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起業ノウハウ
従業員と会社を助ける保険制度:健康保険
先日、弊社の従業員から「持病のため緊急入院した」と連絡がありました。しばらく出社できないようなのですが、会社はどのように対応すればよいのか、教えて下さい。
 健康保険に加入している従業員であれば、さまざまな給付を受けられる可能性があります。また、従業員の被扶養者であるご家族のケガや病気の際に受けられる制度もありますので、併せてご紹介します。
女性

解説者

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。

目次

解説

【健康保険とは】

健康保険は、社会保障制度の一つで、会社で働く人の業務外の事由や、その被扶養者に対する疾病・負傷・死亡・出産に関して保険給付を行う制度です。以下では、比較的大きなケガや、長期にわたって治療が必要となった場合に、どのような保険給付を受けられるか、詳しくご説明します。

【健康保険の主な保険給付】

健康保険の被保険者とその被扶養者の疾病・負傷・死亡に対して行われる保険給付は以下の通りです。

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※出産の際に行われる保険給付については、他のレポート「コラム・インタビュー/こんなときどうする?/従業員と会社を助ける保険制度:出産」をご参照ください。

1.保険証で治療を受けるとき:療養の給付、家族療養費
 治療費の一部を健康保険で負担するものです。70歳未満の方はかかった医療費の3割、70歳以上75歳未満の方は2割(現役並み所得者は3割)が医療機関の窓口で自己負担となります。

被扶養者のケガや病気に対しては、家族療養費が支給されます。給付範囲や受給方法、受給期間などは、すべて被保険者に対する療養の給付と同じです。

2.入院したとき:入院時食事療養費、入院時生活療養費
 被保険者が病気やケガで保険医療機関に入院したときは、療養の給付とあわせて食事の給付が受けられます。入院期間中の食事の費用は、入院時食事療養費と入院患者が支払う標準負担額でまかなわれます。また、療養病床に入院する65歳以上の者の生活療養に要した費用については、入院時生活療養費が支給されます。

3.立て替え払いのとき:療養費
 やむを得ない事情で、保険医療機関で保険診療を受けることができず、自費で受診したときなど特別な場合には、その費用について療養費が支給されます。具体的には、骨折時にギブスや松葉杖等の装具を使用した時や、手元に保険証が無く、治療費を全額自己負担した場合などの立替払いを行なった際に、後日現金給付が支給されます。

4.保険外診療と併用したとき:保険外併用療養費
 健康保険では、保険外診療があると、保険が適用される診療も含めた医療費の全額がいったん自己負担扱いとなります。ただし、保険外診療を受ける場合でも、厚生労働大臣の定める「評価療養(例:先進医療等)」と「選定療養(例:時間外診療等)」については、保険診療との併用が認められており、一般の保険診療と同様に扱われる部分については「保険外併用療養費」が支給され、残りの部分について自己負担することとなります。

5.訪問看護を受けたとき:訪問看護療養費
 医師の指示に基づいて訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合、その費用が、訪問看護療養費として現物給付されます。被扶養者に対しては同様の費用が家族訪問看護療養費として給付されます。

6.治療費が高額となったとき:高額療養費、高額介護合算療養費
 重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となるため、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額(介護合算)療養費制度があります。ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。高額療養費の自己負担限度額は、年齢及び所得に応じて算出されます。

7.緊急時などに移送されたとき:移送費
 病気やケガで移動が困難な患者が、医師の指示で一時的・緊急的必要があり、適切な保険診察を受ける目的で移送されたとして保険者が認めた場合に、移送に要した費用が現金給付として支給されます。被扶養者に対しては同様の費用が家族移送費として給付されます。

8.療養のため休んだとき:傷病手当金
 傷病手当金は、療養中の被保険者の所得の一部を保障するための制度で、療養のため労務に服することができず、報酬が受けられない場合に支給されます。なお、任意継続被保険者には、原則として傷病手当金は支給されません。被扶養者には、傷病手当金の制度はありません。

9.死亡したとき:埋葬料/費
 被保険者が死亡したときは、埋葬を行った家族等に5万円の埋葬料が支給されます。被扶養者に対しては同様の埋葬料が家族埋葬料として支給されます。死亡した被保険者に家族がいないときは、埋葬を行った人に、埋葬料の額(5万円)の範囲内で、埋葬にかかった費用が埋葬費として支給されます。

【国民皆保険のメリット】

「国民皆保険(こくみんかいほけん)」という言葉をご存じでしょうか。現在の日本の法律では、原則として、国民全員が何らかの公的医療保険に加入することとされています。

核家族化や地域の人々との結びつきが希薄化する中で、看護や介護などを家族や地域の人々などに任せっきりにするのではなく、家族内や地域の機能を補完するものとして社会保障制度が整備され、現在の制度に至っています。

社会保障制度は「自助」、「共助」、「公助」の組み合わせにより形成されています。つまり、人は働いて生活の糧を得、その健康を自ら維持していく「自助」を基本とし、これを補完するものとして、社会保険制度などで生活のリスクを相互に分散する「共助」があり、その上で対応できない困窮などの状況に対する「公助」がある、と位置付けられています。

社会保障制度の一つである健康保険をうまく活用して、従業員やその家族の健康的な生活をサポートしていきましょう。

【よくある質問】

Q.「健康保険限度額適用認定」という制度があると聞きましたが、どのように利用すればよいのでしょうか。
A.「健康保険限度額適用認定」は、高額療養費を現物給付化した制度です。事前に、高額療養費の限度額以上は自己負担しません、という「健康保険限度額適用認定証」を医療機関の窓口に提示することにより、高額な治療費を立て替えることなく、治療費が精算できるようになりました。なお、入院する方だけでなく外来治療でかかった治療費が高額となった場合も利用することができます。
 限度額適用認定証の交付を希望する場合は、会社または本人が、加入している保険者に、必要事項を記入した限度額適用認定申請書を提出します。その後、保険者から本人の自宅等、あらかじめ指定した住所に限度額適用認定証が送付されますので、到着後速やかに病院窓口に提示するようにしてください。

【問い合わせ先】

詳しい内容につきましては、下記にお問い合わせください。

※ご自身の保険証に記載されている保険者が健康保険協会ではない場合は、保険証記載の保険者にお問い合わせください。

掲載日:2014年3月27日
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