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起業ノウハウ
安全衛生管理:産業医
当社では、心身ともに健康な社員を増やして、企業の安定的な成長を目指していきたいと考えています。従業員も増えているため、従業員の健康上の相談事に乗ってくれたり、会社に対して医学的なアドバイスをしてくれる医師がいると良いのですが、どのような制度がありますか?
産業医に関する基礎知識と、産業医との上手な付き合い方についてご説明します。
女性

解説者

社会保険労務士 岩野麻子(いわの・あさこ)
勤務時代から、350社の中小企業に対する労務コンサルティング業務に従事し、企業内人事部では、従業員約3,000人をサポートした経験を持つ。現在は独立開業し、就業規則の作成や助成金の申請等を行なっている。

目次

解説

【産業医とは】

職場において労働者の健康管理等を効果的に行なうためには、医学に関する専門的な知識が不可欠なことから、常時50人以上の労働者を使用する全ての業種の事業場において、産業医を選任することが義務付けられています(労働安全衛生法 第13条)。

また、産業医の選任義務がない事業場においても、医師や保健師に労働者の健康管理等の全部または一部を行なわせるように努めなければならない、と定められています(労働安全衛生法 第13条の2)。

【産業医を選任すべき人数】

事業所の従業員数によっては、次の表の通り産業医を複数人選任する必要があります。

20121218.PNG

※労働者数は会社全体ではなく事業所ごとの人数でカウントします。

また、常時1,000人以上(深夜業や、有害物を取り扱う業務等、一定の有害業務に労働者を従事させる事業場は常時500人以上)の労働者を使用する事業場では、その事業場に専属の産業医を選任する必要があります。

産業医選任の要件等については、」「こんなときどうする?/安全衛生管理:安全衛生管理体制の整備」内の「安全衛生管理体制一覧表」でも説明していますので、併せてご参照ください。

【産業医の職務】

産業医は労働者の健康管理等に関する次の業務を行なうことになっています。

  1. (1)健康診断、面接指導等の実施およびその結果に基づく労働者の健康保持のための措置
  2. (2)作業環境の維持管理
  3. (3)作業の管理
  4. (4)その他、労働者の健康管理に関すること
  5. (5)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置
  6. (6)衛生教育
  7. (7)労働者の健康障害の原因調査および再発防止のための措置に関すること
  8. (8)事業者・総括安全衛生管理者に対する(1)についての勧告
  9. (9)衛生管理者に対する(1)についての指導または助言
  10. (10)少なくとも毎月1回、作業等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、ただちに労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じること

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、労働基準監督署へ届出する定期健康診断結果報告書に産業医の捺印欄がありますので、健康診断結果を確認してもらう必要があります。

また、一定の労働時間数に応じて、疲労の蓄積が認められる労働者が申し出た場合は、医師による面接指導を行なうこととされています(労働安全衛生法 第66条の8)。産業医を選任している事業場においては、産業医による面接指導を行なうことが望ましいと言えます。

【産業医の選任と届出について】

産業医は、医師であれば誰でも良いというわけではありません。日本医師会、産業医科大学が行なう、労働者の健康管理等を行なうのに必要な知識についての研修を修了した者等、産業医の資格を有する医師の中から選任しなければならないとされています。

産業医の探し方の一例としては、事業場の近くの病院や、健康診断を委託している医療機関等に、産業医委嘱契約が可能か確認してみるのも良いでしょう。

産業医が見つかり、契約が成立したら、通常は産業医委嘱契約書を交わします。その後、医師免許の写しと産業医の資格を証する書面の写しを添付して、労働基準監督署に「産業医選任報告」を提出します。この届出をもって、産業医選任の届出が完了します。

【産業医との上手な付き合い方】

近年では、産業構造の変化によりサービス業の比率が高くなっているため、身体的な危害防止等はもちろんのこと、過重労働やストレスによる精神疾患等に対する事業者の安全配慮義務が一段と重要視されるようになりました。そのため、労働者の健康管理等についても、企業側が医学に関する高度な専門知識を必要とする判断に迫られる場合も増えつつあると言えます。

例えば、就業規則に規定されていることの多い「休職制度」について、最近では「復職時は産業医または会社が指定する医師の意見を聞くこと」等とする場合も多く見受けられます。また、家族が新型インフルエンザに罹患している従業員を出社させても良いか等、労務管理上の判断に加えて、医学的見地からアドバイスが必要な場面もあります。

こういった場合に、産業医委嘱契約を結んだ医師に、気軽に相談できる雰囲気があることが望ましいでしょう。会社の予算やどこまでの業務を求めるかといったところを勘案しながら、良い関係を築いていってください。

【よくある質問】

Q.産業医の先生と契約する場合の平均的な料金を教えてください。
  A.産業医委嘱料の相場は、労働者数50名程度で1カ月につき6万円前後といわれていますが、実際は医療機関や医師によってかなりばらつきがあるのが現状です。契約前に、月々の委嘱料はもちろんのこと、どのような業務が月々の委嘱料の範囲内で依頼できるのか、事前に確認しておくことが重要です。

【問い合わせ先】

安全衛生、産業医等の詳しい内容につきましては、下記の問い合わせ先でご確認下さい。

■労働基準監督署案内(労働基準監督署:安全衛生課)(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/location.html

掲載日:2012年12月18日
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