明治・大正・昭和のベンチャーたち

日本はいま百年に一度あるかどうかの一大変革期であり、新しいビジネスを生み出す絶好のチャンス。同じ変革期であった明治・大正・昭和の経済人たちから、無から有を為す技を学ぶ。

三野村利左衛門 - 情報に通じた目利きの番頭

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 岩崎弥太郎が終生ライバル視した男がいる。三井の大番頭三野村利左衛門だ。弥太郎は土佐の地侍の倅だが、三野村もまた「どこの馬の骨」かわからぬ、読み書きすら不満足な男だった。しかし、乱世には新しいタイプの人物が現れるものだ。岩崎弥太郎と同様に三野村利左衛門も乱世の男だった。こ の二人のライバルが瀬戸内海を舞台に死活をかけた海運競争を演じたことはすでに触れた。二人とも改革者だった。時代が必要とした改革者であった。時代は幕藩体制が崩れ、新しい時代に生き、日本の資本主義を生身で生きた男たちであった。古い秩序やシステムが崩壊したあと、新しい秩序とシステムを再構築するのが乱世に登場する新しいタイプの人間である。これまでなかったやり方が許されるのも乱世の特徴だ。乱世をチャンスと見て、積極果敢に打って出るか、時代の波に飲まれて、時代の彼方に消えていくのか、時代を担うその人物の才覚によって決まる。岩崎弥太郎もその一人であったし、ここで取り上げる三野村利左衛門もそうであった。

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