経営ノウハウ

中小企業が直面する経営課題について、各分野の専門家が実践的にお応えします。

労働基準法の改正と時間単位の年休付与
労働基準法の改正により、有給休暇を時間単位で付与する制度が新たに創設されると聞きました。有給休暇を時間単位で付与することになると、管理が煩雑になりそうなので、できれば当面の導入を見送りたいのですが問題ないでしょうか。(兵庫県 K社人事課長)
平成22年4月から時間単位の年休付与が適用となりますが、必ずしも導入する必要はありません。
男性

解説者

社会保険労務士 富岡 英紀(とみおか・ひでき)
経営・労務に関するコンサルティングのほか、ベンチャー企業への助成金コンサルティングや就業規則によるリスクヘッジなど付加価値の高いサービスにとくに力を入れている。
社会保険労務士 加藤美香(かとう・みか)
労働基準監督署労働条件相談員、労働時間短縮アドバイザー、就業規則普及指導員等公的業務の経験を生かし、企業への人事労務コンサルティングに力を入れている。

目次

解説

今回の労働基準法の改正のひとつの柱が「時間単位の年休付与」です。具体的には、年間に5日分までの年休を時間単位で取得できるというもので、年休を1日単位で取得するか時間単位で取得するかは労働者が自由に決めることができます。

この制度を新たに導入する場合には、必ず労使協定を結ばなくてはなりません(同時に就業規則の改定も必要になります)。ただし、「時間単位の年休付与」の導入は義務づけられてはいませんので、制度を導入しなかったとしても違法とはなりません。

仮に制度を導入することにした場合に必要な対応ですが、まずは運用ルールをつくり、それを文章化することです(労使協定の締結、就業規則の改定)。その際、対象従業員の範囲については、全員とすることもできますし、範囲を限定することも可能です(例えば、対象は正社員のみとしパートには適用しない、など)。

その他の注意点として、年休を時間単位で分割した場合に1時間未満の端数が生じてしまうことがありますが、その場合には従業員に不利にならぬよう端数を切上げなければなりません。

また、1時間のみの年休取得は事務の煩雑化を招くため、取得単位を2時間、3時間など1時間以外の単位とすることも認められています。

運用ルールを確立したら、次は、年休を管理している勤怠システムの修正、賃金計算システムへの反映、そして各システムのテスト運用を行ない、問題点をクリアにします。このようなステップを踏んでから、最終的に従業員への説明を行ないますが、実際に制度を運用できるようになるまでには準備が必要となりますので、早めに対応するようにしましょう。

【資料1】就業規則、労使協定の規定例(PDFファイル:10KB)

掲載日:2010年6月 8日
Copyright © WizBiz Inc.
このコンテンツの著作権は、WizBiz株式会社に帰属します。著作権の承諾なしに、無断で転用することはできません。