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注目のニュービジネス
卵の個性が会社を救う

誰からも親しまれている「たまごかけご飯」。小林ゴールドエッグ(徳島県徳島市)では、「究極のたまごかけご飯専用たまご」を販売し、話題を呼んでいる。商品誕生の背景には、社長就任時のある失敗にあった。

目次

鳥インフルエンザ騒動中に社長へ

20110502_1.PNG 「会社を引き継ぐまで、経営者のやるべきことをよく分かっていなかった」。小林ゴールドエッグの小林真作社長は、社長就任時をそう振り返った。

先代社長が亡くなったのは2004年のこと。病気で倒れた父に代わり、急きょ大手食品メーカーで働いていた小林氏が会社に戻ることになった。折しも、世間で鳥インフルエンザが騒がれていた時期と重なった。事業への影響が計り知れない中での社長交代。会社の行く末を不安視する声が社内で高まっていたという。

そうした声を打ち消すために、小林氏は新たに幹部会を設置、ほかにも社員との個人面談を始めた。今後を担える人材づくりに力を入れることで、社員の危機意識を払しょくしようとしたのだ。

この新しい取り組みは裏目に出る。「焦りから会社の問題点ばかりに目がいった」(小林氏)というように、個人面談は社員に問題点をぶつけ、責めたてる場になっていた。これまでの社員を大切にする社風を度外視したやり方に、社員の不満は高まる。会社とともに新社長の小林氏も苦境に追い込まれた。

会社を変えようとする小林氏とそれに反発する社員との間にできた溝。それを埋める方法を学ぶべく、小林氏は中小企業家同友会が主催する勉強会に参加した。

勉強会で客観的に会社を分析

20110502_2.PNG この勉強会への参加が「客観的に会社を見る機会」となったという。参加する他の経営者の意見を通して、今までの経営方針の重要性に気づかされた。

たとえば、同社の特長の一つに小口の販売先が多いことがあった。社長就任当初、小林氏は小口の販売先に加え、大手小売店との取り引きを増やすことで販路の拡大をもくろんでいた。だが、ほかの経営者の見方は違った。彼らは価格競争の厳しさや案件ごとのリスクの高さなど、大手企業との取り引きの大変さを口にした。そうした話を聞くうちに、これまで行っていた小口の販売先の大切さを思い知らされた。

冷静に会社を見ると、至るところに会社の特長が見つかる。小林氏は父と仕事の話をしたことがない。ただ、「社員や顧客を見つめ直すことで、父の取り組む姿勢や会社への思いを知った」という。

同社の営業は、担当者ごとに販売先との付き合い方や時間のかけ方が異なる。そして、どの担当者も販売先と親密な関係を築いていた。

会社を見わたした時に「やり方まで口を出し、スーパーサラリーマンのような完璧な社員づくり」を目指した就任時のやり方を反省した。「1人1人に特長があり、その人に合ったやり方がある」(小林氏)。これを変えることなく長所を生かすやり方に経営の舵取りを戻す。こうして社員との間にあった溝も埋めていった。

特長に合わせた提案型で販売

20110502_3.PNG 社員との関係を修復できたことが、その後の新商品開発に生きている。ある会議の席で、営業の社員が販売先からの意見を述べた。「生で食べるとおいしい」──。

一つの卵に同じような意見が集中した。この販売先の意見を聞き、小林氏がスーパーなどで感じていた疑問と重なった。

「精肉コーナーでは、"からあげ用"など、用途別に販売しているが、なぜ卵にはそれがないのだろう」──。

そこで、用途別の販売を試験的に行った。まず「たまごかけご飯」専用の卵として売り出したのだが、あえて使い方を絞って売ることに業界内では疑問視する向きが強かった。ところが、大方の予想を裏切り、売り上げは伸びていった。この試験販売の手応えをもとに、オムレツやケーキなど加熱専用の卵も販売。「たまごのソムリエシリーズ」として人気を得た。

20110502_4.PNG このヒット商品の裏には、社長就任時の社員教育に対する失敗が生きている。「人も卵も同じで、短所は長所でもある。見方を変えて特長をうまく生かすことで弱点は大きな武器になる」(小林氏)

苦境で得たことを糧に商品開発につなげていった小林ゴールドエッグ。「世界に通用するブランドにしていきたい」。そんな目標を掲げる同社が、日本の殻を破り世界へとはばたく日もそう遠くはないだろう。

●会社概要

企業名 小林ゴールドエッグ
所在地 徳島県徳島市国府町日開113
資本金 1000万円
従業員 25人
電話 088-642-6711
URL http://www.cgegg.co.jp/
掲載日:2011年5月 2日
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