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TVショッピング10分で9000足完売の記録

大阪の小さな靴メーカーがつくった商品が、通信販売での靴の売り上げ上位に食い込んでいる。その商品の名は「リゲッタ(Re:getA)」。オフィスで履いても疲れない、履き心地を下駄(げた)に似せたサンダルだ。

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注文が殺到して電話回線がパンク

20101130_1.PNG 靴やサンダルの業界では、市場は大手メーカーが寡占している。アシックス、ナイキ、アディダスなど、大手メーカーや海外のブランドで流通のほとんどを占めているという。
 そんな中、インターネット通販の楽天市場やアマゾンで、サンダルの人気ランキングに異変が起こった。大阪の小さな靴メーカーがつくったサンダルが上位に躍り出たのだ。

 この快挙を実現したのがシューズ・ミニッシュ(大阪市生野区)の主力ブランド「リゲッタ(Re:getA)」だ。常時履いても疲れないように、履き心地に加え、歩き心地にも気を配ったサンダルなのだ。

 その上、靴職人による木型からのハンドメイドのため、見た目に高級感が漂う。にもかかわらず値段は5000円程度だ。そのため、職場で履くオフィス・サンダルとして、ビジネスマンやOLを中心に売り上げを伸ばす。

 こんな逸話がある。通販会社を通じてテレビショッピングで販売した時のこと。開始10分で9000足を完売する快挙を遂げ、注文が殺到して電話がつながらなくなった。

 2005年の販売開始から、累計で50万足を売り上げるヒット商品だ。

下駄の歩き方をコンセプトに

20101130_2.PNG このリゲッタは、同社の高本泰朗(たかもと・やすお)専務が「下駄をもう一度」というコンセプトでつくり出したものだ。開発には4年を要したが、下駄の歩き方を再現するデザインにしたという。

 下駄には台座に2本の歯が付いているが、歩く時にはかかとから後ろの歯で着地する。そして前へ転がるように2本の歯が接地する。最後に前歯だけが接地した状態で、つま先で地面を蹴って、身体を押し出すように前へ進む。この一連の動きが下駄で歩くメカニズムだ。

 このように、かかとから着地する歩き方をローリング歩行と言う。「歩くことで血液を循環させるポンプの役割を果たす」と高本氏は解説する。

 しかし、スリッパやパンプスなど、現代の履き物はかかとが平らな物ばかり。歩き方もすり足になりがちだ。かかとから着地できないこれらの履き物が血液循環の妨げになり「現代人に多い"冷え性"や"むくみ"の原因になる」と高本氏は指摘する。

 そこで、リゲッタは靴底部分に下駄と同様の工夫を施した。かかと部分を円形に切り、歩いた時にかかとが着地するようにした。面で接地するため足への負担も大幅に軽減した。

 また、つま先部分は斜めに切り上げた。これにより、かかとからつま先まで、足裏を転がすように踏み出すことが可能になる。ローリング歩行ができるようになるのだ。「冷え性やむくみが解消するだけでなく、頭痛や肩こりも治ったというユーザーの声も多い」(高本氏)という。

 さらに、足裏部分のインソール(中敷部分)にも工夫を凝らした。靴の木型を削るところから手づくりすることにより、足型に合ったインソールの形を実現したのだ。

 そうすることで、足裏の面積の80%以上で身体を支えられる。従来は足裏の4分の1の面積で、体重をすべて支えていたのだ。これで、リゲッタを履くだけで立ち続けても疲れにくくなる。バランスが良くなるので腰痛が軽くなったという声もある。履き心地を知って、リゲッタの「商品シリーズをすべて買いそろえるリゲッタマニアと呼ばれるコレクターも多い」(高本氏)という。

販路を変えると評価も違う

 そんなリゲッタも最初から売れ行きが好調だったわけではない。
 「販売当初は卸問屋から全面否定され、流通に乗せてもらえなかった」と高本氏は当時を振り返る。

 靴業界ではこれまで「デザインをコピーするのが習慣化していた」(高本氏)。ドイツやイタリアなど、本場のブランドがデザインした形を模倣するのだ。この手法が売れる商品開発として定着していた。

 これはサンダルも同様だった。新企画をつくっても「業界の異端者としてレッテルを貼られた」という。

 だが高本氏はあきらめなかった。従来の流通に受け入れられないならば、展示会に出品することを考えた。

「このまま干上がるぐらいなら」と、思い切って大金を投じて東京インターナショナル・ギフトショーに出展。自社のブースをリゲッタ一品に絞って、下駄の歩き心地をアピールした。

 すると、行列ができた。「こんなサンダルが欲しかった」「独占販売権を結びたい」「海外で販売したい」など、さまざまな声も寄せられた。

 これまで靴業界でけなされ続けたリゲッタが、ギフト業界で歓迎された。「販売先を変えれば評価も違ってくる」と高本氏は語る。以後、同社のリゲッタは破竹の勢いだ。従来の流通ではなく、通販やネット販売を軸に売り上げを伸ばし続けている。

●会社概要

企業名 シューズ・ミニッシュ
所在地 大阪府大阪市生野区小路3-12-5
資本金 300万円
売上高 6億5000万円
従業員 20人
電話 06-6755-2430
URL http://mini-shu.com/
掲載日:2010年11月30日