創業者列伝

創業者たちの生涯を追いながら、成功の要因に迫る。
現役の中小企業経営者にフォーカスし、成功に至るまでの苦心談や、経営の心構えなどを直接取材してご紹介します。

ワテック【中村正治】
起業の第一は海外ブランドの確立!

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 勤めていたストロボ会社の2代目オーナー社長が体調を崩し、自宅療養に入ってひと月ほど立った頃のことだった。その社長が自宅から秘書を通じて幹部一同に廃業宣言したのである。
 今日のようにM&AやMBOといった手法や社内の有力幹部を後継者に指名したりする「事業承継」という発想もない時代である。社長にしてみれば後を継ぐ息子も親戚縁者もいない中での苦しい決断だったはずである。だが、後に残された社員には、その日からゼロからの再出発となる試練の日々が待っていた。
 東京の大田区に本社のあったその会社は、大手カメラメーカー各社を顧客とする中堅のストロボメーカー。決して業績が悪化していたわけでもなかったが、会社の将来性を考えるとカメラの目覚しい技術革新が経営の先行きに微妙な影を落としていたことも確かだった。