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1カ月で1000個を販売

甘辛いしょうゆで煮込んだいかと、スパイシーなカレーの絶妙なマッチング。水産加工品製造を手がける錢福屋(石川県白山市)が、「カレー」と「いかめし」を融合させ、ヒット商品をつくり出した。

目次

ひらめきは突然に

20110201_1.PNG 干物や塩辛などを扱ってきた錢福屋。当然のことながら、お酒をたしなむ中高年の男性が購入者の中核をなしていた。

 しかし、同社・西竹康生社長は、もっと顧客に幅を持たせたいと考えていた。とはいえ「どうしても干物・塩辛という枠にとらわれていた」と西竹氏は当時を振り返る。

 そんなある日「小腹が空いたから」という家族に、残りもののカレーをいかに詰めて出した。これが思った以上に好評で、特に子どもは喜んで食べている。その姿に「商品化できるのではないか?」とひらめいた。

 いかめしというと北海道のものが有名。だが、石川県もいかの漁獲高は全国で3位。いかめしは郷土料理でもある。その頃「金沢カレー」がご当地グルメとしてメディアで取り上げられ、話題になっていた。この動きも西竹氏の背中を押した。

 デパートの物産展に参加するために、地元の食材を使ったものにしたいとの構想もかねてから描いていた。

 いかめしと金沢カレーを掛け合わせると、子どもが喜ぶものに。地元の食材が使われ、郷土料理が新しい味になる─。西竹氏の中で構想は固まった。

味のバランスの妙

20110201_2.PNG カレーは味も香りも強い。それが、いか本来の味を消してしまっては意味がない。かといって、いかの味ばかりでは「金沢カレー」の名折れだ。「最大の難関は、この味のバランスだった」と西竹氏は言う。

 いかめしとして美味しく、カレーご飯だけを食べても成立するものを目指した。「ウチはカレー専門店ではないが、やるならきちんとした金沢カレーを使って商品化したい」

 そう考えた西竹氏は、地元の老舗洋食店「キッチンユキ」に相談を持ちかける。この店のカレーは、数ある金沢カレー店の中でも濃厚。いかめしと合うと考えたのだ。こうして、キッチンユキの金沢カレーとの連携が実現した。

 錢福屋では、毎年12月におせち用の珍味を販売する際、来店者に料理を提供する「振る舞い鍋」を行っている。地元の人が集まるここで「カレーいかめし」の試食会を行った。

 想定していたのは子どものいる家族だ。「子どもの夜食や家族でキャンプに出かけた時の携帯食にと考えた。調理不要で簡単にできることをアピールしたかった」(西竹氏)。

 試食会での評判は上々だった。アンケートで集まった意見を集約し、一番よいと思う形で商品をつくり込んだ。こうして2010年4月、発売に漕ぎ着けた。

ただのブームで終わらない

20110201_3.PNG 想定通り子どもには好評だった。意外だったのは大人にも受けたことだ。しっかりとした味付けのため、酒の"あて"にもちょうどよいとの評価だった。「ちょっと変わったお土産に」と若者も買って行った。

 メディアで紹介されたこともあり、発売1カ月後には爆発的な人気を博すことに。月間1000個売れることもあった。当初の月間販売予測、300個を大きく上回った。

 だがこの人気にも「今以上に大量生産をして売るつもりはない」と西竹氏は言う。「扱っているものは食品。目の届く範囲で確実に売っていきたい」(西竹氏)。

 レトルト食品ではあるものの、無添加・保存料不使用。そんな商品を安全な状態で提供し続けるためには、きちんとした商品管理は必須と考えている。そのために規模の追求は避けたいという。

 さらに一過性のブームで終わらせないよう、広告・宣伝についても最小限に止(とど)める。

 想定以上に大きな人気を呼んだ同商品。「急成長は求めない」(西竹氏)との考えだ。

 次の展開は「本格的な大人の味」の追求。お客さまからの要望を受け、近く辛口カレー味を発売する。そして「今回の開発経験を生かし、次は石川県の食材を使って四季折々のいかめしを提供していきたい」と語る西竹氏。

 ヒットを出したからといって浮かれることなく、地に足をつけて次の一手を考える。その姿勢が次のヒットを創出するに違いない。

●会社概要

企業名 錢福屋
所在地 石川県白山市倉部町200
資本金 1000万円
従業員 8人
電話 076-275-5931
URL http://zenifukuya.com/
掲載日:2011年2月 1日
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