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注目のニュービジネス
4日間で約1万個を販売!

クリームとプリンの中間にあるようなとろける食感。コクはあるがさっぱりとした後味。老舗の和菓子店が開発に挑み、インターネット通販で人気に火がついたヒット商品が「きわみプリン」だ。

目次

老舗を引き継いだ社長が感じた変化の必要性

20100121_1.PNG スプーンですくえる硬さだが、口に入れた直後に溶けてなくなるギリギリの食感。卵黄の風味の豊かさが舌の上に広がる。「きわみプリン」は、その名の通りプリンの王道を極めたスイーツだ。

 6個入りで1980円という価格は、普通のプリンに比べれば少々高め。しかしその価格も、すべて職人たちがオーブンで蒸し焼きにする生産体制と、その味を考えれば納得がいく。

 この商品を2002年に開発したのが和菓子専門店・玉華堂。1890年に餅の製造販売店として創業、昭和に入った頃に製菓を事業の柱に据えたという老舗だ。

 現在の社長・鈴木良宜氏が事業を引き継いだのは1999年。25歳の時だった。病に倒れた先代から、急に老舗の事業を継承することは難しかったという。
 「老舗の、守らないといけない部分、変えていかないといけない部分があった」(鈴木氏)

 これまで同様、地域密着型の店舗は継続していきたい。しかし、贈答用として買われることの多い和菓子の主力商品だけでは、将来的に経営が行き詰まっていくのではないかという不安もあった。

 来店者が自宅で食べるための洋菓子をレパートリーに増やしてみよう。そんな思いつきが、02年にきわみプリンの原型を生んだ。

本物にこだわった直球勝負のプリン

20100121_2.PNG 「ギリギリの口どけ感」の構想は、初めから狙っていたものだと鈴木氏は振り返る。

 試作段階では、和菓子店らしく「抹茶味」「黒糖味」のプリンもつくってみた。しかし世の趨勢を考えれば、「王道のプリンをつくるべきだ」と鈴木氏は結論に至った。卵黄や生クリームの風味が十分に生かされ、なおかつ絶妙な食感を持つ直球勝負のプリン。開発は厳選した食材の配合と、蒸し焼きにする際の焼き加減を確認する作業の繰り返しになった。

 試行錯誤の果てに、開発スタッフは目指していた食感を生み出す「食材の黄金比」(鈴木氏)を見つけ出す。また、試作を繰り返すうちに、熟練された製造スタッフも育ち、絶妙な焼き加減が可能となった。そして05年、完成の域にたどり着いたきわみプリンを手に、ネット通販の世界に乗り出していくことになる。

 洋菓子の製造に加えてネット事業を開始。ベテラン社員の中には反対する声もあったようだ。

 「ありがちな話だが、『俺が全部やるから』と言ってやっとスタートした」(鈴木氏)

 自社サイトは知人に低価格でつくってもらい、自らサイトを更新する日々が続く。

 3日に1度しか注文が来ない状況が変わったのは05年6月。ネットショッピングモール「楽天市場」に出店したことがきっかけだった。

商品開発の過程で見直した老舗店舗の価値

20100121_3a.PNG

 検索エンジンから自社サイトを見に来る人より、楽天市場の中で回遊している人の方が購買意欲が高い。出店コストを差し引いても、ある程度の手応えを鈴木氏は感じていた。

 次第に口コミで知名度が上がり、1日に100個の注文が届くペースになっていく。雑誌等でも紹介され、2009年の「母の日」の前には、4日で約1万個の注文が来た。

 きわみプリンは念願のヒット商品になったわけだが、「それでも店頭での売り上げの8割は和菓子。プリンの販売はネット上に重きを置く戦略を採っている」と鈴木氏は語る。プリン販売のターゲットが、楽天の顧客層の中心(20〜40歳代の女性)と重なるという事情もある。ただし、それだけではない。

 「ブランドに対する考え方として、一商品の話題性や、洋菓子でいうパティシエのような個人に依存した経営が、世代をまたいで続いていくとは思わない」(鈴木氏)

 当初は店舗で買える普段の食品としてつくられたはずのプリン。しかし、成功までの過程で、鈴木氏は老舗のあり方や和菓子本店の価値を考えるきっかけを見いだしたようだ。

 地元の店舗を大切にしながら、先代から引き継いだものを次世代へ手渡していく。あくまでプリンやネット事業は活性化案のひとつ。老舗の矜持は生きている。

●会社概要

企業名 株式会社玉華堂
所在地 静岡県磐田市今之浦4-18-10
資本金 3000万円
従業員 90人
電話 0538-36-0102
URL http://www.gyokkado.co.jp/
掲載日:2010年1月21日
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