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注目のニュービジネス
超小型モビリティのカーシェアリングシステム

最近、モーターショーなどでも話題の超小型モビリティ。その1-2人乗りEV(電気自動車)を使った、スマートフォンだけで利用できる「こでかけ」というカーシェアリングシステムが注目を集めている。

目次

スマホを使った無人化システムを開発

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ユニークなネーミングの「こでかけ」は、ちょっとした買い出しや移動、通勤などに手軽に利用できるカーシェアリングシステムだ。株式会社リーボが、2012年12月、福岡市早良区の百道浜地区にステーションを設置し、周辺住民約6000人を対象に無料で実証事業をスタート。同区西新にもステーションを追加してステーション間の乗り捨ても可能とし、利用状況や実証結果を踏まえて13年1月から課金を開始している。

最大の特徴は、専用アプリ(応用ソフト)をダウンロードしたスマートフォンで会員登録から利用予約、貸出・返却操作、料金の支払いまでできるという世界初のシステム。アプリは、iPhone(アイフォン)とアンドロイド向けに配信している。車のキーの受け渡しや料金の支払いなどに人手をまったく必要とせず、車両電源のオン・オフもスマホでできる。EVはフル充電で約60キロ走行可能な1人乗りタイプを2台用意している。

料金は前払いチケット制で、1チケットの利用時間は10分。3枚(30分)500円から、30枚(300分)3000円まで、4種類の中から選んで購入する仕組み。現在、登録会員数は250名に上っている。

システム開発までにはさまざまな試行錯誤や紆余曲折があった。最初は、カーシェアリング普及のために、店舗のチェーン展開を模索。フランチャイズを募り、いわゆる従来のレンタカーシステムのような拠点をつくろうとした。「しかし店舗展開では、場所だけでなく、必ず人手が必要となります。そのため拠点づくりがなかなか進まず、この事業には無人化が必要だと考えました」と同社の松尾龍馬社長。超小型モビリティだから、場所だけならマンションの駐車場の一角など、それほど苦労せずに確保できる。そこで松尾氏は、現在とは別の場所での実証実験なども経て、スマホを使った無人化システムを開発した。

顧客の要望に応じてカスタマイズしたシステムを販売

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事業化のめどがついたにもかかわらず、現在は、自らこのシステムを他地域にまで大きく広げていく予定はないという。「これはあくまでビジネスの採算性や利用者の使い勝手などを検証する実証事業という位置づけです。当社では、現在の事業をベースにした同様のシステムを全国の導入希望事業者に販売することで収益を上げ、より広くしかもスピーディにカーシェアリングを普及させていきたいと考えています」と松尾氏は言う。

実際にはそれぞれのクライアントごとにカスタマイズしたシステムを提供していく。すでに問い合わせが来ているおもなクライアントは、全国の自治体や、町づくりを行なうデベロッパー、小型EVのメーカーなどだ。

「たとえば自治体の場合など、利用者の選別・限定は許されませんから、スマホユーザーだけ、というわけにはいきません。ですから当然すでにICカードを使ったシステムも開発しています」と話す通り、多様なカスタマイズが可能。当面の課題は課金システムで、現在行なっているクレジットカードによる前払いのオンライン決済だけでなく、銀行振り込みや後払いなど、顧客の要望に応じた決済システムの導入を検討している。

観光客向けの事業や送迎などの活用法を考えると、1人乗りではなく、2人乗りのEVが必須になってくるが、折しも13年1月から、2人乗り超小型モビリティの公道走行が自治体の申請に応じて認められることになった。実は、松尾氏は「始まってからでは遅い」と、国土交通省の動きを見越して、2011年の創業当時から公道走行が可能だった1人乗りEVでノウハウを蓄積してきた。「こういう事業はスピードが命です。常に走りながら考え、次の手を打ちながら進化してきました」(松尾氏)。

目標は、世界で通用するITによる交通革命

同社が目指しているのは、「IT技術による新しい交通インフラ」の普及だ。「公共交通機関には2つの問題があります。ひとつは路線という線でしかインフラをつくることができないこと、もうひとつは少子高齢化が進むにつれ、今後、どんどん赤字路線が増えていくこと。『こでかけ』のようなシステムは、そうした社会のひとつの問題解決手段なんです」と松尾氏は話す。

これからの交通機関は、鉄道やバスなどに加え、乗合タクシーのようなオンデマンド交通と、同社が開発したようなカーシェアリングシステムの組み合わせが必要になるという。「地域ごとに、あるべき交通インフラの姿は違います」という松尾氏の最終目標は、それぞれの地域に合った包括的な交通システムの構築・提案と、ITを使ってそれを一括して運用できるシステムを提供することだ。

地域の特性を生かした交通インフラの需要は、日本に限ったことではない。これから発展しようとする新興国に向けても「低エネルギーで高効率の交通システムを提案、提供していくことができます。将来は、世界中の町づくりに貢献したいと思っています」(松尾氏)。そもそもリーボという社名は、EVとRevolution(革命)を合わせた造語。同社が描くビジョンは、まさにこれからの時代が求める"交通革命"だと言えそうだ。

●会社概要

企業名 株式会社リーボ
所在地 福岡市中央区天神1丁目10-24 天神セントラルプレイス2F
従業員 5人
URL http://reevo.jp


掲載日:2013年4月 4日

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