明治・大正・昭和のベンチャーたち

日本はいま百年に一度あるかどうかの一大変革期であり、新しいビジネスを生み出す絶好のチャンス。同じ変革期であった明治・大正・昭和の経済人たちから、無から有を為す技を学ぶ。

岩波茂雄 - 出版文化の大衆化の功労者

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 岩波茂雄は出版業界のベンチャーだった。明治から大正にかけての読書人といえば、一部のインテリだけだった。その書物を、一般市民の間に普及させたのは、岩波茂雄の功績によるものだった。江戸期から続く零細な前近代的な出版業を近代的な出版業に育て上げた人物を選ぶとすれば、真っ先に名前が挙がるのは、まずは岩波茂雄だろう。当時の出版業は文字通りの、リスクの大きなベンチャービジネスである。自伝や評伝を参照してみると、岩波が出版業を手がけるようになるのは大正3年9月のことと記録されている。彼が出版界の覇者として名乗りを上げるのは、いわゆる定価廉価を旨とする「岩波文庫」の出版だった。岩波文庫の出版は各方面から大きな反響を呼んだ。ポケットに入る文庫本は手軽で、廉価だから誰でも買える。文庫本は一気に読者層を増やし、こうして岩波は出版物を、大衆のものにすることに成功するのだった。

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