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頑張れシニアベンチャー
保険会社を定年退職後、大工に【こもれび工房】

自分らしい仕事をしたいと考え、起業したシニアにエールを送るコーナーです。中山さんんの身上は「できるかできないか分からないが挑戦してみる」姿勢にあります。子どもの頃に憧れた大工になって、プロがしないことを実行して引っ張りだこになっています。

こもれび工房主宰 中山 照彦氏 こもれび工房主宰/コミュニティ大工
中山 照彦(なかやま・てるひこ)
昭和14年生まれ。平成11年、生命保険会社を60歳で定年退職後、ポリテクセンター加古川の住宅リフォーム技術科修了。配食ボランティア等を経験した後、園芸愛好家にコンテナ制作を頼まれたのを機に依頼が増え始め、今では月2回休むのがやっとの"売れっ子"に。対話を重視し可能なかぎり客の要望に応じる姿勢を貫く。

目次

いざ就職するとなると大きな壁が

――中山さんは定年後、前職とはまったく関係のない大工の仕事を始められたのですね。
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僕が5歳のとき外国航路の船に乗っていた父が戦死し、母が4人の子どもを育てました。余裕がなく欲しい模型の玩具を買ってもらえないので、父の遺した大工道具で子どもの頃から自分で工夫して作るようになりました。中学生ぐらいになると母に頼まれて小さな塀を作ったり米びつを作ったり。でも生命保険会社に在職中は忙しくてほとんど何もできませんでした。
――それが退職を機に興味がわいたということですか。
たまたまCS神戸(コミュニティ・サポートセンター神戸。いわゆる中間支援組織と呼ばれるNPO法人)で開催されたセミナーに参加したところ、講師が「定年後は今までの延長線上ではなく自分が本当に好きなものをやることだ」と言うのに共感しまして、子どもの頃から興味のあった大工になろうと考えたのです。定年後、ポリテクセンター加古川(加古川職業能力開発促進センター)に通い、徒弟制度なら「見て覚えろ」と言われるような技術を直接教わることができたのは大きな収穫でした。ところが、卒業しても60歳以上の人間には大工見習いの求人はありません。
――学ぶのはいいが、いざ就職となると年齢の壁が大きく立ちはだかったのですね。
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幸い年金で食べるには困らないので「まあぼちぼちやろうか」と......。個人ではなかなか仕事がないのでCS神戸の紹介で震災後の困窮者を助ける活動をしていたNPOの一員になり、一般家庭で不要になった家具を回収してリメイクしたり配食サービスの仕事をしていると、「手すりを直して」と少しずつ大工仕事を依頼されるようになりました。そんなとき、地元の園芸愛好家に「私がデザインしたフラワーコンテナを作って」と頼まれたのです。

子どもたちに自分で物を作る楽しさを教えたい

――多くの人と知り合う中で自然に仕事に繋がっていった格好ですね。
本人の考えたデザインで作ってあげたら非常に喜ばれ、彼女の仲間の人たちから「私も」、「私も」と次々に頼まれるようになった(笑)。そこから口コミでだんだんお客さんが増えていき、これまでに棚や塀、犬小屋、ログハウスのデッキ、ログハウスのアトリエ、カフェの内装などを手がけました。アトリエは森林組合に掛け合って丸太から作りました。
――コミュニティ大工の名のとおり、お客の要望をとことん聞くのが"中山流"ということですね。
今は自分の個性を出したい時代ですから、既製品では飽き足りず自分のオリジナルにこだわる人が多いのです。ところがプロの職人は人の意見を聞かず、客が希望を伝えても自分のやりやすいように作ってしまう。私が家を建てたときも「ここへ水栓をつけて」と言うと、水道屋が「それはできない」と言い、理由を尋ねても十分な説明をしてくれませんでした。法的、技術的にできないこともありますが、説明が非常に不足していると感じました。
――確かにじっくりお客の要望を聞いてくれる職人さんがいたら、うれしいですね。
私は「自分が満足できる仕事をしたい」と思っているので、「できるかどうか分からないがとにかく挑戦しよう」という姿勢で仕事に取り組みます。その結果、お客さんにも喜んでもらえる。こんなことが可能なのは保険の知識を活かして準備した年金があるから。もし大工で生計を立てるなら効率のよい仕事を数多くこなさねばならず、今のようにごく小さな仕事や何度も気の変わるお客さんに辛抱強く対応することはできなかったでしょうね。
――費用の安さも魅力とお見受けしましたが。
料金設定は通常の大工の7割ぐらいと思っていますが、もっと安いかもしれません。私の時給を2,000円程度で計算し、そこへ材料費や運搬費などを加えて見積もりを出します。1ヵ月の平均的な総売り上げは30万円から50万円ほどといったところで、材料費を引くと手元に残るのは半分ぐらい。さらにそこから工房の家賃や人件費などを払っています。
――これまでに手がけた中で忘れられない仕事があれば教えてください。
イベントで「チューリップ祭りの目玉になるようなオランダの風車を作れないか?」と依頼を受け、どういうのかも分からないのに「やりましょう」と(笑)。オランダ領事館に頼んで資料をもらったら原語で書いてあるので読めない。図面は何とか分かるので自分で設計図を描いて、骨が鉄製、外が木製の組み立て式風車を全部で10基作りました。最近では知人を介して4階建てビルの内装全部を頼まれました。こんな大きな仕事は初めてです。
――今後の予定を教えてください。
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今の子どもちは鉛筆も削れないと聞き、「子どもたちに自分で物を作る楽しさを教えたい」と現在、児童館の放課後活動の一環として、依頼を受け、年4回ほど簡単な木工教室を開いています。これは私にとって世代間交流という側面もあり、今後とも子どもたちの教育に関わっていきたいと思っています。もちろん対話重視の、お客さんに満足してもらえるような快適生活づくりの提案も続けていきますよ。


掲載日:2008年3月 4日

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