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注目のニュービジネス
オフィス移転はアスリートにお任せ

オフィスの移転を考える企業に向けて、カーレントサービス(東京都大田区)はアスリートによるオフィス移転サービスを開始した。他社とは一味違うサービスで受注増加を狙う。

目次

アスリートのセカンドキャリアを応援

20091203.PNG オフィス移転は力仕事。加えて平日の夜や休日に行うことが多く、体力が必要だ。そこで、プロのアスリートによるオフィス移転サービスを立ち上げたのが、カーレントサービスの保坂高広社長だ。

 「プロスポーツ選手は人一倍努力家で精神力も体力も優れている。その力を生かしたい」と考えたのがきっかけだ。

 保坂氏自身もプロボクサーのライセンスを持っている。ライセンスを取得する過程で多くのプロスポーツ選手に出会い、尊敬の念を抱くようになったという。

 一見するとプロスポーツの世界は華やかそうだが、引退後に自身の持つ力をうまく生かせない選手もいる。もし、引退後も活躍できる場があれば、彼らの力を無駄にせずに済む。また、アスリートの家族にとっても引退後の働く環境が整備されていれば、プロの道に進むことを応援しやすい。

 「セカンドキャリアの場があれば、競技に打ち込みやすくなりスポーツ人口も増える。そうすれば日本のスポーツ界の底上げにつながる」(保坂氏)
 そこで、保坂氏は2007年にアスリートのために就職支援サービスを行うアスリブ(東京都大田区)を立ち上げた。

 懇意にしているボクシングジムの協力を得て、東京や神奈川のボクシングジムを中心にチラシを配布。また、ホームページも立ち上げてPRした。

 チラシやホームページを見たアスリートから同社に次々と連絡が入った。ボクシングや空手、バスケットボール、水泳、カヌーなど幅広い競技のアスリートが集まったのだ。

 こうして集まったアスリートに同社は企業を紹介。紹介する職種は営業職が多いという。

他社との差別化を狙う

 その一方で、保坂氏は移転や運輸などを手掛けるカーレントサービスを父親から引き継ぎ、同事業にも力を注ぐことになった。二つの事業を行う中で、保坂氏の頭にあるアイデアが生まれた。

 「アスリートの力を運輸や物流の分野に生かせないか」
 アスリートにはセカンドキャリアの場を提供できる。カーレントサービスは「アスリートによるオフィス移転サービス」という差別化商品を持つことができる。双方にとってメリットは大きい。
 そこで保坂氏はサービスを開始することにした。09年1月のことだった。

 アスリブに就職支援を依頼するアスリートの中で、希望する人にはカーレントサービスを紹介。お互いの条件が合えば雇用することにしたのだ。
 実際にアスリートによるサービスを開始したところ、さまざまなメリットがあることに保坂氏は気が付いた。

 そのひとつが、移転にかかる時間が短縮できることだ。アスリートは体力があるため、通常は8時間かかるところが6時間で済むこともある。「時間が短縮できた分は、什器の清掃・補強などの付加価値サービスを提供する」(保坂氏)

 運動神経も良いため、物を運ぶ際に落としたりぶつけたりして破損させてしまうこともない。
 加えて、アスリートによる移転作業と、アスリートではないスタッフによる移転作業では料金に差を設けていない。消費者は気軽にアスリートチームによる移転を頼みやすい。

 そのため、移転時間短縮によるコスト削減を望む企業のニーズに合致。「アスリートにオフィス移転をお願いしたい」という依頼が寄せられるようになったのだ。

 依頼は首都圏近郊が中心。オフィス移転サービスを始めた頃は、月に5件程度しか依頼がなかった。現在は「土日には必ず仕事が入っている」(保坂氏)状態だ。3〜4月頃から依頼が急増し、多い月では10倍を超える60件近い依頼があるという。

仕事への真摯な姿勢が社内にも好影響を与える

 また、「アスリートは目標に向かっていく能力も高い」と保坂氏は評する。
 これまで「スポーツの世界で日本一、世界一になろう」と努力をしてきたアスリート。ビジネスの世界に転じてからは「会社を日本一にしよう」と熱意を持って仕事に取り組んでくれるという。そのため、周囲の社員にも好影響を与えていると保坂氏は見ている。

 アスリートのスタッフは20代が中心で、全員で10名ほど。引退したアスリートだけではなく、現役のアスリートもいる。その割合は5対5だ。

 現役のアスリートの場合、試合があるときは、有給休暇をとって参加しているという。同社は働きやすい環境を整えることで、より多くのアスリートに働いてもらうことを考えている。

図:アスリートによるオフィス移転サービスの仕組み図:アスリートによるオフィス移転サービスの仕組み

社員を伸ばす方法を常に模索する

 また、社員教育にも力を入れている。新入社員には、まず安全教育をする。「昼間の運転でも必ずライトはつけるように指導している。また、プロジェクターを使って安全教育をしている」(保坂氏)。

 学びやすい環境も提供。実は保坂氏は大学院でMBAを取得している。在学中に使った教材を社内に置くことで、誰でも勉強できるようにしているという。

 単にアスリートの運動能力を買って採用するだけではなく、きちんと学べる場も提供。入社してからも個々人の能力を伸ばせるようにしているのだ。
 「今後もオフィス移転に力を入れていきたい」と保坂氏は語る。

 そのために、09年8月3日にオフィスのデザイン・設計を手掛ける、カーレントサービスの子会社CS空間創造研究所(東京都港区)を設立。オフィス移転に関する川上を同社が担当することで、現在行っているサービスと合わせてトータルに展開が可能となる。そのため、さらに低コストのサービス提供が実現できる。

 オフィス移転の売り上げ目標は年間10億円だ。適材適所という言葉を実行し、確実に効果を上げている同社。今後の進展に注目が集まる。

●会社概要

企業名 株式会社カーレントサービス
所在地 東京都大田区上池台3-16-19
資本金 2400万円
従業員 66人
電話 03-5499-3200
URL http://www.current-service.co.jp/
掲載日:2009年12月 3日
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