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注目のニュービジネス
ライフスタイルに合わせた機略。デジタル仏壇が登場

実家や本家にしか仏壇がない。そんな話は珍しくない。「和室はあっても仏壇が置けるスペースがない」「ろうそくや線香は火事が怖い」─ライフスタイルやメンタリティの変化に応えた「デジタル仏壇」。開発したのは、広告代理業を営むデザイン計画(長野県松本市)だ。

目次

クライアントの何気ない言葉がプロジェクトを生んだ

20111206_1.PNG 扉を開けると、音楽と共に暦やその日ごとの格言が表示され、故人の写真やメッセージが次々と画面に現れる。さらに扉を開いた回数を「お参り回数」としてカウントする。「デジタル仏壇」はそういった機能が詰まった仏壇だ。

同商品を開発したデザイン計画・齋藤淳一社長は「最初から仏壇を開発しようと思ったわけではない」と言う。同社の本業は広告代理店。クライアントの販売促進用チラシやのぼりをつくることが多く、プロモーションビデオやホームページの制作も手掛けてきた。

「デジタル仏壇」の構想が生まれたのは2008年11月のこと。取り引き先の食品メーカーから、スーパーなどの店頭用にプロモーションビデオの制作を依頼された。その際「ソフトと一緒にハードウェアもつくって欲しい」と言われたのだ。

店頭プロモーション用のハードウェアは、大手メーカーのものが既にある。だがそれを使うと予算オーバーだった。

「必要な機能だけがついた店頭用デジタルサイネージ(電子看板)の開発を」。その依頼が、新規プロジェクトの引き金となった。

08年11月といえばリーマン・ショックの直後。企業はまず広告宣伝費を削った。広告代理店は当然苦境に陥る。

従来のビジネスモデルでは、会社を長く存続させ続けることは難しいだろう...。デザイン計画では「新しいことをやっていかなければ」と新規プロジェクトを立ち上げた矢先の依頼だった。

生き残りを賭けて新しい市場に打って出る

20111206_2.PNG デザイン計画では、既存のデジタルフォトフレームをリサーチした。知り合いから中国のメーカーを紹介してもらい、何度も訪中し、つくり方や使われ方を検証した。

中国で齋藤氏の目を引いたのが、市場に溢れるデジタルサイネージだった。

「デジタルサイネージはおもしろい」齋藤氏はそう感じた。その感覚をもとに、リサーチを経て完成した店頭用デジタルサイネージを前に、齋藤氏のさらなる挑戦は続いた。「このハードの斬新な活用方法はないだろうか」─デジタルフォトフレームをさらに調査したところ、意外な使い方に遭遇した。亡くなった人の写真をスライドショーにして眺めている人が多いというのだ。

仏壇に飾る遺影写真は、かしこまった感じのものが多い。もっと身近な写真を眺めたいという思いがあってのことだという。齋藤氏は考えた。

「だったらデジタルフォトフレームより高機能のデジタルサイネージを仏壇に収めてしまおう」

ただし「和」の仏壇に横向きはそぐわない。それなら縦にしよう。さらに仏壇の中の文字情報をデジタル化したらどうか─アイデアはどんどん広がっていった。

とはいえライフスタイルの変化により、若い世代を中心に日常的に仏壇と向き合う機会は減っている。

実家には仏壇がある。しかし都会暮らしでは大きな仏壇は買えない。そんな人たちが、それでも亡き人を偲びたいと思う気持ちに応えるための商品なのだ。だから齋藤氏は「デジタル仏壇は旧来の仏壇にとって代わる商品ではない」と言う。

将来を見据えて販売チャネルの確保を

20111206_3.PNG 自社での開発・販売はデザイン計画にとって「デジタル仏壇」が初。販路をまったく持っていない中、どう商品を売っていくのか?

まず露出の機会を増やすべく動いた。年1回開催される、葬祭サービス総合展示会「フューネラルビジネスフェア2010」。そこをお披露目の場として出展を計画した。

さらにメディアリリース専門の会社から商品情報を発信。広告制作の仕事で、取り引き先の新商品プロモーションを手がけた経験が生きた。

展示会でブースに訪れた人の数はおよそ2000人。「こういう商品を待っていたよ」など業界関係者から注目を浴びた。この出展をきっかけに取り扱いを希望する販売代理店も現れた。しかし、規模が小さい同社では、全国の仏具店や葬儀場に個別対応することは難しい。そのため全国規模の販売代理店に絞って取引を開始する予定だ。

軸はBtoBでの取引。「今後の展開を考えたら、代理店や販売店とつながることは大切」(齋藤氏)

さらに、全国の仏壇メーカーとの業務提携も積極的に取り組む。「コンテンツに暦や格言を毎日表示するようにしたのは、毎日一度は扉を開き、お参りをしてもらいたいから」(齋藤氏)

ライフスタイルが変化しても、故人に手を合わせる心は変わって欲しくない。「ペット向けの製品化も進行中」と齋藤氏が語るように、「新しい祈りのかたち」はこれからさらに存在感を増す。

●会社概要

企業名 デザイン計画
所在地 長野県松本市波田1528-2
資本金 1000万円
従業員 13人
電話 0263-92-8500
URL http://d-plan.cc/
掲載日:2011年12月 6日
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