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注目のニュービジネス
ふとんはネットでも売れるんです

徳島・香川県内で店舗を展開する高橋ふとん店(徳島県徳島市)は、リアルの販売に加え、全体の売り上げの3分の1を占めるというインターネット通販で強さを見せる。しかしその道のりは平坦ではなかった。

目次

知人の話からスタート

20110330_1.PNG 「"赤字だからもう止めよう"と言われ続けた頃もあった」と高橋ふとん店・高橋武良社長は振り返る。月間の売り上げが最高で1億5000万円を記録したこともある同社。そのインターネット通販の来し方をたどれば、先駆者が得た叡智に触れることになる。

 そもそもネット通販に乗り出したきっかけは、2000年に遡る。高橋氏の母が、知人の家具販売店経営者から「高価なソファセットがネット経由で売れて、神戸まで納品に行ってきた」と聞き、「それならやってみるか」となった。こうして同社のネット通販サイト「こだわり安眠館」の運営が始まった。

 オープンしたはいいものの、2カ月間はまったく反響がなかった。その間、健康飲料のネット通販で成果を出している企業に話を聞きに行くなどした。

 そして3月、ついに注文が入る。2980円の敷き布団が2つだった。以降、売り上げは次第に伸び、結果的に初年度の売り上げは1000万円に達した。

 「あってもなくても変わらないくらいの規模だったが、"できるんだな"という手応えは得られた」(高橋氏)

 02年にはヤフーに「頼み込んで」(高橋氏)出店した。高橋氏は当時を振り返りつつ、ネット通販の特徴をこう語る。

 「ネットでの売り方には2種類ある。1つは他の会社が売っているのと同じものを売る。これは市場が大きい。もう1つは他で扱っていないものを売る。市場は小さく、売りにくいが、一度売れてしまえば稼ぎ放題になる」(高橋氏)

 ネット直販の戦略のうち、後者をとった同社。店舗にある商品と同じだけのものを揃える、価格はできる限り下げる方向で進んだ。

 しかしこの路線は壁にぶつかることになる。高橋氏は言う。「商品のためのページを制作すればそれだけコストはかさむ。そのコストに見合うだけの売り上げがあるのかどうか考えずにやっていた」

路線修正と拡張

20110330_2.PNG 1人の担当者の兼務で始まったネット通販も次第に拡大、04年には10人を擁して通販事業部として独立した。この年の売上高は3億8000万円。1000万円からの急激な成長だった。

一方でコストも膨らんでいた。結果として赤字は約3000万円に上った。それまでは人材も兼任態勢だったが、独立させたことにより、人件費をはじめとしてコストは格段に増えていたのである。

社内や税理士からは「止めてはどうか」と言われるようになったが、ここで高橋氏は品揃えを絞る方向へ舵を切る。過度の値下げは避けた。

その一方で、初期には意欲的に取り組んでいた「ネット通販向けオリジナル商品」の開発に再び力を注いだ。簡単に売り上げが立てられる方向へと流れていたが、ここで原点回帰を図ったのだった。外部のメーカー、卸会社と協力して、開発に勤しんだ。

ではネット通販で人気の出やすい商品の法則はあるのだろうか。高橋氏は「ふとんに限った話だが」と前置きして、こう話す。

「ネットで売れるものは、飛び抜けている特徴や機能をデフォルメして伝えられるものだ。実店舗では商品の機能を網羅的に説明できるが、ネットではそれが難しい」

成否を分けるもの

2008年11月、高橋ふとん店のネット通販は月間で売り上げが1億円の大台に乗った。今では全社の売り上げの3分の1を占める核に育った。

そんな高橋氏のもとに、ネット通販に関する相談を寄せる経営者も多い。そんな時、どんな風に答えているのか。

「中小企業の場合、戦力が分散することを覚悟しないといけない」と高橋氏は警告を発する。

人材不足の中小企業のこと、兼任になることは珍しくないだろう。だが、こうして人材の力を分散させることになれば、「虻蜂取らず」の状況を招きかねない。

「父親が経営者として頑張っていて、修業先から子どもが帰ってくる。同じ事業に取り組むと軋轢を生みそうなケースでは、"それならネットをやってみろ"とするのも一つの手だろう」(高橋氏)

また「始めてみたものの、成果の出ないネット通販」の事例の多くは「小売業に共通する"距離の優位性"を理解していない」と指摘する。

たとえば東京では100円だが、徳島の山間部では300円でも買ってもらえることが少なくない。これは販売者の実力ではなく、"近いから買われる"だけのこと。「自社固有の商品、サービスなど、アピールポイントを持たないと、全国・世界にライバルのいるネット通販の世界では生き残れないだろう」(高橋氏)

そう語る高橋氏自身は、自社通販サイトの目標を、ジャンルでトップに立つ「メガ店舗」になることだとする。「新たに出店したいショッピングサイトもある」と高橋氏はあくまで意欲的だ。つまずきを経たビジネスは、これからも成長の可能性を探っていく。

●会社概要

企業名 高橋ふとん店
所在地 徳島県徳島市川内町鶴島105-3
資本金 5000万円
従業員 112人
電話 088-665-9609
URL http://www.futonten.info/
掲載日:2011年3月30日
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