社も利用しました。加えて、設立の翌年から新卒を数名ずつ採用しています。
――ベンチャー企業が優秀な人材を確保するのは簡単ではないと聞きますが、御社はどうですか?
当社は、ガンをはじめ難病用の薬品の臨床試験が中心なので、学歴の高い人が必要です。幸い、近年は仕事を探すポスドクの人たちが多いこともあり、優秀な人材が確保できています。

「働いてよかった」と思える会社を作りたい

――起業から5年、これまでで大変だと思った経験はありますか?
大変なのはいつもですが(笑)、とくに大変だったのは2010年ごろですね。この頃は製薬業界全体が危機に陥り、大手の倒産や合併がありました。その影響を受け、当社も臨床の仕事が大きく減りました。それまでは2ケタ成長を続けていたので、この年は本当に厳しかったですね。そのときには、製薬会社の臨床開発部門へ人材を派遣する業務で苦難を乗り切ることができました。現在は、また臨床試験の方が復活し、事業の9割を占めています。
――反対に、この仕事をしてよかったと思うことはどんなことですか?
戦略を練り、それを実行し、それが見事当たったときですね。最近は、どこの業界もそうですが、企業が置かれた状況は大きく変化しています。したがって、どこがどう変わっているのかを常に見極める必要がありますが、そうした環境変化に対応しながら、次なる戦略を練り実行するということは本当に楽しいですね。
――健康管理上、とくに気をつけておられることは何かありますか?
人脈を広げるために、日曜日以外はほぼ毎日、人と会って食事をしていますが、健康上の問題はまったくありません。これといって気をつけていることもないのですが、不思議と悪いところはないですね(笑)。毎日いろんなことを考えながら、緊張感を持って仕事をしていることが元気でいられる秘訣なのかもしれません。
――今後の事業展開としてどんなことを予定されていますか?
現在、臨床試験のプロセスをITで効率的に行う仕組みを構築しています。また、ガンの画像診断ができるシステムの開発も進めています。これが実現できれば、ガン関連の臨床試験を一手に引き受けられるようになります。
――社長としては、この会社をどんな会社にしたいとお考えですか?
社員が「ここで働いてよかった」と思えるような会社を作りたいですね。この業界は利益率が低いので、給料を高く設定することは難しい。そこで当社では、研修を充実させたり、フレックスや半休など働きやすい環境を整えたり、全社員と面談してコミュニケーションを深めたりと、社員が気持ちよく働ける環境作りに取り組んでいます。そうした取り組みが評価され、「就活アワード」(就職する学生にとって魅力的な会社に与えられる表彰)の表彰も受けています。
 当社は女性社員が多いので、今後は女性の"ライフタイムキャリア"ということを視野に入れた仕組みづくりも検討していきたいですね。

クリオサイエンスのホームページ


掲載日:2012年10月 4日

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