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起業の先人に学ぶ
プリント基板のネット通販を創業【インフロー】
代表取締役 田坂正樹氏 田坂 正樹(たさか まさき)
Webサイトにアクセスし、回路図、部品リストを登録するだけで、サイト上でプリント基板の設計が完了。小ロット試作から量産まで格安料金でのサービスを提供するP板.com。運営している株式会社インフローは2002年設立の若い会社だが、サイト上で実現した画期的な利便性が話題を呼び、経済産業省が後援する平成19年度「創業・ベンチャー国民フォーラム」の起業家部門にノミネートされた。

目次

設計から見積、量産までWeb上で作業が完結!真のユーザー本位を実現

――御社の提供するサービスの概要を説明していただけますか。
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インターネットサイト「ピーバンドットコム(P板.com)」で、電子機器などに広く使われているプリント基板の設計から小ロット試作、量産までの発注をお受けするサービスを提供させていただいています。
いまやプリント基板はIT化の進展もあり、あらゆる生活場面で出合うサービスを支える機器の中で使われています。さまざまな機能やニーズに合わせて設計され、製作されていますが、営業マンを通じた従来のやり方の設計、見積、発注の流れでは、ますます早くなる開発ベースに間に合わず、ニーズの多様化で試作コストもばかにならないものとなっています。
そこで弊社は、ユーザー登録していただくことにより片面から8層板まで特化したCADLUS XII(キャドラス・エックスツー)をWeb上で無料提供し、基盤設計をしていただくことができるようにしました。
弊社では、約7,000点の部品ライブラリも無料提供させていただいており、ここで設計したデータが確実に機能するかどうかの検証もできるほか、試作小ロット生産から量産までの価格を自動見積していただけます。
もちろん、発注はここから生データをいただくことで従来面倒だったデータ出力も不要で、24時間いつでも対応可能となっています。P板.comは、試作小ロットの段階の基盤設計から製造、部品実装、さらには量産製造までお客さまの作業がすべてWebで完結することができるのです。

特定の取引先に頼らない顧客構造/取引先企業5,200社

――IT時代の進展に相応しい画期的なシステムですね。現在、利用規模はどの程度まで広がっているのですか。
現在、ユーザー登録は1万2,000社くらい、取引していただいたお客さまは5,200社ほどになると思います。ご利用は、口コミで広がっているようで、まだまだ伸びそうです。
利用されているお客さまの内容としては、従業員20名以下の企業が半分くらいで、あとは中堅企業から大企業の研究開発部門、さらには学校法人までさまざまです。大企業などでは新システムを開発するさいの試作サンプル用としての発注、製品用としてはあまり台数の出ない医療機器や計測機器などに使うための基盤でご利用いただいています。

プリント基板事業に潜むコストダウンの可能性を見いだし、創業

――今回、平成19年度「創業ベンチャー国民フォーラム」の起業家部門にノミネートされましたが、プリント基板事業に新システムを採り入れた起業をされた経過についてお話していただけますか。
私は、ベンチャー起業家育成を掲げた多摩大学の経営情報学部を1995年3月に卒業後、株式会社ミスミに入社し、4年間にわたりDOS/Vパソコンのパーツ通販事業立ち上げに携わりました。その後、半導体小ロット受注のネット通販事業立ち上げにも参画させていただき、経験を積ませていただいたのです。その中で、今日展開している事業の下地づくりをさせていただいたように思います。
※IBM社が発売した世界標準規格PC/AT互換機に日本語を扱う機能を追加したパソコンのこと。現在のWindowsパソコンはすべてこの規格である。
その後、ミスミが半導体事業から撤退したことを機にフリーでこの分野でやっていこうと決意し、2000年4月に独立しました。いわゆるインターネット・バブルが崩壊した頃です。フリー時代を3年間過ごす中で、プリント基板事業におもしろさと可能性を見いだすようになりました。
事業の将来性を考えた場合、まずプリント基板のネット通販が日本ではまだなかったこと、さらに無在庫事業が可能で棚卸しなどの手間やロスがなくローコストで事業化できる、業者が利用するサービスであることからリピート性があるうえ、受注した製品の生産は海外工場で行えることから日本と海外での主に低人件費による価格差により利ざやが見込めることなどがポイントだと思いました。
プリント基板製造は、昭和50年代に日本から始まったものです。当初は1枚あたり30万円もの価格で、現在は普及が進み低価格化してきたものの、いまでも10万円前後するものがあります。弊社は、これまで高コストの原因であったCAD導入コストのカット、営業コストなど初期費用の低減を実現し、さまざまなニーズに基づくプリント基板製造の価格を最大で70%ダウンすることを可能にしました。
私は、この事業で何よりも重要なことは、納期に遅れないことと不良品を出さないことだと思います。その点で、Web活用により人手を通じて行なった作業の時間をほとんどカットし、短期日納品を可能とし、設計段階での回路図の自動検証から最終工程での全数フライングチェッカーを使用しての無料オープン・ショート検査を実施することで不具合ゼロ納入を実現しています。

世界規模でのサービスレベル向上目指し、
海外販売を展望−"ジャパニーズ・クォリティ"で勝負

――急成長ぶりも注目されているようですが、今後の展望についてお話しください。
来期の予測では、創業2年目の実績の9倍を超える取引額になる見通しです。弊社のサービスが、お客さまの願いに応えたものであった結果と考えますが、いっそうきめ細かで確実なサービスの実現を目指してまいります。
プリント基板は、今後とも世界的に利用が広がりなくなっていく方向は見えません。現在、量産品は中国製ですが、技術革新をリードする分野では多品種小ロット生産へのニーズとコストダウン要求は強まるでしょう。こうしたことを展望し、マーケット拡大と世界のサービスレベルを高めるためにも今年から海外販売を進める所存です。当面は、英語圏を狙い、日本の会社の"売り"である"ジャパニーズ・クォリティ"で勝負していこうと思います。
こうした展開の中で、取引国におけるサポート体制を確立し、Web上でアプリケーション化も進めてプラウザでのやりとりだけで設計者のミスを未然に防ぐようなシステムの立ち上げも構想しています。
また、ものを作るためのアイデアの共有化、つまりロジック・データ共有と公開を目指した場をネット上に開設したいとも考えています。ある技術的問題をめぐって、優れた技能と知識をもった人々が自由に議論する場ですね。この分野を通じて思うことは、設計者は職人だということです。ものづくりがうまく、社内での昇進を考えないで技術分野に携わりたいと考える人もいますし、営業や労務管理面の仕事は苦手という人もいます。こうした方々のお客集めや委託販売の場も、Web上の市場を開設することで実現したいなとも思っています。
最先端技術を支えるプリント基板の知識というものは、実は団塊世代で少年時代にラジオを組み立てていたようなアナログ好きな方々が一番よく知っていて、デジタル世代がもっていないようなノウハウをもっているのですね。こうした知識をぜひともネット上で活かせるようにして、デジタル世代に引き継げるようにしていきたいと願っています。

●会社概要

企業名 株式会社インフロー
代表者名 代表取締役 田坂正樹
事業内容 プリント基板ネット通販、P板.com(ピーバンドットコム)の運営、電気・電子エンジニアナレッジポータル、@ele(アットマークエレ)の運営
所在地 〒162-0843 東京都新宿区市谷田町2-7-15近代科学社ビル5F
資本金 3,400万円
設立 2002年4月
従業員数 正社員5名、パートアルバイト4名
URL http://www.inflow.co.jp/


掲載日:2008年4月22日

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