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頑張れシニアベンチャー
大手製薬会社の副社長から創薬ベンチャー企業の経営者に【LOTUS】

医学博士で、大手製薬会社副社長からいきなり少人数のベンチャー企業へ。日々奮闘中の高橋社長にお話を伺いました。

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株式会社LOTUS
代表取締役社長 高橋希人(たかはし・きひと)

1956年生まれ。北海道大学医学部卒業。循環器内科医。医学博士。米国Vanderbilt大学医学部にて微少循環(毛細血管)、プロスタグランジン研究に従事、1990年同大医学部助教授就任。1992年米国メルク社入社、万有製薬臨床医薬研究所長、米国メルク社バイスプレジデントを経て、2005年万有製薬副社長執行役員研究開発本部長。前臨床部門、臨床開発部門、メデイカル部門などを統括。2004年株式会社LOTUS創業、2009年同社代表取締役社長就任、現在に至る。北里大学薬学部客員教授、特定非営利活動法人JCPM副理事長などの役職兼務

目次

米国のテネシー州での得難い経験

――今までのご経験を教えていただけますか?
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北大の医学部を出てから医者をずっとやってました。縁があって、米国のテネシー州ナッシュビルにあるバンダービルト大学でリサーチ・アシスタント・プロフェッサーの職を得まして、そこに6年ほどいました。北海道という狭い地域から、ナッシュビルという地方都市といえども世界中から人が集まってきている地域に行って、世界は広いと痛感しました。この6年間が私の人生の形成にとっては重要な時期だったと思っています。グローバルの感覚――色々な考えの人とどのように仕事をしていくかということを試行錯誤できた時期かと思います。
アジア系、アメリカ系、ヨーロッパ系、中東の方も研究助手としていました。多様な文化圏の方とうまく仕事をするためには、オープンにオネストに話し、お互い理解することだと気づきました。それをしない限り、いつまでも関係が平行線のままだという状態でしたね。ですから、正直ベースで話をするのが一番近道だということがわかりました。駆引きをしてもあまり意味がなかったです。
――日本に戻られてからどうされましたか?
ちょうど、日本に帰ることを考えている時期に、日本人で英語を話す人材を探しているという製薬会社があることを知りました。日本に帰って会社に行くと、完全な異文化の世界に入ったようでした。いろいろな意味で異文化でした。
まず、年功序列だったため、私みたいな若造がある程度の肩書きで着任するのは異例だったので、周囲になじむまでに時間がかかりました。日本の開発機能を米国の本社並みにするのが私の使命でした。私の就職した米系企業の研究開発部門は中央集権化したい会社なので、なんとか米国スタイルにアップグレードしたいという思いがあったのですね。
米国企業の日本支社にR&D(研究開発)の責任者として入って以来、日本の支社を米国の本社並みの仕組みにするために、いつもマネジメントの仕方について考えていました。私のマネジメントの仕方は、まず一人ではできないので、必ず信用できる仲間を少なくとも数人は確保する。その方々に部署を任して、日々の業務はやっていただき、私はその後のフォローをするというのが基本的なやり方ですね。ごく普通のやり方なのですが、人の選び方が非常に重要です。
――どのような基準で人選されましたか?
まず、「自分で考えられる人」というのを選択の基準にしてました。命令に忠実なだけの人では困るんですね。また、上のマネジメントを巻き込む。若い人を抜擢するのでも、その当時の人事は保守的ですから、慣例とか習慣を破らなきゃいけない。そこで、会社の上、あるいは、米国本社の力も借りて実行しました。
アカデミックの世界で生きてきた私には、企業は全くわからない世界でしたので、私も最初は試行錯誤で、一人では無理だと思いました。それでまず、どんな人がいるのかと組織をみたところ、もっと活躍できそうな若い優秀な人が埋もれていましたので、彼らをまず引っ張るのが重要だと思いましたね。
それから、自分の実力を示して、まずこちらに目を向かせ、話を聞かざるを得ない状況を作りました。組織の中の心ある人たちを自分に向けさせるということです。あまり不公平にはできないものの、やはり抜擢した人間を育てることを明確にしました。機会をたくさん与えるようにして成長してもらう。その人たちがリードできるようにするには、やはりある程度高い地位につけないと駄目ですね。

