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起業ノウハウ
安全衛生管理:安全衛生管理規程の作成
当社では、震災発生時に社内の安全衛生管理体制が機能しなかったことから、まずは安全衛生管理規程の見直しをすることになりました。その際、「労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)」という言葉も耳にしたのですが、これはどういったものなのでしょうか。規程の作成・見直しに関するアドバイスと併せて教えてください。
OSHMSは、安全衛生管理体制等を効果的に実施し継続するためのマネジメントシステムです。安全衛生管理規程に関するポイントと併せてご紹介します。
女性

解説者

社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。

目次

解説

【安全衛生管理規程とは】

これまで、労働安全衛生法の基礎知識や、安全衛生管理体制について、詳しくご説明してきました。安全衛生管理に関する総まとめとなる今回は、安全衛生管理に関するルール作りや、実践方法についてご説明します。

そもそも、安全衛生管理を効果的かつ円滑に進めるためには、安全衛生管理体制とその職務、権限、責任や管理事項について、事前に定めておくことが必要であることは、これまでご説明した通りです。

この一定の基本ルールを文書で定めたものが、安全衛生管理規程です。安全衛生に関する事項は、自社の従業員に対する労働条件を画一的に定めた社内規定である「就業規則」の中で、相対的必要記載事項(定めのある場合は、記載しなければならないもの)とされている項目です。就業規則の中に安全衛生に関する事柄を盛り込んでも良いのですが、かなりのボリュームになる場合があるので、「安全衛生管理規程」という別の規程を作成することをお勧めします。

※安全衛生管理体制については、コラム「こんなときどうする?」の「安全衛生管理:安全衛生管理体制の整備」でも説明していますので、併せてご参照ください。

※就業規則の記載事項については、マニュアル「起業してから大切なこと」の「社内規定の整備:就業規則(正社員)」でも説明していますので、併せてご参照ください。

【労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)とは】

OSHMSとは、Occupational Safety and Health Management Systemの略で、「労働安全衛生マネジメントシステム」と呼ばれています。OSHMSは、事業場における安全衛生管理水準の向上を図ることを目的として、企業のトップである事業者が一連のプロセスを定め、次の(1)~(4)に掲げる活動を自主的に行う経営の仕組みを指します。

(1)安全衛生に関する方針の表明
(2)危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)及びその結果に基づき講ずる措置
(3)安全衛生に関する目標の設定
(4)安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善

安全衛生管理規程を作成する際に最も重要といわれるのが、会社のトップ(事業者)による安全衛生方針の表明です。一般的には、トップが全従業員に「経営理念」等と一体をなす「安全衛生方針」を打ち出すことにより、全社的なOSHMS推進体制の整備がスタートします。

次に、「PDCAサイクル構造」と呼ばれるものをご説明します。PDCAとは、計画(Plan)→実施(Do)→評価(Check)→改善(Act)の頭文字で、これらの項目を通じて、安全衛生に関するシステムの見直しを図りながらスパイラルアップしていくことを指します。具体的には、安全衛生管理規程の作成も含め、緊急事態への対応方法等の計画(Plan)を作成し、これらの計画を実施(Do)します。災害発生原因の調査や、労働者の意見等の評価(Check)も取り入れながら、改善(Act)し、再度計画を作成する、といったサイクルになります。

すでに、自社で安全衛生管理体制を構築していたり、安全衛生管理規程を作成している場合には、自社で運用しているものをベースにOSHMSを導入、実施していくのが良いでしょう。

【安全衛生管理規程の記載事項】

以上の事柄に留意しながら、自社の安全衛生管理規程を作成・見直ししてみましょう。内容としては、以下の項目を記載することが一般的です。

  • 総則(目的)
  • 安全衛生管理体制に関すること
  • 安全衛生計画に関すること(緊急時・災害時の対応等も定めておく)
  • 危険防止措置基準(リスクアセスメントや作業手順に関すること等)
  • 快適な職場環境づくり(健康管理に関すること等、会社に無理の無い範囲内で)
  • システムの見直しに関すること(PDCAサイクル構造) 等

安全衛生管理規程を作成する時は、作業主任者等、現場を良く知る担当者の意見を取り入れるなどして、実現可能な内容のものとするよう心がけることが大切です。また一方で、労働者の生死にかかわる場合もありますので、作業手順等、必ず守るべきルールを定めた場合は、あらかじめ関係する全従業員に周知徹底しておくことが不可欠です。作業マニュアルを別途作成するか、作業マニュアルとしても活用できるような内容の充実した規程を作成しても良いでしょう。

【よくある質問】

Q1.会社のトップである社長が安全衛生管理に消極的なのですが、どうしたら良いでしょうか。
 A1.安全衛生の最終的な責任者は人事部長でも総務担当者でもなく、最高経営責任者たる代表者(事業者)です。事業者の安全配慮義務違反は、自社の従業員を労働災害により死傷させるリスクのある状態を放置することであり、万が一実際に事故が発生した場合の賠償責任や、取引先・顧客からの信用失墜等、会社の損害は計り知れません。そのため、経営と安全衛生を切り離して考えることはせず、安全衛生について全社的に取り組む必要があることを粘り強く説得し、理解してもらうことが重要です。頑張ってください。

【問い合わせ先】

安全衛生管理規程やOSHMSの詳しい内容につきましては、下記でご確認ください。

掲載日:2013年2月 5日
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