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マナーのOJT研修でサービス業の地位向上を目指す!【株式会社Truth】

不景気の折、交際費・交通費・広告費などと並んで減らされるのが教育研修費だ。しかし、Truth(大阪市)は、設立から5年という新しい企業にもかかわらず、リーマンショック後の景気低迷のなかでも、現場に入り込んだOJT研修で着実に顧客を増やしている。

株式会社Truth 代表取締役社長 奥田真理(おくだ・まり)
昭和49年11月生まれ。大阪府出身。同志社大学卒業後、JALの国際線CAに。4年半勤務した後、コンサルティング会社に転職し、サービス業や小売業の経営指導に従事。その経験を活かし、2005年にTruthを設立、現在に至る。

目次

"三足のわらじ"で独自のサービスを提供

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――御社の事業の内容を教えてください。
飲食店をはじめとするサービス業や小売業などを対象に、OJTを中心としたサービス力向上のための教育研修を行なっています。また、「Grace」というマナースクールを主催しているほか、航空会社の客室乗務員(以下、CA)をネットワークし、商品開発やモニタリング、覆面調査などを請け負っています。
――奥田社長ご自身もCAだったそうですね。
ええ、大学を卒業し、日本航空(JAL)の国際線のCAになりました。4年半ほど勤務した時、飲食業を経営していた父が体を壊したため、仕事をやめ、手伝うつもりで実家に帰ったのです。ただ、その後すぐに父も仕事に復帰できるほど元気になったので、また仕事をしたいと思い、飲食店や小売店の経営を支援するコンサルタント会社に入社しました。
――コンサルタント会社では、サービスの研修を担当されていたのですか。
いいえ、販売促進の提案が主な仕事でした。たくさんのお客様が販促を導入してくださったのですが、販促をやめるとなぜか売り上げが落ちてしまう。そこで調べてみると、接客マナーなど、販促以前に課題があることがわかりました。サービスの改善を提案したのですが、「うちでは教えられる人がいない」と言われてしまったため、ならば、かつての経験を活かして私がサービスを教えようと思い、仕事の合間にお客様のお店の手伝いを始めたのです。
――通常の仕事をしながらですか?
そうです。しかも、人に教えるためには、サービスの技術をもっと磨く必要があると思い、退職したCAを契約社員として再雇用する制度を利用し、週末は、再びCAの仕事も始めました。休みも1カ月に1日か2日あるだけのハードな毎日でしたが、そうした努力の結果、お客様のお店もサービス力が向上し、業績も伸びてきたので、やりがいはありました。

転職活動の困難から起業を決意

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――起業されたキッカケは何だったのですか。
サービス力向上の教育は、お客様も喜んでくださり、いろんなところでクチコミで広めてくださるようになったのですが、あくまで私が個人として行なっていたことで、会社の事業ではなかったため、お手伝いできる先は限界がありました。加えて、会社からマネジメントの仕事に移るよう言われたため、お客様のお手伝いもできなくなってしまいました。ちょうどその頃、人を教える仕事で転職の話があったため、会社を辞めることにしたのです。
――それで転職をされたのですか。
いいえ、実は、いただいていた仕事の内容が当初の話と異なっていたため、転職直前にお断わりしたのです。会社も辞める手続きを進めており、通勤用に車も買ってローンも組んでいましたから、別の転職先を探さなければなりませんでした。あわてて就職活動を始めたのですが、これが全然受からなくて(苦笑)。
これまでいくつも仕事をし、それぞれ実績も上げていましたから、何でもやろうと思えば仕事はあると思っていたのですが、現実はそう甘くはなかった。こうなったら、自分で事業をするしかないと思い、これまで取り組んできたサービス力向上の教育事業で起業しようと決めたのです。
――起業の準備はどれくらいかけましたか。また、何か起業支援のサービスなどを利用されましたか。
会社設立の準備に費やしたのは2カ月くらいでした。当初、実家が会社をしていたので、「そこに頼めばいいや」と安易に考えていたのですが、父に「そんな甘い考えでどうするんだ!」と怒られ、司法書士の先生に頼むのもダメだと言われてしまったものですから、定款からHPまで、すべて自分で作りました。幸い、大阪市の「大阪産業創造館」が主催する「あきないえーど」という無料の起業相談制度があったので、こちらも利用しました。
――顧客の開拓はどのように進めたのですか。
CAが作った研修会社というのはほかにもたくさんあるので、まず、認知されることが大切だと考えました。そこで、メディアで採り上げてもらうよう「関西セレブ学院」(現在は、Grace)というマナースクールを開設しました。これが話題となり、雑誌を始め、さまざまなメディアで紹介されるようになり、TV番組にもレギュラー出演できるようになりました。その結果、起業から半年ほどで、法人の研修も受注できるようになりました。

資格の認知度アップを目指し社団法人を設立

――既存の研修会社との差別化のために、どんな点を工夫していますか。
研修の多くは、Off-JTのセミナー型です。一方、当社の研修は店舗の現場に入って直接指導するOJT型です。最初に店舗を視察して動線を確認したり、ヒアリングで店の課題を把握したりしたうえで、店ごとに必要な教育を行なっていくため、教育期間は最短で8カ月になります。ただ、期間が長くても料金は安く抑えていますので、中小企業のお客様でも気軽に利用していただけます。
――顧客の反応はどうですか。
おかげさまで、一度仕事をいただいたお客様はほとんど継続してくださり、4年目に入った取引先もあります。また、取引のあったお客様が新しいお客様を紹介してくださることもあり、年々、お客様の数は増えています。
――これまで事業を展開してくるなかで大変だった経験はありますか。
2回程ありました。ひとつは2008年。あるFC本部からの受注が決まり、将来、仕事が増えることを予想し、事務所も大きなところを借り、固定のスタッフも増やしたのですが、先方が突然、自前でサービスを強化する方針に転換してしまったのです。体制は整えたのに仕事がいきなりなくなってしまったため、経費をやりくりするのに苦労しました。
もうひとつは、昨年のインフルエンザ。当時、大手の会社の仕事が多かったのですが、そうしたお客様が相次いで関西の講師を使わないと決めたのです。予定していた仕事が研修の直前で相次いで断られてしまい、昨年度の上期の売上高は、従来の8割減という厳しい状況に陥りました。
――事業をやめたいと思うことはなかったのですか。
それはもう数え切れないほどありました(笑)。しかし、経営者として、従業員やスクールの生徒たちに対する責任がありますから、安易にやめるわけにはいきませんでした。幸い、今は受注も回復し、CAネットワークでの商品開発など、新しい仕事も増えています。また、昔のCA仲間から講師の仕事をしたいといった要望もあり、自分のやっていることが誰かの役に立っているという実感も得られるようになりました。
――今後の事業展望を教えてください。
この8月に東京の銀座にスクールをオープンし、関東での事業を拡大しました。また、9月には当社が育成する研修講師、「マナーOJTインストラクター」の団体である「マナーOJTインストラクター協会」という社団法人も立ち上げました。
将来は、この資格を「ソムリエ」のように社会的に認められた資格にし、当社を介さなくても仕事が受注できる環境を作っていきたいですね。また、サービス力向上の研修を通じ、サービス業に携わる人たちの社会的な地位向上に少しでも貢献したいと思っています。

●会社概要

会社名 株式会社Truth(トゥルース)
設立 2005年7月
資本金 315万円
売上高 約1億円(2009年度)
従業員数 6名
所在地 〒541-0053 大阪市中央区本町4-5-18 本町YSビル7F
TEL 06-6261-8820
URL http://www.truth-human.com/


掲載日:2010年10月19日

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