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注目のニュービジネス
車内アナウンスで起床の時間を知らせる目覚まし時計

新幹線などの車両を製造する日本車輌製造が発売した「新幹線メロディ&ボイスクロックN700系エディション」。N700系の車内メロディとアナウンスをアラーム音に使用し、新幹線ブルーを基調とするデザインの電波目覚まし時計だ。鉄道マニアから一般消費者へとファン層が広がり、08年3月の発売以降、快調にヒットを飛ばしている。

宮坂達也リーダー 宮坂達也リーダー
1957年愛知県生まれ。日本車輌製造入社当時から主に鉄道車両以外の製造に関する生産ラインの管理、整備などを担当。03年12月、アンテナショップ「日車"ゆめ"ステーション」のオープンに伴い、日車夢工房プロジェクトの専任スタッフに。鉄道に関する幅広い知識や人脈を生かし、精力的に商品開発を行なっている。

目次

本物の車両メーカーが再現した音とデザイン

20090205_1.PNG寝坊せずに起きるためとはいえ、目覚まし時計のけたたましいアラーム音が好きだという人はまずいないだろう。各メーカーが工夫を凝らした目覚まし時計を販売しているが、確実かつ心地よく目覚められる製品を求める声は根強い。では、夢心地のなかで新幹線の車内メロディが流れ、続いて次のようなアナウンスが聞こえてきたらどうだろう。

「今日も新幹線をご利用くださいましてありがとうございます。この電車はのぞみ号、新大阪行きです」アラームを止めなければ、さらに停車駅、車内の案内へとアナウンスは続く。一日がまるで鉄道の旅のように幕を開けるわけだ。

この楽しい目覚めの時を演出するのは、「新幹線メロディ&ボイスクロックN700系エディション」。鉄道車両メーカーである日本車輌製造の鉄道グッズ部門、日車夢工房が企画・製作し、2008年3月に発売した電波目覚まし時計だ。前述のアナウンスはJR東海モードで、メロディはTOKIOの『AMBITIOUS!』。裏面のスイッチでJR西日本モードへと切り替えると、山口百恵の『いい日旅立ち』のメロディに続いて、博多行きのぞみ号の新大阪出発後のアナウンスが流れる。

鉄道グッズというと一部の鉄道マニア向けとのイメージがあるが、新幹線の旅を思わせる夢のある目覚まし時計は一般消費者の間でも人気を呼んでいる。7980円とやや高額ながら初回生産分の3000個を売り切り、増産した4000個も販売好調だ。マニアとまではいかない一般の鉄道ファン、電車好きの子供たちに支持され、「朝、子供が楽しく起きるようになった」と喜びの声が寄せられている。

人気のポイントは、何といっても本物そっくりな音と、07年7月に導入されて大好評を得ているN700系新幹線をモデルにしていることにある。N700系新幹線は、JR東海とJR西日本が共同開発した、最速で乗り心地も高めた電車であり、新幹線メロディ&ボイスクロックN700系エディションは、今年3月のダイヤ改正による大増発に合わせて発売された。

本物そっくりな音を実現したのは、日本車輌がN700系の開発段階から参加し、車両製造を受注していることを考えれば当然ともいえる。しかし、そのものずばりと思えるアラームのアナウンスは、実は忠実に再現しているわけではない。日車夢工房のリーダーを務める宮坂達也氏は、「収録できる音は最大60秒。音質を保ちながらアナウンスのどの部分を削るのかに悩みました」と振り返る。商品化に向けて最も苦労したのが、「音声ICの容量との戦いだった」と言う。

宮坂リーダーは出張の度にICレコーダーを携え、新幹線の車内で念入りに停車駅でのアナウンスを録音した。「実際の東京発のアナウンスはとても短い。だから実際の音を忠実に再現するのではなく、東京駅と品川駅のアナウンスを掛け合わせることで、聞きなじみがあり、より現実感のあるアナウンスを作り上げました」

100周年記念の模型販売が年商4億円の事業規模に成長

20090205_2.PNG鉄道グッズを扱うようになったきっかけは、96年に創業100周年記念として機関車の模型を作ったことにある。社内や取引先などで限定販売したところ、1台7万5000円の高額にもかかわらず、生産した7000台がほどなく完売。「鉄道が好きな人に向けてグッズを製作してみてはどうか」という声が持ち上がったのである。そこで白羽の矢を立てられたのが、社内の「鉄道同好部」だった。

鉄道同好部に所属する社員は約60人。宮坂リーダーも結成時からのメンバーだが、「決して乗り気ではなかったですね」と意外な答えが返ってきた。
「鉄道マニアはこだわりが強い。興味のある分野以外にお金を使うようなことはしません。だから鉄道グッズを販売してもきっと儲からないだろうというのが大方の意見でした」。その声を受けて経営陣は、利益の追求だけでなく、企業PRの一環という位置づけで99年に鉄道グッズ販売事業を開始した。鉄道同好部に所属する経理部次長が中心となり、メンバー全員が部署を兼任する形での船出だった。

当初の主力商品はカレンダーやネクタイピン、アクセサリーなどだったが、ヒット作となったのは模型だった。車両メーカーの製作という付加価値も手伝い、1台10万円以上のD51の模型1000台が完売した。これを足掛かりに事業が軌道に乗り、03年12月には名古屋市内にアンテナショップを開店。現在、ショップ単体で年商が約6000万円、通販を合わせると年間4億円の規模にまで成長している。

JR東海とJR西日本のメロディとアナウンスを1台の目覚まし時計におさめるには、両社との権利関係の交渉が必要だった。宮坂リーダーは日本車輌が長年にわたって車両メーカーとして培ってきた信頼関係が役立ったという。「様々な鉄道会社と付き合いのある当社だからこそできたこと。

今までの鉄道グッズ販売で理解を得られていたことも、この難題をクリアするのに役立ちました」。N700系エディションは、他社には真似できない"オンリーワン"の目覚まし時計といえる。08年8月15日、日本車輌はJR東海の連結子会社となることが発表された。これに伴い、日車夢工房のプロジェクトがどのような方向へ進むのか、新たな歩みへの期待が膨らむ。

●会社概要

企業名 日本車輌製造
本社 愛知県名古屋市熱田区三本松町1‐1
設立 1896年9月
資本金 118億円
売上高 870億円(08年3月期)
従業員 1774名
事業内容 鉄道車両、橋梁、建設機械、電気製品、営農プラント、化学工業用機器、特殊自動車、コンテナ、新交通システム、運搬システム、環境機器、福祉機器の製造
URL http://www.n-sharyo.co.jp/
掲載日:2009年2月 5日
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