創薬ベンチャー企業の経営者に

――株式会社LOTUSは何を行なっている会社ですか?
LOTUSは開発早期段階の医薬品候補品を複数保有しているベンチャー企業で、現在、中国での開発販売権を4品目所有しているほか、グローバルでの開発販売権を持つ過敏性腸症候群(IBS)治療薬も1品目所有しており、ライセンス供与先を検討しています。LOTUS自体でも開発を行なっています。ここに集っている人は7人です。
――成長への意欲が旺盛ですね?
幸いなことに、以前会社の経営に携わることもできたので、他社との交渉やP/Lだとか断片的な知識はついてくるのですが、いざ自分に経営を任されたときに、やはりこれでは能力が足りないなと感じました。
研究開発以外に、まだ弱い部分があるということを経営に参加して初めて自覚しました。ファイナンス、アカウンティング、マーケティングについて、もう少し深いことを知っておきたいと思いました。社長や営業、マーケティングの幹部と会議に入ったりすると、やはりメインメンバーではない者としての意見しか言えなかった。そのため、このままではいかんなと感じました。
また、会社全体を見るということに、もともと興味もあったのと、まだまだ成長したかったので、立場上身につけてきたスキルにビジネスの知識をつけ加えようと考えました。年齢的には50歳になっていたので、大変だとは思いましたが、決断いたしました。いざ、経営となるとやれる人が少なくなることがわかって、やっぱり気持ちとしては、その少ない中の一人になりたいなと思いました。

株式公開を見据えて奮闘中

――ベンチャー企業の経営者になっていかがですか?
会社は小さいですが、最初からグローバル展開をします。この会社で中国や欧州の治験環境がよくわかりました。逆に、現場の現実はけっこう厳しいです。臨床開発のグローバルオペレーションの絵を頭に描いて、どこに何を任せて、どこを誰に任せて、それらを上手くコラボレーションさせていくことに腐心をしています。
一番費用のかかる欧州での治験は自分でみていますが、中国のものは部下に任せています。効率のマネジメントをするにも、プライオリティをつけてやっています。グローバルで信頼を得るための要件をLOTUSが持たないと、このグローバルでのマネジメントはできないですね。幸い、そのような経験を私は米国時代からしてきたので役に立っています。また、治験に関するオペレーションで何をすべきかに関しては、これまで一生懸命やってきたのでよくわかります。
――経営方針はいかがですか?
当社は全員でたった7人しかおりません。したがって当社の経営は「高速回転モデル」です。4人の専門家が複数の薬の開発をして、ライセンスアウトする事業モデルです。非常に忙しく飛び回っています。また、私はオペレーショなるCEOだと思っており、ノウハウを知り、効果を管理することがその条件だと思っています。私は今までの経歴のほとんどは臨床開発に関係していましたので、LOTUSのコア業務である新薬開発についてのノウハウを持っています。また、大企業では誰かほかに責任者がいましたが、LOTUSでは私で終わりです。
ただ、最終責任をもつだけではなく、個々の施策の効果についても管理をしており、CRO(治験依頼者の業務を支援する企業)や他のパートナー企業との交渉などは、社長の役目として自認しています。
今は、CROや他のパートナーとの交渉では強い立場にはいません。「いやなら止めてもいいよ」と言われてしまえば終わりなので、それを言わせないためにはどうしたらよいかを常に工夫しています。私がひと一つ間違えれば、会社が終わりになってしまうという危機感を常にもっています。
――具体的にどのような施策を講じていますか?
臨床開発の実務は全部アウトソースしていて、それに必要な基本的な契約書とか細かなドキュメント作成とかは担当者がやってくれますが、研究費をいくら出すなど、我々の払える資金の中で一番高いクオリティをとるようにする交渉は私がやっています。
例えば、日々の業務の中から交渉できるカードを常に探していて、パートナーとの交渉では対等な立場に立てるように工夫をしているということですね。交渉で資金に見合う一番良い効果を出そうとしているということです。つまり、ある程度以上の効果をいつも求めているわけです。


掲載日:2011年4月 5日

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