明治・大正・昭和のベンチャーたち

日本はいま百年に一度あるかどうかの一大変革期であり、新しいビジネスを生み出す絶好のチャンス。同じ変革期であった明治・大正・昭和の経済人たちから、無から有を為す技を学ぶ。

鈴木三郎助 - 味の素の創業者

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柔らかい表情だ。その語り口に次第に引き込まれていく。鈴木三郎助はいまで言うプレゼンテーションの名人だった。彼の巧みな語り口には誰もが参る。プレゼンテーションの要諦は、つまりところ説得である。優れた技術でも優れた商品でも、まずは相手を説得できなければ使ってもらうことはできない。まずは説得だ。口説き上手という意味では、ここでの主人公・鈴木三郎助は天性の口説き上手だった。相手の性格を素早く見抜き、ときに拝み倒し、ときに引く。泣かせたり、笑わせたり、自在である。鈴木三郎助は自分の魅力というものを、よくよく心得ている男だった。誤解されては困るのだが、知に優るわけでも、舌先三寸で相手を煙にまくわけではない。要するに、鈴木三郎助の上手さとは、相手に対する洞察力に裏打ちされたもので、そこのところが他の人とは違うのである。