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成長性の高い新規事業、本業との相乗効果を見込める新規事業をレポートします。

ガソリンスタンドから壁材まで。事業のキーワードは地域密着

既存の事業とはまったく異なる事業に着手する場合、これまで蓄積したノウハウを活用しにくい。サービス業から製造業に進出したサメジマコーポレーション(神奈川県川崎市)の場合、BtoCで培ったノウハウを生かして消費者に訴求し、成功を収めた。

目次

地域に向けてさまざまなサービスの提供を目指す

20110809_1.PNG 梅雨から夏にかけて、じめじめした湿気は悩みの種だ。少しでも室内環境を快適にする方法として、調湿効果があるといわれる壁材、珪藻土が注目されている。珪藻土を壁に塗れば、エアコンなどを使わなくても、室内の湿度が最適な状態に保てるという。

 ほかの企業に先駆けて、この珪藻土を15年ほど前から扱っているのが、サメジマコーポレーションだ。今では珪藻土メーカーとして業界で知られる同社だが、もともとはガソリンスタンドなどを経営していた。

 同社の設立は1973年。川崎市から横浜市にかけてガソリンスタンドの多店舗展開を進め、最も多い時で14店舗を抱えていた。顧客の囲い込みを積極的に行ない、着実に利益を上げていた。

20110809_2.PNG 89年にはレンタルビデオ店のフランチャイズに加盟するなど、事業の幅を広げていった。その理由を、同社の吉田修取締役は「地域のお客さまに消費材から娯楽までさまざまなサービスを提供したいと考えたから」と語る。

 事業拡大の方策の一つに、店舗数を増やす戦略が挙げられる。この戦略なら、これまで培ったノウハウを活用できる。そうした戦略をとる一方で、サメジマコーポレーションはあえて違う分野の事業への進出も選んだ。

 一見するとノウハウが生かせないようだが、既に店舗展開していれば、土地勘がある。そのため、出店場所を選ぶ際もスムーズだ。

 この戦略のもと、複数の事業を展開。やがて、同社は後に中核事業となる珪藻土の生産・販売に乗り出すこととなった。

体験教室で消費者の理解を深める

20110809_3.PNG 今でこそ環境に対する意識は高まっている。だが、サメジマコーポレーションが珪藻土に注力し始めた頃は、シックハウス問題への関心が高まりつつあったものの、今ほどではなかった。

 そうした中、「今後は環境に負荷をかけない方向に世の中は動いていくだろう」と考えた同社は、珪藻土を手がけることに決めた。当初はメーカーから原料を購入して珪藻土を販売。やがて自社で採掘、製造するようになった。珪藻土は日本各地で採掘できるものの、性能には大きな差がある。さまざまな地域で採掘したものを比べ、最終的に北海道産を選んだ。ここにたどり着くまでもかなりの時間とコストを要した。

 そうした経緯を経て珪藻土を商品化したわけだが、販売方法にもこだわった。珪藻土は工務店やハウスメーカーなどに販売し、建材として利用してもらうのが一般的。いわばBtoBの商材だ。

 それにもかかわらず、サメジマコーポレーションは消費者に向けて珪藻土をアピール。「最終的な決定権はお客さまにある」との考えによる戦略だ。

20110809_4.PNG ウェブサイトを通じて情報を発信するとともに、自社のショールームを使って実際に珪藻土を壁に塗る「かべ塗り体験会」を土日に開催した。

 体験会では、珪藻土の調湿効果を実証する実験や、他社製品との比較なども行なう。全体で3時間を要する。

 「1回で何十人ものお客さまの相手ができるわけではないから、効率はよくない」と吉田氏は語る。しかし、盛りだくさんの内容と、昨今の環境への関心の高まりから、その後はキャンセル待ちが出るほどの人気を呼ぶようになった。

 体験会の参加者の中には、家を建てる際に「サメジマコーポレーションの珪藻土を使ってほしい」と施工業者に頼む人もいる。

 これまでBtoCの事業で得たノウハウを生かして消費者にアピールするサメジマコーポレーション。まったく違う分野の事業を開始したものの、今まで蓄積したノウハウをうまく活用し、着実な効果を出している。

●会社概要

企業名 サメジマコーポレーション
所在地 神奈川県川崎市宮前区土橋1-21-11
資本金 2000万円
従業員 100人
電話 044-854-1111
URL http://www.samejima.co.jp/
掲載日:2011年8月 9日
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