明治・大正・昭和のベンチャーたち

日本はいま百年に一度あるかどうかの一大変革期であり、新しいビジネスを生み出す絶好のチャンス。同じ変革期であった明治・大正・昭和の経済人たちから、無から有を為す技を学ぶ。

松永安左エ門 - 官に抗し9電力体制を築いた男

目次

 眼光炯々としていて細身の長身。誰もが畏敬の念を抱き、人びとからは 「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門は、九州は壱岐島石田村院通寺浦の出身だ。松永家は祖父の時代に財をなし、以来海運業を営む、壱岐では豪商として知られ、安左エ門は明治8年6月、松永家の総領息子として生を受けた。幼名を亀之助という。幼少の安左エ門は、生来のきかん気で、欲しいものは何でも手に入れるという性格だった。高等小学校に上がるころ「夜這い」をかけるほど、異性に対し猛烈な関心を示す恐ろしく早熟な少年であった。事業と女遊びは安左エ門の勲章のようなものだ。19歳で帰郷した安左エ門がヤクザの女に手を出し刃傷事件に巻き込まれたエピソー ドを残している。明治人のキーワードは「立身」である。立志伝や偉人伝に読みふけり、自らも大志を抱き、立身を夢見たのである。