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起業ノウハウ
労働時間管理:労働時間の原則
当社はケーキ等の洋菓子を製造販売しております。作業に取りかかるまでに、着替えや準備などが必要なのですが、これは労働時間に含めなくても良いのでしょうか?また、1日の労働時間などは法律で定められているのでしょうか?
着替え等の作業の準備行為は、原則として労働時間に含めるものと考えられています。まずは、労働時間管理の基礎知識から一緒に学んでいきましょう。
女性

解説者

社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行ななっている。

目次

解説

【労働時間管理の沿革】

日本の労働時間は、高度経済成長期を経て1980年代前半まで、1週間の法定労働時間(労働基準法で定める労働時間)は48時間と、現在より8時間も長く設定されていました。
 そのため、厚生労働省の「労働経済の分析」によると、昭和62年(1987年)当時は、週の所定労働日数が6日である週休1日制を採用する企業が47.9%と半数近くを占め、週休2日制を採用している企業の割合は50.9%程度でした。
 また当時は、年間の所定外労働時間を含めた総実労働時間が2000時間を大幅に超えるなど、当時の欧米諸国と比較しても200-500時間程度多く働いている状況から「日本人は働き過ぎだ」等の指摘もありました(厚生労働省「毎月勤労統計調査」)。
 その後、労働時間短縮への意識の高まりもあり、昭和62年(1987年)に労働基準法が改正され、現在の法定労働時間が定められたことも相まって、年間総実労働時間も徐々に短縮していきました。
 今日では非正規雇用の労働者の増加等、別の課題を抱えつつも、年間総実労働時間は、当時の目標数値であった1800時間前後にまで短縮され、週休2日制も定着するようになりました。

【労働時間の原則】

現在の労働基準法では、使用者は労働者に休憩時間を除き、1週間に40時間を超えて労働させてはならない、と定めています(労働基準法 第32条)。また、1週間の各日については休憩時間を除き、8時間を超えて労働させることはできません(これを法定労働時間といいます)。そのため今日では、会社で定める1日の労働時間(所定労働時間)は7-8時間程度で、週5日を労働日とする、いわゆる週休2日制の企業が一般的となっています。

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一方、月次業務の集中や受注量の増加などで、やむを得ず法定労働時間を超えて働かせる場合には、使用者は従業員の過半数代表者との書面の協定(労働基準法 第36条に定められていることから、通称「36協定」と呼ばれる労使協定)を締結し、事前に労働基準監督署長に届け出ることが必要です。また、法定労働時間を超えて働かせた時間については、割増賃金(※)の支払が必要となります。

※ 割増賃金については、別レポート/マニュアル「社内規定の整備:賃金規程」でも説明していますので、併せてご参照ください。

【労働時間の特例】

1週40時間制の原則に対して、常時10人未満の労働者を使用する次の事業は、公衆の不便を避ける等の理由から、1週の法定労働時間を44時間とする特例が認められています。(なお、その場合であっても1日の法定労働時間は8時間となります。)

(1)小売・卸売・理容・美容の事業
(2)映画・演劇館等の興業事業
(3)保健衛生業(病院・社会福祉施設等)
(4)旅館・飲食・娯楽・接客業

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【休憩時間】

労働基準法では、使用者は労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければならない、としています。

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【労働時間の考え方】

労働基準法の考える労働時間とは、休憩時間を除いた実労働時間を指します。そのため、この実労働時間は、雇用契約に基づいて実際に業務に従事している時間はもちろんのこと、使用者の指揮命令下にあると考えられる時間についても労働時間に含まれるため、注意が必要です。以下、具体例を交えながらご説明します。

・休憩時間中の来客当番
 手待時間とは、作業をしていなくても作業のために待機している時間のことをいいます。具体的には「休憩時間中だけと、電話が鳴ったら出て欲しい」、「来客があったらアテンドして」と上司に言われたら、待機している時間も含めて、その時間は使用者の指揮命令下にあるものとして、労働基準法上の労働時間となります。

・仮眠時間中の電話応対
 宿泊業やビル管理業など、業務の合間に仮眠時間がある場合、「仮眠時間=休憩時間」と単純に捉えられがちです。しかしながら、仮眠中であっても、仮眠室が勤務スペースと明確に区別されておらず、電話が鳴った場合の応対や接客対応などが義務付けられている場合は、会社の指揮監督の下に待機している時間として労働時間とみなされる可能性が高いでしょう。

・始業前、終業後の準備行為や後片付け
 製造業や接客業などで、業務を開始する前に着替えが必要な場合や、始業前に朝礼や準備体操への参加が義務付けられている場合は、始業前の準備行為の時間も労働時間に含まれます。業務を終了し、後片付け等をする時間についても、通常は労働時間と考えられます。

【労働時間を上手に管理するために】

労働時間が長時間となれば、労働者の安全な作業遂行に支障をきたしたり、心身の健康にも影響を与えたりすることも考えられるため、労働基準法では法定労働時間を定めることで、安全で健康的な労務提供ができるよう、労働者を保護している部分があります。労働時間の管理は、従業員の心身の健康や、安全で効率的な労働環境を維持するうえで、非常に重要なものだと言えます。

次回からは、労働時間管理の応用方法をご紹介していきますので、自社に合った労働時間の管理方法を見つけてみてください。

【よくある質問】

Q. 就業時間外に行なわれるセミナーや、社内行事への参加が労働時間となる場合はあるのでしょうか?
  A. 就業時間外に行なわれる、自由参加型のセミナーや、社内旅行等のレクリエーションは、福利厚生の一環として行なわれる場合が多いため、原則として労働時間とはみなされません。一方、参加が義務付けられている行事や、参加の可否が人事評価に影響するような場合は、労働時間となる可能性がありますので注意しましょう。

掲載日:2013年5月 2日
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