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注目のニュービジネス
「あられ」の味に魅せられて企画販売会社を創業

日本で昔から食べられている伝統保存食「あられ」。高品質なもち米を使い昔ながらの製法でつくっている、新潟のあられ工場の存在を知った「つ・い・つ・い」(東京都港区)遠藤貴子社長は、あられ専門店を開業。顧客の声を反映した味で日本の若者や海外をターゲットに売り出した。

目次

ほかとは違うおいしさ

20120830_1.PNG 白と紫のパッケージに紙の帯をつけてモダンな風合いを出した袋。チーズとハーブをまぶしたモッツァレラハーブ味など、洋風の味を取り入れたあられ。また、小袋に入った食べきりサイズが1個からでも買える─。そんな若い女性の心をくすぐる「あられ」を企画販売するのが、遠藤貴子社長が始めたあられ専門店つ・い・つ・いだ。

 開業は2008年。きっかけは遠藤氏が就職した会社が倒産してしまったことにあるという。どうせなら自分の好きなことをやってみようと、知人に頼んで新潟からよく買ってきてもらっていた「あられ」を、インターネットで販売してみようと思い立つ。

 「贈答品として知り合いからもらった」と、遠藤氏は初めてあられを食べた時のことを振り返る。そのあられは、とある新潟の工場でつくられていた。それを食べ、そのおいしさに感動した。自分で購入したいと思ったが、東京では売っていないという。知人に頼み、何度も買ってきてもらっていた。「ほかとは違うおいしさがあると思った」(遠藤氏)。

 若者や海外の人たちにも、この工場のあられのおいしさをもっと知って欲しい―。遠藤氏に強い想いが沸き起こった。そこで知り合いを辿り、工場に連絡を取った。あられをインターネット中心に販売させてもらえないかと依頼したのだ。

 こうして、あられ専門店つ・い・つ・いがスタートした。

生産者の想いを伝えたい

20120830_2.PNG おいしさの秘訣は材料と製法にあった。多くのあられやせんべいは、米を精米する時に削る外側の米粉を原料にしている場合が多いという。だが、このあられ工場では米の芯を含めて使っていた。「そうすることで、米の味がしっかりと味わえる」と遠藤氏は言う。

 さらに、あられの材料となるもち米は「わたぼうし」という品種。甘みが強くもち米の中でもあられに最も適しているといわれるものだ。しかし、「わたぼうし」は甘みが強いために虫の害が多く、育てにくいといわれている。農薬を使わなければ、ほとんどが虫に喰われてしまうのだ。「農薬を極力少なくし、おいしい米をつくるには、大変な手間がかかる」(遠藤氏)。

 工場では、身体にいい材料のみでつくるという信念のもと、極力農薬を使わずに生産する生産者と直接契約をしていた。誠実に、身体にいいものを食べてもらいたいという農家の想いを共有し、また、外側だけでなく芯まで含めたもち米の粉で製造する。それらが「ほかとは違う」おいしさをつくり出していた。

 販売にあたり、遠藤氏には勝算があった。せんべいやあられは年配の人が好んで食べる。だが、味にバリエーションをつけ、若者が好む味つけにする。さらに食べきりサイズの小袋をつくり、パッケージを現代風にアレンジすれば、若者にも受け入れられるだろうと考えた。それをインターネットで販売すれば、日本だけでなく海外の人にも買ってもらえるとふんだのだ。

ツイッターで情報を

20120830_3.PNG 起業して1年は準備に費やした。「包装を独自のやり方でやろうと思ったから」と遠藤氏はその主な理由を語る。食べ切りサイズの商品は必須だと考えた。いろんな味を少しずつ楽しめるようにするためだ。だが、当時の既存商品には、保存のため乾燥剤が入っていた。食べきりサイズとなれば、小さな袋に入れることになるが、小袋の中に、食べられない乾燥剤と口に入れるあられが一緒に入っていることに違和感があった。そこで、遠藤氏は、乾燥剤を入れないで保存できる方法を模索した。

 ヒントはコンビニのお菓子にあった。コンビニなどに置かれるスナック菓子は、日持ちはするが乾燥剤が入っていないものが多い。その秘訣は窒素充填にあった。空気の代わりに袋を窒素で満たす方法で酸化を防ぐ。また、この方法であれば、窒素がクッションとなり中身が割れてしまう危険も減る。

20120830_4.PNG 「同じ方法が取れないだろうか」。遠藤氏は国内の包装工場に電話をかけ、対応してくれる業者を探した。だが、起業したばかりの遠藤氏の言葉に耳を貸してくれる会社はなかなか見つからず、「小娘が何を言っているのか?」とあしらわれてしまうこともあったという。電話帳を片手に、しらみつぶしに包装工場に連絡をし、ようやく協力会社が見つかった。こうして乾燥剤を入れない方法で商品を包装することが可能になった。

 さらに、味のバリエーションを考えるには、ツイッターやフェイスブックといったSNSが大いに役立った。起業してすぐの遠藤氏には従業員を雇う余裕はなかった。一人で情報を得るには限界がある。「知っている人がいれば教えてもらった方がいい」(遠藤氏)。SNSの活用で情報量が何倍にもなった。

 現在も遠藤氏の元に「もっと濃い味の方が好き」「こんなのを混ぜたらどう?」といったさまざまな意見が寄せられる。中には「この会社とコラボレーションして欲しい」という要望もあった。

 また、1年ほど前にデザイナーを変更し、11年7月にはパッケージを変えた。デザイナーは日本在住のフィンランド人。「デザインに海外の視点を取り入れたかった」と遠藤氏は言う。日本らしさを残しつつ、海外から見た「ジャパン」デザインへと変更したのだ。新しいデザインは海外のみならず、「かわいい」と日本の若い女性にも人気だ。こうした取り組みが功を奏し、少しずつではあるが、現在世界各国からの発注がウェブサイトを通して寄せられている。

 「ニューヨークやパリに店舗を出したい」(遠藤氏)。世界的なブランドを目指し、あられを世界中にひろめるべく、日々奮闘している。

●会社概要

企業名 株式会社つ・い・つ・い(TWHY TWHY, Inc.)
所在地 東京都港区南青山2-2-15-1317
資本金 500万円
従業員 5人
電話 03-6447-1453
URL http://shop.twhytwhy.com/
掲載日:2012年8月30日
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