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起業の先人に学ぶ
サプライズで記念日を演出するカップル向けサービス【Anipla(アニプラ)】

突如ひらめいたアイデアがビジネスコンテストで優勝。大学生で起業した田中彩子氏は「好きなことを仕事に」日々邁進してきた。だが、ある中学生からのメールに心を大きく揺さぶられ、会社を大きくすることを決意。新たな夢の実現に向けて再スタートした。

有限会社Anipla(アニプラ) 代表取締役 田中彩子
1984年生まれ。大学在学中、ドリコムのビジネスプランコンテストに優勝したことがきっかけとなり、2006年4月に友人と有限会社Anipla(アニプラ)を設立。学生ベンチャー、女性起業家として、テレビや雑誌などメディアにも数多く取り上げられている。現在は妹と会社を経営。

目次

ビジネスコンテストで優勝し、学生ベンチャーに

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――大学生で起業したということですが、経緯を教えてください。
大学3年生の夏、就職活動が始まる時期でした。友人と一緒に歩いた時に「記念日は英語で何て言うの?」と聞いたら、「アニバーサリーだよ」と教えてくれました。次の瞬間、いきなり「アニプラ」という言葉が頭の中でひらめいたのです。
アニバーサリープランナーで"アニプラ"です。当時は、ベンチャー企業と就活生をつなぐ学生団体にスタッフとして参加していました。また、ホリエモンこと堀江貴文さんが活躍するなど、ベンチャーブームの時期でもありました。そういった周囲の環境もあって、私も起業してみようと思いました。
ドリコムのビジネスプランコンテストがあると聞いて、すぐに1人で参加しました。強制的に組まされた3人の中から1つのプランしか提出できなかったのですが、他の2人は「プランはない」と言うのです。書類審査で3分の1に絞られたメンバーなのに、おかしいなとは思いましたが、逆にチャンスだとも思いました。私のプランでプレゼンすることができて、しかも優勝することができました。
――コンテストで優勝できたポイントは、何だと思いますか。
プレゼンでは、ビジネスの内容や、ターゲット、広告方法、売上予測などを説明して、「ついてはいくら出資してください」というスタイルでした。だけど、私のプランは「事業化するのにお金は必要ありません。出資はいらないので、お客さんになってください」というものでした。それが面白かったのかもしれません。
審査員はドリコムの内藤裕紀社長のほか、ネットエイジ(東京都渋谷区)の西川潔社長、グリーの田中良和社長でした。2位になった人のプランのほうがビジネスとしては現実的でした。なんといってもその人は「歩く1億円」と言われている与沢翼さんでしたから。私の場合は、ひょっとしたらブレイクするかもしれないという、期待を込めての1位だったのだと思います(笑)。優勝賞金の100万円はプレゼンしたメンバー3人で分けました。
――事業化するにあたって、まずはどのように行動されましたか。
事業は1人で立ち上げるつもりでしたが、中・高・大学と一緒だった友人と、たまたま将来について話す機会があって、彼女を誘って2人で起業することにしました。彼女の夢は、例えば浜辺で結婚式を挙げるなど、新郎新婦の希望をかなえてあげたいというものでした。私のビジネスプランは、誕生日や記念日、プロポーズをサプライズで演出するというものですから、近いものを感じました。なにより、夢を語るときの彼女の目がキラキラと輝いていたのに惹かれたんです。
2006年4月、大学4年生の春に友人が150万円、私が350万円出資して会社を設立しました。出資金は、自分の貯金とコンテストの優勝賞金、そして親からの借金でまかないました。人に頼むとお金がかかるので、司法書士の無料相談を利用したり、税務署に行って教えてもらったりして、設立手続きも自分たちで行いました。場所は大学のゼミ室を借りました。パソコンやコピー機も使い放題。先生たちもいろいろとバックアップしてくれました。サイトの立ち上げは、学生の友人に頼んで10万円でやってもらいました。

初年度の売上1000万円、でも利益は50万円!?

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――具体的に、どのようにしてサービスをつくり上げたのですか。
アニバーサリープランナーとして、どのようなサプライズを演出するか、友人とプランを出し合いました。思いついたプランを基に、直接会社に交渉に出かけていきました。いま考えると大胆ですが、当時は人と会うのにアポイントが必要だという考え自体がありませんでしたから...。学生で、しかも女の子ということで相手にされなかったり、「人のフンドシで相撲を取るようなことはするな」と言われ、泣いて帰ったこともありました。
厳しい船出でしたが、あるリムジン会社が販売窓口になることを認めてくれて、それを柱に初年度は1000万円を売り上げました。でも利益は50万円。しかも、それが粗利ですから、いかにお金に無頓着だったか分かりますよね(笑)。
学生のうちはそれでもよかったのですが、大学を卒業するとゼミ室も使えなくなるので、経営のことも真剣に考えなくてはなりません。オフィスは、知り合いの経営者が、空きスペースがあるからと無料で間借りさせてくれました。2人とも実家暮らしでしたから、とりあえず給料を7万7770円にしようと決めて、利益もきちんと上乗せするようにしました。
――無料でオフィスが借りられたのは、ラッキーでしたね。
当時、学生ベンチャーブームということもあって、私の周りにも起業家がたくさんいました。起業パーティーで知り合った年配の経営者が、自分も若いときに苦労したからとサポートしてくださったんです。
東京・渋谷にあるそのオフィスには、他にも同じような起業家たちがいました。4、5年お世話になりましたが、途中で一緒に起業した友人が別の夢を実現したいからと辞めることになって、1人になったんです。そこで、自分が何をやりたいのか、もう一度見つめ直すことにしました。
思いついたことは、ホームページの掲載内容にまとまりがないということ。なぜなら、私はカップル向け、友人は結婚式をメーンにサービスを考えていたので。これも、私がきちんとした柱を持っていなかったからだと気づき、ターゲットをカップルに絞ったら、自分のやりたいことがはっきりと見えてきました。すると、お客さんも増えてきて、事業も軌道に乗り始めたので、渋谷のオフィスを出ることにしました。

