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頑張れシニアベンチャー
大海原を油田に変えたい!潮流発電に挑む熱き海の男【ノヴァエネルギー】

外国航路の船長として世界の海を渡りながら、日本のエネルギー事情の危うさ、海の持つエネルギーの大きさを実感した鈴木清美氏は、安定した職を捨て、人生の後半を新しい発電システムの開発にかけている。

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株式会社ノヴァエネルギー
代表取締役社長 鈴木清美(すずき・きよみ)

1952年生まれ。茨城県出身。徳丸海運で冷凍船の船長を務めた後、46歳で退職。2001年、48歳でノヴァ研究所を設立。07年にノヴァエネルギーを設立した。

目次

潮の流れを利用して発電

――潮流発電に取り組んでおられるとうかがっていますが、潮流発電とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
海中に設置したプロペラを潮の流れで回して電気を起こすというものです。プロペラというと風力発電のような形を想像しがちですが、それだと海藻などが絡まり、効率的に発電できません。そこで当社では、マグロやシャチなど、海を泳ぐ生き物の姿を参考に、効率的な形のプロペラを独自で開発しています。
――太陽光や風力など、他の自然エネルギーを活用した発電と比べ、潮流発電にはどんなメリットがありますか。
風力や太陽光による発電は天候に左右されますが、地球が自転している限り、潮の流れは止まりませんから、安定的に発電ができます。
――具体的には、どのくらい発電できるのでしょうか。
2008年2月に明石海峡で行なった実験では、長さ1.2メートル、回転直径65センチのプロペラを使い、秒速1.5メートルの流れのなかで200ワットの発電に成功しました。もし、東シナ海に長さ25メートル、回転直径16メートルのプロペラを4つ付けたブイを800基設置すれば、黒潮の流れにより、160万キロワット(24時間の発電で約380万世帯分)の発電が可能になります。
――すごいですね。
柏崎の原子力発電所の7号機の発電能力が135万キロワットですから、それ以上の規模になるわけです。日本は海に囲まれているわけですから、これが実現できれば、日本は油田を持っていることと同じになるわけです。しかも、火力発電と違いCO2も排出しませんし、原子力発電のように廃棄物の問題もないため、環境や安全性の面でも優れているわけです。

人類の将来を見据え、いま自分にできることを考えた

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――以前は外国航路の船長をされていたそうですが、なぜ起業の道を選んだのですか。
起業する前は大型貨物船の船長をしており、これまでに60カ国を回りました。ペルシャ湾でタンカーとすれ違うたび、資源を外国に依存する日本のエネルギー事情に危機感を持ちました。一方、メキシコ湾や東シナ海を通るときは、海の持つエネルギーの大きさを実感しました。そこで、この大きな力を持つ潮の流れを発電に活用できれば、日本のエネルギー問題の解決に大きな貢献ができるのではないかと考えたのです。
――船長から新エネルギーの開発へと、まったく異なる分野への転身は大きな決断でしたね。
確かに、新しいことをやるには勇気が必要でした。船長でいれば給料も保証されますし、船の中では、仕事はすべて部下がやってくれますから楽でもあります。けれど、"自分の人生は果たしてそれでいいのか"と常に考えていました。
今、自分が何不自由なく暮らせているのは、先人たちの努力や犠牲のおかげでもあるのです。そうしたものの上に安穏として生きるのではなく、将来の人類のために今の時代に生まれたものだからこそ、できることをやらなければいけないのではないかと考えたのです。そして、何かやるのであれば、定年まで待っていては遅すぎる。今やらなければならないと思い、46歳で船を降りることにしたわけです。

課題は資金調達。途上国の河川でも発電を計画

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――現在、事業はどの段階にあるのでしょうか?
韓国海洋大学と共同研究を進めており、現在、20キロワットの潮力発電の実験に取り組むべく準備中です。船に設置したプロペラで発電する計画で、すでに漁協や海上保安庁の許可はもらっています。
――事業化に向けた課題は何ですか?
資金調達ですね。実証実験を繰り返している段階なのですが、この事業の将来性を評価できるベンチャーキャピタルがいなくて、なかなか投資をしてくれないのです。また、国も潮流発電を代替エネルギーとしてまだ認めていないため、補助金の申請をしても通らないのです。
――今後の事業展望を教えてください。
潮流発電は海だけでなく、川など水の流れがあればできるので、現在は東南アジアなどの途上国の川で船に設置したプロペラで発電するといった引き合いもいただいています。海での大規模な発電を目指すと同時に、こうした小規模な発電にも取り組んでいきたいですね。そのためにも、何とか資金調達を円滑にしたいと思っています。



株式会社 ノヴァエネルギーのホームページ


掲載日:2010年2月 9日

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