トップページ  >  起業する  >  コラム・インタビュー  >  起業ノウハウ  >  従業員と会社を助ける保険制度:介護休業

起業ノウハウ
従業員と会社を助ける保険制度:介護休業
弊社の従業員から「高齢の母が階段から落ちて骨折してしまったため、しばらく会社を休んで面倒をみたい」という申し出がありました。どのように対応すればよいでしょうか?
 育児・介護休業法に規定する「介護休業」を取得できる可能性があります。一定の要件を満たした介護休業中の雇用保険の被保険者には、介護休業給付金が支給されます。
女性

解説者

特定社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。

目次

解説

【介護休業とは】

 介護休業とは、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に定められている制度で、要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業です。近年、家族を介護しながら仕事を続ける人が増えていますので、会社として、そのような労働者にどういったサポートができるのか、考えていきましょう。

 なお、今回ご説明する「要介護状態」とは、あくまで育児・介護休業法に基づく基準になります。介護保険法に基づいて市区町村が行う要介護認定によるものとは異なりますのでご注意ください。

20140304_1.PNG

【介護休業の対象となる家族】

介護休業の対象となる家族の範囲は以下の通りです。

20140304_2.PNG

 介護休業取得中の給与は無給にしても差支えありません(ノーワーク・ノーペイの原則)。休業中の給与の取り扱いについては、事前に就業規則等で定めておくと良いでしょう。また、法律の基準を上回る介護休業制度を自社で定めることも可能です。

 なお、育児休業と異なり、介護休業中の社会保険料は免除されません。社会保険料に関しては、毎月振り込んでもらうか、職場復帰後に支給する給与から控除するなど、あらかじめ決めておくと良いでしょう。

【介護休業の対象労働者】

 介護休業をすることができるのは、要介護状態にある対象家族を介護する労働者です。もちろん、女性だけでなく男性も取得することができます。また、正社員だけでなく契約社員などであっても、一定の条件を満たせば介護休業を取得できる場合があります。

 一方、日雇い労働者は介護休業の対象外となります。また、労使協定により次の者を対象から除外することもできます。

(1)入社後1年未満の者
(2)休業申し出から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな者
(3)1週間の所定労働日数が2日以内の者

【要介護状態とは】

常時介護を必要とする状態とは、次のいずれかに該当する場合を指します。

<第1表(日常生活動作)>
下記において、全部介助が1項目以上または一部介助が2項目以上あり、かつ、その状態が継続すると認められるとき。

20140304_3.PNG<第2表(問題行動)>
下記において、いずれか1項目以上が重度または中度に該当し、かつ、その状態が継続すると認められるとき。

20140304_4.PNG

【介護休業給付金】

 雇用保険の一般被保険者(65歳未満)である労働者で、原則として介護休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(過去に雇用保険の基本手当の受給資格の決定を受けたことのある場合は、受給資格決定を受けた後のものに限ります。)が12カ月以上ある者が介護休業を取得する場合、条件を満たせば介護休業給付金が支給されます。

 ただし、介護休業を開始する時点で、介護休業終了後に退職することが決まっている場合などは支給の対象となりません。

 介護休業給付金は原則として、「休業開始時賃金日額」×支給日数×40%に相当する額で、最大3カ月分が支給されます。休業開始時賃金日額とは、原則として介護休業開始前6カ月間の賃金を180で除した額を言います。

20140304_5.PNG

 支給対象期間に賃金が支払われている場合は、育児休業給付金のように、金額が調整されますのでご注意ください。なお、上記の賃金月額には上限額および下限額があります。また、介護休業給付金の支給申請は所定の期日までに申請する必要があります。詳しくは、管轄のハローワークにてご確認ください。

【介護にかかるその他の制度】

 介護休業以外にも、介護に携わる労働者が利用できる制度はいろいろあります。各労働者の状況に合わせて、柔軟な対応ができると良いでしょう。

20140304_6.PNG

 日雇いの者など、一部制度が対象外となる労働者もいます。また、労使協定を締結することにより、一定の労働者を制度の適用対象外とすることもできます(入社後1年を経過しない者等)。

【よくある質問】

Q.介護休業を取得できる者から、男性や、管理職などを除外することはできるのでしょうか?
A.残念ながら、性別や役職を理由に、介護休業の対象者から除外することはできません。高齢の両親の介護をするのは、企業でそれなりの役割を担っている人であることも多いというのが現状ですが、従業員とその家族への配慮も企業には求められているといえるでしょう。

【問い合わせ先】

詳細につきましては、以下の問い合わせ先でご確認下さい。

掲載日:2014年3月 4日
  • googleplus
  • hatena
  • pocket
  • line
  • evernote
Copyright © WizBiz Inc.
このコンテンツの著作権は、WizBiz株式会社に帰属します。著作権の承諾なしに、無断で転用することはできません。
このページの先頭へ
起業するコンテンツ一覧
  • 事業計画作りや実際の起業準備そして開業まで。起業を目指す人の『こんな時どうする?』に応えます。

  • 法律知識や経営診断など、起業準備段階はもちろん、実際に起業・開業してからも使える豊富な情報を掲載。

  • 『国の補助金を活用して創業するには?』についてご説明します。

  • 中小企業や個人投資家にとってのメリットを、その仕組みや優遇措置について詳しくご紹介します。

  • 起業・開業を考えている職種の消費者利用動向がすぐにわかる、職種別データ一覧。

  • 200以上の業種・職種から選べる開業準備手引き書。

  • 最新のビジネストレンドや中小企業が直面する経営課題など、読み物コンテンツをまとめています。

  • 若手起業家にインタビュ—。「社会人起業」と「学生起業」それぞれの選択を対比しながら起業のカタチを探ります。