「会社を大きくする」と決意させたメール

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――どんなことがやりたいと思ったのですか。
それまでは代行業ということで、実際にお客さんの顔を見ることはありませんでした。だから、「お客さんと接する場所が欲しい」、「サプライズを演出できる場所を提供したい」と思いました。東京・西麻布の中古住宅をローンで購入して、オフィス兼用のサプライズ空間にしました。プロジェクター付きの部屋や、キッチン付きの部屋、ドレスを選んでお姫さまになれる部屋があります。
会社は妹と一緒にやっていて、忙しいときは母にも手伝ってもらっています。もともと、うちの家系には個人事業主が多くて、だから私も1人でやっていくか、せいぜい家族経営くらいのイメージしか持っていなかったのです。でも、昨年5月にテレビ番組でアニバーサリープランナーとして特集されたら、放送後すぐに100数十通ものメールが届いて...。
メールは「自分もアニバーサリープランナーになりたい」というものばかりでした。その中の「夢を持てなかった自分にも夢が持てた。夢をくれてありがとう」というある中学生のメールを目にした時は、思わず涙が溢れてしまいました。それと同時に、このような人たちに仕事の場を提供することも、私の使命なのだと思いました。この瞬間、会社を大きくしていこうと決意しました。
――実際に、人を採用したのですか。
はい。昨年(2013)の夏から募集を開始して、最終的に3人を採用しました。でも、その内、中途採用の2人は数カ月以内に辞めてしまいました。結局は、こちらがやってほしいことと相手のやりたいことがかみ合っていなかったり、時間が合わなかったりというのが理由です。今残っている1人は、今年3月に大学を卒業する新卒採用です。
人を雇うことは、本当に難しいですね。私は、プランナーとしての才能はあると感じていますが、経営者としての才能はないなと、つくづく思います。社会に出たこともないし、ずっと身内でやってきたから、なんでも自分でやってしまいがち。それでは、誰もついてきてくれませんよね。
実は、採用活動を始めた時、マクドナルドで朝食を取りながら面接の仕方について悩んでいたんです。すると「マックでバイトしなさい」という声がどこからか降りてきて。それで今、本当にバイトしています(笑)。

会社経営しながらマックでアルバイト

――会社を経営しながら、マクドナルドでアルバイトですか?
はい。接客のアルバイトをしています。会社が12時からなので、午前中、週1、2回だけですけど。最初は、面接の仕方を学ぶのが目的だったのですが、たまたま勤務先がモデル店ということもあって、接客のクオリティーも高く、先輩たちの働く姿勢からも多くのことが学べるので続けています。衛生管理やクレーム処理などマニュアルがしっかりしていることも経営面で参考になります。
――なかなかのアイデアですね。
学ばせていただいているのにお金をいただけるなんて、ありがたい気持ちでいっぱいです。実は私、これまで自分の人件費というものを考えたことがなかったのです。24時間365日働いている感覚で、休みたいという願望もありませんでした。仕事自体が趣味の延長線上にあるからかもしれませんが...、休みを欲しがる妹とよくケンカになりました。
営業時間外でも携帯に転送されるようにして、夜中でも早朝でも電話を受けました。お客さまがいなかった時期もあるから、電話が来るのが素直に嬉しいという気持ちからでした。だけど、そうやっていると、次に同じ時間に電話に出られなかった時にクレームになります。マクドナルドのアルバイトでは、時間になったらすぐに終わるように言われます。そこから、「人には『時間』があるのだな」と、あらためて気づくことができました。
妹の休みは、月1回から週1回にして、私も無理にでも休んだほうがいいのかなと思っています。これまでは、ただ目の前の仕事に追われる日々でした。ずっと走り続けてきたから、一度立ち止まってみようと、3月いっぱいまですべての広告を停止しました。

記念日を祝うのが当たり前の文化に

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――活動を休止するのですか。休んで、何をしたいと思いますか。
ホームページからのお客さまや既存のお仕事は続けますが、営業活動はいったん停止します。できた時間で、いただいた名刺やメールの整理をしたいですね。恥ずかしい話ですが、これまで何千人というお客さまに利用していただきながら、顧客管理をまったくしていませんでした。ファイルも紙ベースのもので1つしかありませんから、パソコンで共有できるようにしなければなりません。
そうやって、お客さまの記念日をすべて把握して、そこからアプローチできればと考えています。これから会社を大きくしていくためには、マニュアル化やシステム化は絶対に必要です。目先の売り上げは諦めて、将来に投資したいと思います。
――最後に、これからの夢や目標を教えてください。
ハワイに支社を持ちたいですね。それから、記念日といえば「アニプラ」という存在になりたい。誕生日にケーキが当たり前のように、記念日を祝うのも当たり前という文化を築いていきたいです。
人の一生には、多くの記念日があります。その人生の流れの中で、折々のアニバーサリーをお手伝いできる会社になっていきたいと思います。例えば、人生の最後にお葬式でサプライズ。リムジンでプロポーズした旦那さまが、亡くなった後のお葬式で奥様にリムジンを用意している。そんなサプライズのご提案もできればと思っています。

●会社概要

会社名 有限会社Anipla(アニプラ)
設立 2006年4月
所在地 〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-6
TEL 03-5467-8607
URL http://www.anipla.jp/


掲載日:2014年2月14日

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