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ウェブ経営指南
企業の成長戦略の視点
当社はシステム開発会社ですが、社内の平均年齢が上がってきました。システム開発の仕事は40歳を超えると体力的に最前線で活躍し続けるのは非常に厳しいと言われています。このため、当社としては、これまで経験を積んできた彼らの能力や実績を活かすべく、かつ当社の成長戦略として、新たな事業部を立ち上げるなど、新たな施策を打つべきだと考えています。企業の成長戦略の視点について教えてください。
アンゾフの成長ベクトルをご紹介します。
女性

解説者

中小企業診断士 石田雅子(いしだ・まさこ)
WizBiz株式会社に勤務。小売、サービス業を中心とし、売上拡大、組織風土改善などの経営課題解決に向けた支援、各種助成金・補助金などに関するアドバイスを行なっている。

目次

解説

企業の成長戦略の視点としては、アンゾフの成長ベクトルがよく知られています。これによると、企業の成長の方向性は、以下の4つのパターンに分類されます。

【アンゾフの成長ベクトル】

(1)市場浸透
 これは、「既存のマーケット」に「既存の商品」を投下していくことによる成長の方向性を意味します。たとえば、手厚いフォロー等によって既存のユーザーをロイヤルユーザーに育てていくことなどが該当します。
 システム開発会社がとる具体的な「市場浸透」策としては、次のようなものが考えられます。

  • 既存のシステム提供先企業を対象とした割引キャンペーン
  • 既存のシステム提供先企業を対象とした感謝祭の実施 など

(2)市場開拓
 これは、「新たなマーケット」に「既存の商品」を投下していくことによる成長の方向性を意味します。たとえば、他県での販売代理店設置、商品輸出や現地法人の設立による海外展開などが該当します。
 システム開発会社がとる具体的な「市場開拓」策としては、次のようなものが考えられます。

  • 公的機関の入札案件(ホームページの管理、各種システムの開発・提供)への参入
  • 国際展示会等への出展
  • 全国テレビCMの実施 など

(3)新商品開発
 これは、「既存のマーケット」に「新たな商品」を投下していくことによる成長の方向性を意味します。たとえば、既存の販路を活用して、そこに関連したサービスを新たに提供していくことなどが該当します。
 システム開発会社がとる具体的な「新商品開発」策としては、次のようなものが考えられます。

  • 既存のシステム提供先企業を対象としたコンサルティング事業
  • 既存のシステム提供先企業を対象としたヘルプデスク事業 など

(4)多角化
 これは、「新たなマーケット」に「新たな商品」を投下していくことによる成長の方向性を意味します。たとえば、M&Aなどによる異業種参入が該当します。
 システム開発会社がとる具体的な「多角化」策としては、次のようなものが考えられます。

  • M&Aによるネットオークション代行業への参入 など

【中小企業の成長戦略】

上記の(1)市場浸透と(2)市場開拓に関しては、自社の経営資源を活かした成長戦略であるため、失敗するリスクは小さく、事業計画書の実現可能性も比較的高いでしょう。このため、融資や助成金の申請時に理解を得られやすいと考えられます。(3)新商品開発と(4)多角化に関しては、商品開発や事業構築などに多くの時間と費用を要します。このため、資金力のある中堅以上の規模の企業向けの成長戦略だと言えます。  一般的に、資金とリスクに関しては、(4)>(3)>(2)>(1)の順に大きいと言えますが、商品や参入する市場の有望性を加味すれば、当然、この順位は変わります。

成長戦略を考える際には、自社の置かれている状況も考慮しなければなりません。問い合わせのシステム開発会社の場合は、社内の平均年齢が上がってきているため、現状のままだと、同じシステム開発サービスを今後も提供し続けることは困難になりつつあるという状況にあります。対応できる人材を新たに確保することができるのであれば、(1)市場浸透または(2)市場開拓を積極的に目指すことも成長戦略として推奨されますが、そのような人材を新たに確保することができないのであれば、(1)市場浸透と(2)市場開拓は、この会社の成長戦略とはなりにくく、(3)新商品開発または(4)多角化が、選択肢として挙がってきます。

そして併せて、過去の経験や実績を活かしたいのなら、(3)新商品開発が、現実的な成長戦略の方向性として残ります。結論としては、「既存のシステム提供先企業を対象としたコンサルティング事業」や「既存のシステム提供先企業を対象としたヘルプデスク事業」などを新たに立ち上げることが、このシステム開発会社の成長戦略として適しているということになります。

企業の成長戦略の視点としては、このように資金面や市場、リスクと、自社の置かれている状況を正しく把握して、その方向性を決定する必要があると言えます。

掲載日:2013年9月17日
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