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創業者列伝
クリスタルシステム【進藤 勇】
国研初のベンチャー企業
モリシリ電気炉

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目次

極めることが喜びに

 クリスタルシステムの社是は「世界一の座を譲らない」ことだという。

 「日本はアイデアがあれば、それを形にするモノづくりの技術は世界でも断トツです。モノづくりを極めることに喜びを見出せる数少ない民族なんですね」

 そして、最近の若者の理工系離れや一部の若者の拝金主義には真から眉をひそめる。

 「一部の若い人は、この道何十年という職人さんを見て、「大したお金を稼げないあんな仕事ばかばかしい」と言いますが、職人さん達には「生まれてきて本当にいい仕事をしてきた」と自分の人生に非常に満足しているわけです」

 「あと何十年しますと、日本が豊かなのはなぜか、深く考えると思います。若い人達にもやっぱり日本はモノづくりでいくしかないということが分ります」

 進藤が日本のモノづくりの現状と今後の見通しについての語り口には、自らの技術力への自信と技術者としての強い使命感が感じられる。

 「日本は材料の分野で絶対にトップを走り続けないといけません。私の関係しているクリスタルの分野ではとくにそうです」

 クリスタルシステムの一番のユーザーは中国の大学研究室だという。進藤によれば、「我々の最大のライバルは中国だ」と、その理由について次のように解説している。

 「中国人は景徳鎮の焼物を見ても分るように、伝統的にモノづくりに長けた民族です。勤勉で長い停滞期間を経て今は発展段階あるので、全力を上げて追いつけ追い越せを国是として頑張っています。このまま我々が立ち止まっていると直ぐ彼らに追いつかれてしまうでしょう」

 それでも中国の基礎技術力はまだまだ日本には及ばないというのが、一般的な見方だ。「従って、新型装置を開発しようとすると、そのスピードは段違いに日本のほうが速くできます。我々はこの優位性を最大限に活かして、さらに高度な装置システムを開発し続けることしか道は残されていません」と進藤はキッパリ言い切る。

あと2、3年で世界に冠たる会社に

 意外なことに、その中国がクリスタルの分野ではある意味で日本を上回るものがあるという。レーザー技術のことである。

 話は文化大革命に遡る。

 当時、中国政府が最も恐れていたのは、敵対していた米国が宇宙から弾道ミサイルで攻撃してくることだった。これに対抗するには弾道ミサイルをいち早くキャッチするシステムと迎撃するレーザーが必要と考え、中国政府は真面目にレーザー開発に力を入れたという。その遺産として中国のレーザー技術は、世界のトップレベルを達成したのだ。

 「ですから我々の最大の顧客にして最大のライバル、中国に対する危機意識は強いものがあります。クリスタルの合成に関してはいっさいの妥協をしません。どんなことがあっても世界のトップを守り続けます」

 「今取り組んでいる新技術はクリスタル合成の常識を覆す理想的な合成方法であると言えます。この新技術開発を成功させ、あと2、3年で世界に冠たるクリスタル会社に育てるメドをつけます」

 世界を相手にして、「世界一の座を譲らない」ことが社是であり、セールスポイントとしているクリスタルシステムらしい経営戦略である。(敬称略)

掲載日:2007年2月 5日

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